【完全版】保育士の初任給は？平均額や手取り額など施設別に解説

残業や持ち帰り仕事が多く、低賃金のイメージが強い保育士。資格取得や就職するにあたり「保育士の初任給って少ない？」「保育士の手取りで生活していけるかな？」と不安を感じていませんか？

この記事では、保育士の初任給の平均額や手取り額をご紹介します。また、合わせて給料を上げる方法も解説しますので参考にしてください。

保育士の初任給はいくら？

低賃金といわれる保育士の給料ですが、初任給はどのくらいなのでしょうか？ここからは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査に基づいて保育士の初任給の実態を解説します。

保育士の平均初任給

20～24歳の保育士がもらえる初任給の平均は、20万4900円です。
給料は経験を積むごとに、以下のように変動します。

※参考：厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

もちろん、勤務する保育園の規模や地域によっても差があります。賞与額にいたっては、初年度は支給されない保育園もあれば、年間で40万円程度支給される保育園もあるなど、さまざまです。

とはいえ、全職種の平均初任給は大卒で21万200円、短大卒で18万3900円となっているため、保育士の初任給は平均的といえるのではないでしょうか？

※参考：厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査（初任給）の概況

公立保育園で働く保育士の初任給

公立保育園で働く保育士の初任給は、大卒18万6456円、短大卒16万7223円です。私立保育園で働く保育士と仕事内容に大きな差はありませんが、公立保育園の保育士は公務員試験に合格した地方公務員にあたります。

初任給は平均よりも低い傾向がありますが、公務員のため昇給・賞与制度が整っています。そのため、経験年数と比例して徐々に高くなるでしょう。

※参考：総務省令和2年地方公務員給与の実態
※参考：厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査結果の概要　賃金の推移」

私立保育園で働く保育士の初任給

私立保育園で働く保育士の初任給は、前述した平均と同じく20万4900円です。保育園によっては残業代が加算されるため、これより多くなる場合もあります。

公立保育園とは異なり、私立保育園は独自で給料を決定します。そのため、保育園の経営状況が大きく影響するといえるでしょう。

※参考：厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」

保育士の初任給からもらえる手取りはいくら？

今までご紹介した保育士の初任給は、税金が引かれる前の金額です。いわゆる額面上の金額で、保育園から支払われる総額を指します。しかし、実際に受け取れる手取り額は、総支給金額から各種税金を差し引いた金額となります。

総支給金額に含まれる、主な項目は以下のとおりです。

基本給
通勤手当
時間外手当
資格手当
住宅手当

そのほか、皆勤手当や勤務地手当などが含まれる保育園もあります。そして、求人票にかかれている給料より、主に以下のような税金が差し引かれます。

健康保険
厚生年金保険
雇用保険
所得税
住民税

保育園によっては、上記と合わせて給食費が引かれるケースもあるでしょう。また、社会人1年目は、前年の収入が低ければ住民税の課税がありません。そのため、初任給よりも住民税の支払いが始まる2年目の給料が低くなるケースもあります。

一般的に、手取り額は総支給金額の75～80%とされています。つまり、20万円の初任給であれば、手取り額は15～16万円程度です。

※参考：総務省「市町村税関係資料」

保育士の給料は安い？高い？

初任給から見ると平均的な給料と思える保育士ですが、保育士の平均月給は24万2700円、平均年収は72万700円です。年収でいうと363万3100円になります。

全職種の平均給料は30万7700円のため、比較すると保育士の給料は安いと感じるかもしれません。実際に、保育士が退職する理由の上位には「給料が安い」が挙げられています。

とはいえ、働く環境によってその金額は大きく異なります。そこでここからは、保育士の給料を年齢、地域、施設ごとに紹介し、その特徴を解説します。

※参考：厚生労働省「保育士の現状と主な取組」

保育士の年齢別平均給料

保育士の給料は、年齢によって以下のような違いがあります。

※参考：厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」
※年収＝決まって支給する現金給与額12ヶ月分＋年間賞与その他特別給与額

