保育園の部分実習とは?何やる?ねらいの例や指導案の書き方を解説!

野外の遊具で遊ぶ2人の園児
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保育学生にとって大きな壁となる保育実習。
なかでも、部分実習は保育の一部を任される大切な時間です。
しっかり準備して臨みたいですよね。

そこでこの記事では、保育園での部分実習で何をやるべきか、その活動例をご紹介します。
また、指導案の書き方も分かりやすく解説しますので参考にしてください。

保育園の部分実習とは?

青空の下の保育士と2人の園児
保育士資格を取得するために学校に通っている保育学生は、決められた期間に保育実習をおこなう必要があります。
まずは、保育実習や部分実習の概要を解説します。

保育実習の種類

保育実習には、以下のような種類があります。

 ● 観察実習
 ● 参加実習
 ● 部分実習
 ● 責任実習

まずは、保育士や子ども達の動きを観察して記録する「観察実習」から始まり、次に保育士の指示に従い保育に関わる「参加実習」をおこないます。

そして、保育の一部を任される「部分実習」、1日の流れすべてを担当する「責任実習」に進みます。
実習のスケジュールは保育園によって異なるため、実習園に確認してくださいね。
今回は、部分実習に焦点を置いて解説していきます。

部分実習をおこなう理由

部分実習では、朝の会や絵本の読み聞かせなど、ひとつの場面を保育実習生が主導となって進めます。
部分実習は、自分で計画・指導する経験を積むことが目的です。

まずは部分的に短い時間でおこない、子ども達の反応を確認したり、声かけの方法を試行錯誤したりします。
そして、部分実習で学んだことを活かしながら責任実習をおこないます。
部分実習はいわば、保育士になるための練習ともいえるでしょう。

部分実習の流れ

観察実習や参加実習を経て、担当するクラスの1日の流れや子ども達の動きを把握できたら、いよいよ部分実習に入ります。
部分実習の流れは以下のとおりです。

1.任される部分の流れを確認する
2.活動の内容や流れを検討する
3.考えた計画を担当保育士に確認してもらう
4.任される部分の指導案を作成する
5.担当保育士に指導案を確認してもらう
6.活動に必要な準備をおこなう
7.部分実習が終わったら実習日誌などを記入する
8.担当保育士から講評をもらい次に活かす

実習の流れは保育園によっても異なります。
また、保育士は忙しく、指導案を提出してもすぐに確認できるわけではありません。
担当保育士によく確認し、時間に余裕を持って準備を進めましょう。

部分実習で何やる?取り入れやすい活動例

女の子2人に絵本を読み聞かせる保育士
部分実習で任されやすいのは「朝の会」や「帰りの会」です。
観察実習や参加実習でしっかり流れを確認しておけば、不安なく進められるはずです。
そのほか、午前中の設定保育を任されることも少なくありません。

そこでここからは、部分実習に取り入れやすい活動例について解説します。
任された時間に合わせて、活動を検討してみましょう。

保育の導入に「手遊び」

保育の導入としておこなうことが多い手遊び。
朝の会のために集合したとき、絵本を読む前など、保育のなかで手遊びをおこなうタイミングは多くあります。
そのため、担当するクラスの月齢に合った手遊びをいくつか準備しておくと安心です。

短時間であれば「絵本の読み聞かせ」

部分実習として短時間の保育を任される場合は、絵本の読み聞かせがおすすめです。
手遊びなどの導入と合わせ、月齢に合った絵本を選びましょう。
実習先の保育園で絵本を借りることもできますが、読み慣れたものを持参するのがおすすめです。

準備が大切な「製作遊び」

午前中の設定保育をしっかり任せてもらえるのであれば、製作遊びがおすすめです。
入念な準備が欠かせませんが、段取りや声掛けなど、学ぶことの多い時間となります。
製作内容は、子どもの発達に合っているものを選べるよう、担当保育士に相談しましょう。

指導力が問われる「運動遊び」

運動遊びは、子どもがケガをしないように注意すべきポイントが多いため指導力が問われます。
時間配分も難しく、屋外の活動の場合は天気にも左右されます。
時間を調節するためのアイディアや、雨天時の代替案など準備を入念におこないましょう。

部分実習に必要な指導案の書き方

ノートパソコンのキーボードを打ち込む女性
部分実習で悩むのが指導案の書き方です。
ねらいや環境構成など、どうやって書くべきか難しいと感じる人も多いでしょう。

また、実習中は疲労困憊のなか日誌の記入もあり「指導案に悩んでいたら朝になった」なんてことも。
ここからは、部分実習の指導案のポイントを解説しますので参考にしてください。

日時や人数など基本的な情報

日時や人数などの情報は正確に記載しましょう。
学校で配布された指導計画案の用紙を使用しても良いのですが、場合によっては実習園指定のものがあるケースも。
クラス名や天気などを記入する欄があったり、仕様によって記入欄が異なるので注意しましょう。

近日中の子どもたちの姿

子どもの状況として、日頃みられる姿を記載します。
「製作の時間になると張り切ってイスに座る姿が見られる」「絵本の時間をとても楽しみにしている」など、予定している活動につながる姿を思い浮かべるのがポイントです。

必要な準備や材料

朝の会であれば出席簿や当番表、絵本の読み聞かせであれば絵本とイスなど、活動に必要な準備物も記載します。
製作をおこなうときは、準備するものが多くなるため漏れのないようしっかりチェックしましょう。

