家庭的保育事業とは?開業に必要な設置基準や働くメリット・デメリット

家庭的保育のイメージ
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家庭的保育事業とは、地域型保育事業のひとつとして実施されている取り組みのことです。保育者の自宅など、家庭的で安全な環境のなかで保育をおこなうのが特徴です。この記事では、家庭的保育事業を始めるためのポイントや、働くメリット・デメリットを解説します。

家庭的保育事業とは?

家庭的保育事業は「保育ママ」とも呼ばれ、保育者の自宅などで少人数で家庭的な保育をおこなう事業のことです。2015年に施行された「子ども・子育て支援新制度」の地域型保育事業のひとつで、待機児童の解消などを目的として始まりました。
小さな自宅でおこなう保育とはいえ、基準を満たせば認可を受けて運営できます。認可基準をクリアしていれば補助金を受け取れるため、保育士資格を活かして自宅保育を始めたいという人にピッタリの制度です。

家庭的保育事業の設置基準

家庭的保育事業を始めるためには、さまざまな設置基準をクリアする必要があります。ここからは、対象となる子どもや必要な職員の基準など、項目ごとにわかりやすく解説します。

保育人数

家庭的保育事業の認可定員は、1~5人です。少人数で家庭的な保育をおこなうため「保育園に預けるのはまだ早いかな」「仕事復帰せずに子どもに寄り添っていたかった」という悩みを抱えた家庭のニーズに合った保育を提供できます。

対象年齢

保育の対象となるのは、0~2歳児の子どもです。自治体により、保育開始の月齢に制限が設けられていることもあります。0・1・2歳児の子どもが同じ室内で過ごすため、少人数ながらも異年齢保育が叶います。

保育場所

家庭的保育事業は、保育者の居宅または施設などでおこないます。1人当たり3.3㎡の保育室が必要です。そのほか、採光や換気の良好さ、調理設備やトイレなどの要件が設けられています。

保育時間

保育時間は、原則1日8時間とされています。土曜日の開所や延長保育などは、利用者の希望に合わせて柔軟に設定可能です。

連携施設

連携施設とは、家庭的保育事業を終了する3歳児の受け皿となる保育園のことです。対象年齢が0~2歳児までとなっているため、卒園後はほかの保育園に転園する必要があります。継続した保育の場を提供できるよう、そのような受け皿をあらかじめ探しておきます。

職員資格

家庭的保育事業に従事する職員は、家庭的保育者または家庭的保育補助者とされています。家庭的保育者とは、市町村長がおこなう研修を修了した保育士、または講義と保育実習による認定研修を修了して、保育士と同等以上の知識や技術を持っていると市町村に認められた人のことを指します。

職員配置

職員の数は、子ども3人につき1人と定められています。家庭的保育補助者を1人プラスできる場合は、子ども5人まで保育可能です。

家庭的保育事業はベビーシッターとは違う?

「家庭的」「保育ママ」と聞くと、ベビーシッターを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?しかし、家庭的保育事業とベビーシッターには以下のような違いがあります。

家庭的保育事業

ベビーシッター

保育対象

0~2歳児

0~12歳

保育人数

1~5人

原則1人

保育場所

保育者の居宅や施設

依頼者が指定する場所

職員資格

家庭的保育者または補助者

資格不要

職員配置

3人に1人

1人に1人

事業形態

自治体が認可

認可外保育

家庭的保育事業で働くメリット

家庭的保育事業で働くメリットは、以下のとおりです。

個人事業主として開業するため自由度が高い

家庭的保育事業を始める場合は、個人事業主として開業する必要があります。とてもハードルが高いように感じますが、自分で立ち上げるため自由度が高くなります。自分だけの保育室を持つとなると、やりがいも大きいでしょう。

少人数できめ細やかな保育が叶う

家庭的保育事業の対象となる子どもは、0~2歳児の1~5人までと決められており、少人数保育が基本です。そのため、一人ひとりの発達に合わせたきめ細やかな保育が叶います。子ども達とゆっくり関わりたい保育者におすすめです。

基準をクリアすれば自室を保育室にできる

保育をおこなう場所は、保育のために借りたマンションの一室などです。なかには、自宅をリフォームして保育室にする人も少なくありません。面積や環境など、認可基準を満たすことで、自宅保育が叶います。

家庭的保育事業で働くデメリット

家庭的保育事業で働くメリットはさまざまですが、いくつかデメリットと感じるものもあります。

保育者の人数が少なく責任が重い

家庭的保育事業を担う際、保育者は多くても補助者を含めた2名です。「大勢いる保育者の一人」といった大規模な保育園とは違い「自分で運営している」という責任が重くかかります。その分、やりがいが大きいともいえるでしょう。

柔軟すぎる対応により負担が大きくなる

対象年齢や人数の制限はありますが、保育時間は自由に設定できます。原則1日8時間ですが、延長保育や土曜保育などは利用者の希望を考慮したうえで決定します。柔軟な対応により保護者の満足度はアップしますが、運営側の負担も考えなければなりません。少人数で運営しているにもかかわらず、柔軟すぎる対応をしていれば負担が大きくなる可能性があるでしょう。

補助金を受けるための手続きが複雑

家庭的保育事業は、市町村から認可を受けることで補助金を受給できます。設備費や運営費など、補助金があればより良い保育の拡充を目指せます。しかし、認可基準は複雑で、開所してからも厳しい設置基準を遵守する必要があります。

まとめ

この記事では、地域型保育事業のひとつ「家庭的保育事業」について解説しました。保育者の居宅などでおこなう少人数保育は、個々の発達に合わせたきめ細やかな対応が可能です。アットホームな雰囲気もあり、保護者の満足度も高いものです。「自分の保育園を持ちたい」という人は、家庭的保育事業を検討してみてはいかがでしょうか?
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