社会福祉法人とは？運営元による保育園の特徴や働くメリットを解説

保育園の求人を探しているとよく目にする「社会福祉法人」。
保育園や介護福祉施設の運営母体として馴染みのある名称ですが、正しい意味を理解している人は少ないのではないでしょうか？

そこでこの記事では、社会福祉法人の概要を簡単に解説します。
また、保育園への就職を考えるにあたって運営元によってどのような違いがあるのかも解説しますので、仕事探しの参考にしてみてくださいね。

社会福祉法人とは

社会福祉法人とは、保育や福祉に関連した社会福祉事業をおこなうことを目的として設立される法人です。
公益性の高い非営利法人として運営されています。
まずは、社会福祉法人が担う事業について簡単に解説します。

社会福祉事業をおこなう民間団体

厚生労働省によると、社会福祉法人が担う社会福祉事業には「第一種社会福祉事業」と
「第二種社会福祉事業」があります。それぞれの福祉サービスの分類は以下のとおりです。

第一種社会福祉事業	第二種社会福祉事業
・特別養護老人ホーム・児童養護施設・障がい者支援施設など	・保育所・訪問介護・デイサービスなど

参考：厚生労働省「社会福祉法人の概要」

社会福祉法人は、上記のような事業を非営利の民間団体としておこないます。
子どもから高齢者まで、さまざまな福祉のニーズを支えているのです。

公益事業または収益事業もおこなう

社会福祉法人は、公益性を目的とした事業もおこないます。
公益事業とは、有料老人ホームや子育て支援事業など社会福祉に関係のある事業です。

また、福祉施設内の売店の運営や貸ビルなど、収益事業も認められています。
社会福祉法人がおこなう収益事業の利益は、公益性のある事業の運営費用に充てられます。

運営元による保育園の違い

保育園の雰囲気や待遇は、運営母体によって大きく異なることがあります。
保育園の求人を探しているときに、以下のような表記を見かけたことはありませんか？

●社会福祉法人〇〇会〇〇保育園
●〇〇市立〇〇保育園
●NPO法人〇〇社〇〇保育園
●株式会社〇〇〇〇保育園
●学校法人〇〇学園〇〇保育園
●医療法人〇〇会〇〇保育園

それぞれ、同じように見えて運営母体が異なります。
そこでここからは運営母体ごとの保育園の特徴や、保育士として働くメリット・デメリットをご紹介します。
もちろん、特徴がすべての保育園に当てはまるわけではありませんが、一例として求人探しの参考にしてみてくださいね。

社会福祉法人が運営する保育園の特徴

社会福祉法人が運営する保育園は、前述したように公益性の高い非営利法人です。
私立の保育園といえば社会福祉法人の割合が多く、求人でもよく見かける運営母体といえるでしょう。

社会福祉法人の保育園は、法人内の高齢者施設と交流したり、地域住民を招いた行事を開催したり、地域に根差した保育園が多いという特徴があります。
社会福祉法人が運営する保育園で働くメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット
●歴史が古く経営基盤が安定している
●保育方針がしっかりしているため働きやすい
●福利厚生が充実している

デメリット
●家族経営の場合は親族の影響力が強い
●古い慣例をなかなか変えられない
●法人内での異動がある

社会福祉法人が運営する保育園は非常に多いため、待遇や特色をしっかり見比べることをおすすめします。

市町村が運営する保育園の特徴

市町村が運営する保育園は、いわゆる公立の保育園です。
公立保育園の保育士になるためには、公務員試験に合格する必要があります。
公務員という立場上、定期的な異動は避けられません。
市町村が運営する保育園で働くメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット
●昇給や賞与など待遇がしっかりしている
●有給休暇や育児休暇が取りやすい
●離職率が低くベテラン保育士が多い