部分実習のねらい

ねらいは活動によって異なるため、とても悩みやすいポイントです。
主な活動のねらいは以下のとおりです。

●朝の会…気持ちの良い挨拶で1日の始まりを迎える
●帰りの会…1日のなかで楽しかったことをお友達と共有する
●絵本の読み聞かせ…絵本を通して言葉のやりとりに興味を持つ
●製作…自由に廃材を選ぶことで想像力を養う
●レクリエーション…クイズを通して思考力を育む
●体を動かす遊び…お友達とルールを守って遊ぶ楽しさを知る

担当するクラスに合わせて、2~3つのねらいを考えましょう。

予想される経過時間

指導案には、部分実習で任される時間経過も細かく記載します。
ひとつ前の活動が終わり片付けを促し始める時間から、子ども達が集合するまでの時間を考慮して、分刻みで計画を立てます。
観察実習や参加実習で、1日の時間の流れを細かく記録しておくと役立ちます。

部分実習のための環境構成

環境構成とは、保育士や実習生、子ども達がどの立ち位置にいるかを記載する配置図のようなものです。
机、イス、ピアノ、ロッカー、ゴミ箱など、活動に使うものはすべて事前に配置を考えておきます。
定規で丁寧に線を引き、誰が見ても分かるような図を心がけましょう。

予想される子どもの姿

子どもの姿の欄には、おこなう予定の活動と合わせて、予想される子どもの姿を細かく記載します。
「なかなか片付けらずにいる」「周囲の様子を伺いながら取り組めない」など、子どものリアルな姿を想像することで、個々の対応を考えられます。

保育士の動きや援助のポイント

子どもの姿に合わせて、保育者の動きを記載します。子どもへの指示はもちろん、具体的な声かけも想定しておきましょう。
指導案は、自分だけのメモではありません。
一緒にクラスに入る先生が、紙を見ただけで流れを把握できるよう細かく書くことが大切です。

部分実習を任されたときの注意点

大人にブランコを押してもらって遊ぶ園児
部分実習は、短時間とはいえ自分主導で保育を進めるため不安でいっぱいになりますよね。
そこでいくつか注意点を挙げます。準備段階から当日の動きまで、念入りに確認しておきましょう。

●部分実習の内容やねらいは早めに担当保育士に相談しておく
●任される部分がどのような流れで進められているか細かく観察する
●製作遊びなら試作品を、運動遊びなら内容を事前に確認してもらう
●ストップウォッチを活用して保育内容をシミュレーションしておく
●担当するクラスに合った導入を検討する
●子どもの前では焦らずゆっくり大きな声で話すよう意識する
●部分実習後の振り返りをしっかりおこなう

部分実習をスムーズに進めるためには「子ども達のいつも通り」を崩さないことも大切です。
たとえば、普段は給食を食べるときに「それではみなさんごいっしょに、いただきます」と、お当番さんが挨拶をしていたとします。

しかし、慣れない実習生が「じゃあ…手を合わせて…いただきます」と、いつもと違う掛け声をかけるとどうでしょうか?いただきますの挨拶が揃わず、子ども達はザワザワ。このようなミスを避けるためにも、観察実習などで基本的な流れをよくメモしておくことが大切です。

すぐに使える!年齢別の部分実習例

ピアノを弾く人
部分実習の内容は、任された年齢によって大きく異なります。
朝の会や絵本の読み聞かせなど、内容が決まっている時間であれば問題ありませんが、設定保育を任されるとなると何をしようか悩みますよね。
そこでここからは、年齢別に部分実習のおすすめの内容をご紹介します。

3歳児の部分実習

3歳児の部分実習では、簡単な製作がおすすめです。
梅雨時期なら「かたつむり」、秋なら「どんぐり」など、季節に合った製作アイディアを提案してみましょう。

3歳児クラスで製作をおこなうときのポイントは「子ども達がどこまでできるか把握しておくこと」です。
場合によっては、まだハサミの使い方を教えていないケースもあります。

どのくらい不安なくハサミを扱えるのかなど、子ども達ができることを事前に確認しておきましょう。
場合によっては、手でちぎるなどのアレンジを考えておくと安心です。

4歳児の部分実習

4歳児の部分実習では、簡単なルールのある遊びを取り入れてみましょう。
「じゃんけん列車」や「もうじゅう狩り」など、簡単な集団遊びがおすすめです。

運動遊びは、時間配分がとても難しいという特徴があります。
ホールに移動して整列させて説明するだけでタイムオーバーなんてことも。
担当保育士に確認してもらいながら、時間配分を検討しましょう。

5歳児の部分実習

5歳児の部分実習は、続きのある遊びがおすすめです。
年長クラスともなれば、遊んで終わり、作って終わりではなく「作って遊ぶ」「遊び方を変える」など、活動の続きを意識します。

たとえば、新聞紙でおこなう運動遊びを取り入れ、最後は丸めて製作につなげる。
または、どんぐりを拾ってコマを製作して、コマ対決で遊ぶ…。
このような遊びには、想像力や自発性を育むねらいが込められています。

まとめ

部分実習とは、保育実習生が保育の一場面の進行をまかされる実習のことです。
朝の会や帰りの会、給食の時間、絵本の読み聞かせ、設定保育など、任されるタイミングはそれぞれ異なります。

担当するクラスの年齢や人数など、さまざまな要因を考慮して指導案を作成しましょう。
部分実習を成功させる鍵は、担当保育士への報告・連絡・相談です。時間に余裕を持って、入念に準備を進めたいですね。
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