年齢が上がるごとに徐々に昇給していることが分かります。30～40代の伸び率が悪くなっているのは、結婚や出産などによるライフスタイルの変化が影響していると考えられます。

保育士の地域別平均給料

保育士の給料は、働く地域によっても差が生じます。主要都道府県で働く保育士の給料は以下のとおりです。

※参考：厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」※年収＝決まって支給する現金給与額12ヶ月分＋年間賞与その他特別給与額
保育士でも年収400万円を超える地域があると考えると、働く地域によって給料の差が大きいことが分かります。とはいえ、都心に住めばそれだけ家賃など生活にかかるお金も大きくなります。そのため、一概に都心での勤務がおすすめとは言い切れません。

保育士の施設別平均給料

公立、私立など施設によって初任給が異なるように、施設の規模によっても以下のような差があります。

※参考：令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園
等の経営実態調査集計結果＜速報値＞
※小規模保育事業、事業所内保育事業は平均値
公立、私立の保育園で働く保育士が最も高く、小規模保育園や事業所内保育園は比較的低い傾向があるようです。

保育士の給料を上げる方法

保育士は、子どもの成長に関わるやりがいのある仕事ですが、どんなにやりがいがあっても給料が低いと続けられませんよね。給料がすべてではありませんが、モチベーションに影響する大切なポイントです。ここからは、保育士が給料を上げるための方法を解説します。

キャリアアップ研修に参加する

保育士の給料を引き上げるため、国はさまざまな処遇改善策を実施しています。そのなかでも、給料アップに直結するのがキャリアアップ研修です。今までは園長や主任のみ手当がつき、そのほかの保育士は責任のある業務を担っても給料には反映されてきませんでした。
しかし、保育士の処遇改善等加算Ⅱにより、職務分野別リーダー、専門リーダー、副主任保育士の3つの役職が追加されました。キャリアアップ研修を受講して役職に就けば、給料アップが見込めます。
※参考：厚生労働省「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」

保育に関する資格を取得する

保育士としての専門知識を深め、活動の幅を広げることで給料アップにつながるケースもあります。そのためには、専門的な資格取得がおすすめです。

グローバル化する保育園での多言語に対応できるよう「幼保英語士」の資格を取得したり、医療の専門知識を持つ保育士として「医療保育専門士」の資格を取得したりすれば、給料アップにつながるかもしれません。

また、資格を取得していればインターナショナルスクールや病院での勤務など、転職の幅も広がります。

※参考：一般社団法人　幼児教育・保育英語検定協会
※参考：一般社団法人　日本医療保育学会

給料の高い保育園に転職する

同じ仕事内容をこなしていても、働く場所によって給料は大きく異なります。自分の力で改善しようと思っても、簡単には変えられないのが現状です。そのため、給料の高い保育園に転職するのも、選択肢のひとつといえます。
とはいえ、給料以外に不満がなく、働きやすい職場であれば転職が正解とはいえません。給料以外に人間関係や保育方針に不満があれば、すべての希望が叶う保育園を探し直しても良いのではないでしょうか？

まとめ

保育士の初任給は、全職種の平均と比べても特別低いわけではありません。とはいえ、経験年数に応じた昇給額は少なく、手取り額を考えると「保育士は給料が安い」といえるでしょう。
また、保育士は子ども達の命を預かる責任のある仕事です。数多くの業務をこなしながらも、子ども達から目を離すことは許されません。保育園によっては残業や持ち帰りでの仕事が多く、そのような大変さから「仕事の割に低賃金」と思ってしまうのではないでしょうか？
給料に不満がある人は、キャリアアップ研修を経て役職に就いたり、資格を取得したりして給料アップにつなげると良いでしょう。また、思い切って給料の高い保育園へ転職するのもおすすめです。

#保育士 #仕事