児童扶養手当とは?ひとり親家庭だけ?所得制限や支給に関する情報

子どもを育てるうえで、国や都道府県などから支給される手当はなくてはならないもの。なかでも、ひとり親家庭を育てる児童扶養手当は、子どもの福祉増進に欠かせません。この記事では、児童扶養手当の特徴や支給に関する情報をわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
児童扶養手当とは「ひとり親などの養育者」が対象
児童扶養手当(じどうふようてあて)とは、なんらかの事情により、父親や母親と生計が同じではない「ひとり親家庭」に対して支給される手当のことです。生活の安定や、児童の福祉増進を目的に支給されます。まずは、児童扶養手当の基本を解説します。
児童扶養手当の支給対象者
児童扶養手当が支給されるのは、0~18歳の子どもがいるひとり親家庭です。養育する父親または母親が対象ですが、両親がいない場合は代わりに養育する祖父母なども含まれます。児童扶養手当の支給には、以下のような要件があります。
・父母が婚姻を解消して父または母と生計を同じくしていない児童
・父または母が死亡した児童
・父または母が政令で定める障がいの状態にある児童
・父または母の生死が不明な児童
・父または母がどちらかの申し立てにより保護命令を受けた児童
・父または母から引き続き1年以上遺棄されている児童
・父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている児童
・婚姻によらないで生まれた児童
・父母が不明な場合
なお、養育者や子どもが日本に住んでいない場合や、養育が里親や児童福祉施設に委託されている場合は手当を受給できません。お住まいの自治体により、条件が異なる場合があるため確認が必要です。
児童扶養手当の支給額
児童扶養手当の支給額は、それぞれの家庭の所得に応じて決定します。
全額支給(所得制限額未満) | 一部支給(10円単位で変動) | |
子ども1人 | 月額44,140円 | 10,410円~44,130円 |
子ども2人目(加算) | 月額10,420円 | 5,210円~10,410円 |
子ども3人目以降(加算) | 月額6,250円 | 3,130円~6,240円 |
※令和5年4月現在
なお、児童扶養手当の支給額は、物価の変動などにより毎年改定されるため、都度確認が必要です。
児童扶養手当の所得制限
児童扶養手当の対象となる所得は前年のものです。申請者や生計を同じとする家族の所得が限度額を越えている場合は、すべての手当または一部が支給停止になります。所得制限は、以下のとおりです。
扶養人数 | 受給者本人(全額/一部) | 養育者 |
0人 | 49万円/192万円 | 236万円 |
1人 | 87万円/230万円 | 274万円 |
2人 | 125万円/268万円 | 312万円 |
3人 | 163万円/306万円 | 350万円 |
所得とは、収入から控除などを差し引き、養育費の8割相当を加算したものです。4人目以降は、1人増えるごとに38万円が加算されます。
児童扶養手当の支給月日
児童扶養手当が認定されると、請求された月の翌月分から支給が開始されます。支給月は1・3・5・7・9・11月で、1度に2ヶ月分の支給です。支給日は11日で、土曜日や日曜日、祝日にあたる場合はその前の営業日に支給されます。
児童扶養手当が受けられない例
ひとり親家庭でも、以下のような場合は児童扶養手当の対象にならないため注意が必要です。
・養育者や子どもが日本に住んでいない
・子どもの養育が里親に委託されている
・子どもが児童養護施設など児童福祉施設に入所している
・子どもが養育者の配偶者に養育されている
また、手当を受けている間は「児童扶養手当現況届」の提出が必要です。手続きに不備があれば手当が受けられなくなるため注意が必要です。
児童扶養手当とほかの手当の違い
児童扶養手当以外にも、子どもに関する手当には「児童手当」や「特別児童扶養手当」などがあります。名前がよく似ているため、児童扶養手当との違いを確認しておきましょう。
児童手当
児童手当とは、中学校卒業までの子どもを養育している人に支給される手当です。児童扶養手当のように、父母の離婚や死別などによる要件はありません。
・3歳未満/15,000円
・3歳以上 小学校修了まで/10,000円
・中学生/10,000円
上記の金額は月額で、毎年6・10・2月にまとめて支給されます。なお、3歳以上から小学校修了前の支給額は、第3子以降は15,000円になります。児童手当には、所得制限や所得上限があります。所得制限を越えているものの所得上限未満である場合は、特例給付として月額一律5,000円が支給されます。
特別児童扶養手当
特別児童扶養手当とは、精神または身体に障がいを有する児童が対象となる手当です。これらの児童の福祉増進を図ることが目的とされています。20歳未満の障がいのある子どもの養育者に支給されます。
・1級 53,700円
・2級 35,760円
上記の金額は月額で、毎年4・8・12月にまとめて支給されます。特別児童扶養手当には、受給者本人や養育者への所得制限があります。一定額以上の所得がある場合は手当は支給されません。
ひとり親家庭などの養育者の支援
ひとり親家庭に対して、国はさまざまな施策を推進しています。ここからは「子育て・生活」「就業」「養育費」「経済」それぞれの支援について解説します。
子育て・生活に関する支援
支援を必要とするひとり親家庭が、ひとりで子育てや生活に関する悩みを抱えないよう、自治体の窓口でワンストップの支援をおこなっています。
例
・母子・父子自立支援員による相談・支援
・ひとり親家庭等日常生活支援事業
・ひとり親家庭等生活向上事業
・母子生活支援施設
・ひとり親家庭住宅支援資金貸付
例えば、子育てや仕事で時間がないひとり親家庭には、SNS等を活用した双方向型の支援をおこないます。各種手続きによりひとり親窓口にアクセスした際には、そのままワンストップでさまざまな支援につなげていきます。
就業に関する支援
ひとり親家庭になることで、就業に関する悩みを抱える人も少なくありません。そのような人からの就業相談に対し、就業情報の提供から一貫した就業支援サービスをおこなっています。
例
・ハローワークによる支援
・母子家庭等就業・自立支援センター事業
・母子・父子自立支援プログラム策定事業
・高等職業訓練促進給付金
今後のことも考えて「資格を取得したうえで就職を考えたい」という人には、資格取得までの生活費を支援する高等職業訓練促進給付金が支給されます。対象となる資格に制限はありますが、毎月10万円の支給があるため安心して修業できます。
養育費に関する支援
ひとり親になるにあたり、養育費の有無に問題を抱える人には、養育費確保に関する支援がおこなわれます。
例
・養育費等支援事業
・親子交流支援事業
・離婚前後親支援モデル事業
今までに、養育費に関する規定が創設されたり、強制執行の手続き方法が改善されたりしてきました。また、裁判が必要な場合は母子寡婦福祉資金の一環として裁判費用の貸付もおこなわれるようになりました。養育費相談機関もあるため、希望があれば専門家からの助言を受けられます。
経済的な問題に関する支援
ひとり親家庭になって生じる経済的な問題に対しても、さまざまな支援がおこなわれています。
・児童扶養手当
・母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の概要
この記事でご紹介した児童扶養手当は、まさしくひとり親家庭の支援の代表といえます。いままでに、所得制限限度額が引き上げられたり、支払回数が見直されたり、さまざまな対応がなされてきました。
まとめ
この記事では、児童扶養手当について解説しました。児童手当や特別児童扶養手当とは異なるため、違いをよく理解しておきたいですね。申請や振込に関する情報は、自治体によって異なるため、それぞれのホームページで確認してみましょう。