デメリット
●地域によっては採用倍率が高く合格が難しい
●保守的で保育方針に特色がない
●保育園以外の異動先も考えられる

公務員試験の時期や内容は自治体によって異なるため、気になる地域があれば早めにチェックしておきましょう。

NPO法人運営の保育園の特徴

NPO法人とは、特定非営利活動をおこなう団体のことです。
さまざまな社会問題を解決するため「病児保育」「障がい児保育」「小規模保育」などを手がけています。
地域社会の利益、つまりは保護者のニーズに合わせた保育を得意とする法人です。
NPO法人が運営する保育園で働くメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット
●保護者に貢献できていると感じられる
●新しい保育園が多く自ら立ち上げに関われる
●若い保育士が多く慣例にとらわれずに働ける

デメリット
●社会福祉法人運営の保育園と比べて数が少ない
●代表者によって運営方針が異なる
●利益を優先しないため給料が低い

NPO法人運営の保育園は、社会に貢献したいと思う保育士に向いているといえます。

株式会社運営の保育園の特徴

株式会社は、社会福祉法人やNPO法人とこは異なり、営利事業をおこなう法人です。
保育園に関しても、経済的な利益を考慮して運営されます。
資本力もあり、先駆的な保育を取り入れているという特徴があります。
株式会社が運営する保育園で働くメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット
●福利厚生などが手厚く働きやすい環境が整えられている
●業務効率化としてICT化を積極的に取り入れている
●大都市に多く通勤アクセスが良い

デメリット
●会社の経営状況が保育園の運営に影響を及ぼす
●歴史が浅いためベテラン保育士が少ない
●本社が運営に不慣れだと現場の負担が大きくなる

株式会社運営の保育園には、営利目的で展開しているものと、従業員向けに運営しているものがあるため、違いをしっかりチェックしましょう。

学校法人運営の保育園の特徴

学校法人とは、私立の学校を設立・運営している公益法人のことです。
文部科学省の管轄で、大学や幼稚園などを運営しています。
最近では、幼稚園を認定こども園に切り替える動きが多いため「学校法人〇〇学園　〇〇認定こども園」などの求人が増加傾向にあります。
学校法人が運営する保育園で働くメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット
●保育系の大学付属の園であれば実習から就職につながる
●公立保育園のように給料が高い傾向がある
●健康保険として私学共済に加入できる

デメリット
●幼稚園から認定こども園への移行が進みバタバタしている
●認定こども園で働く場合は資格の見直しが必要
●保育園とは保育方針が異なるため慣れるまで時間がかかる

学校法人は文部科学省のため、幼稚園または認定こども園での就職となります。
認定こども園で働く場合は、保育士資格・幼稚園教諭免許の両方が必要です。

医療法人運営の保育園の特徴

医療法人とは、その名のとおり病院や保健施設を運営するために設立される法人です。
「医療法人〇〇会」としての求人の多くは、院内保育園または小児病棟で働く保育士の募集となります。
医療法人が運営する保育園で働くメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット
●小規模保育が基本のためゆったりとした保育ができる
●病院が母体のため給料が高い傾向がある
●行事が少ないため残業や持ち帰り仕事がない

デメリット
●24時間体制の保育園が多く夜勤がある
●日祝・年末年始に関係なくシフトが入る可能性がある
●クラス運営や行事などがないため物足りなさを感じる

医療法人の求人には、病院関係者の子どもを預かる院内保育の保育士と、小児病棟で通院・入院している子どもをお世話する病棟保育士があるため注意しましょう。

まとめ

社会福祉法人とは、保育園や老人ホームなどの社会福祉事業をおこなう非営利団体のことです。
私立保育園の多くは、社会福祉法人が母体となって運営しています。

そのほか、NPO法人や株式会社などさまざまな母体が保育園を運営しており、その特徴は大きく異なります。
求人を探す際は、運営元をしっかり確認したいですね。

とはいえ、大切なのは保育園そのものの雰囲気です。
今回ご紹介したそれぞれの特徴は一例であり、同じ運営元でも特徴が異なる場合があります。
自分に合った保育園を探すため、しっかり情報を集めましょう。

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