保育実習を乗り切ろう！日誌の書き方や負担を減らすポイント解説

保育士になるための最初の一歩ともいえる保育実習。慣れない実習に苦労はつきものですが、なかでも大変なのが「保育実習日誌」の記入です。「日誌をうまく書けない」「記録に時間がかかる」と悩んでいる人も多いでしょう。そこでこの記事では、保育実習日誌の書き方や、負担を減らすポイントを解説します。

保育実習日誌を書くねらい

保育園での保育実習や幼稚園での教育実習で作成する「実習日誌」とは、その日の保育活動内容や子どもの様子、保育士からの援助などを記載し、学びの記録を残すものです。実習日誌は、「実習記録」「保育日誌」と呼ばれることもあります。保育実習日誌を書くねらいは以下のとおりです。

●実習で学んだことを振り返るため
●保育士の動きや声かけを記録して実践に活かすため
●自分の行動を反省して次なる目標を立てるため
●保育士として書類作成に慣れるため

保育実習日誌は実習に参加している間、毎日記載します。また、実習を担当してもらう保育士以外にも、主任保育士や園長などにも目を通してもらう大切な記録です。実習終了後は学校側にも提出し、単位取得の大切な判断材料としてチェックを受けます。

【例文あり】保育実習日誌に記入する基本項目の書き方

保育実習日誌のフォーマットは、学校側で用意されたり、実習先の保育園に決まったものがあったりとさまざまです。どのようなフォーマットでも、基本的には以下のような項目を記載します。

●基本事項
●ねらいや目標
●活動時間
●環境構成
●活動内容
●保育者の動きや援助
●実習生の動きや気付き
●反省や考察

ここからは、それぞれどのような内容を記載するか、分かりやすく解説します。また、例文もご紹介しますので参考にしてください。

日付や人数などの基本事項

保育実習日誌の最初には、日付や天気、クラス名、担任名、子どもの人数などの基本事項を記載します。朝の時点で把握できるため、確認でき次第忘れないうちに記載する習慣をつけると良いでしょう。

例文
●令和〇年〇月〇日（〇）／実習〇日目／氏名〇〇〇〇
●対象／年齢〇歳児／クラス〇組／計〇名
●天候〇／担任〇〇〇〇／特記事項～～

保育のねらいや目標

次に、計画している保育活動で「どのようなねらいを持って子どもと接するか？」「どのようなことを学びたいか？」を具体的に記載します。ねらいや目標を持って実習に臨むことで、得られるものが多くなります。

しかし、場合によっては実習生本人のねらいや目標ではなく「子どもにどのような成長を促すか」といったねらいや目標を記載するよう指導されることもあります。そのような場合は、保育所保育指針を確認すると良いでしょう。

例文
●登園から降園までの1日の流れを知る
●月齢に合った子どもとの関わり方を学ぶ
●自分で身の回りの始末をおこなえるよう適切な声かけを知る
●子ども同士のトラブルへの介入方法を学ぶ

各活動の開始時間

左端の縦欄には、各活動の開始時間を記載します。朝の会やおやつ、設定保育、排泄、給食準備など、すべての活動を時系列で並べましょう。ほとんど決まったスケジュールでおこなわれますが、活動によって時間がずれることもあるため、その都度メモしておくことが大切です。

例文
●8：30　登園
●9：00　朝の会
●10：00　設定保育

机や椅子などの環境構成

活動をおこなうときの、保育士や子ども達の配置も分かりやすく記載します。保育士は黒丸、子ども達は白丸など色別で示すと見やすくなりますよ。また、誰が見てもわかるように、線は定規を活用して丁寧に記しましょう。図と言葉を合わせて説明すると、伝わりやすいですよ。

例文
●歌を歌うときはピアノの前に2列で並ぶ
●絵本を読みきかせるときは、子ども達に見えやすい位置にイスを1つ配置する
●給食は長机2つ、イス4つで班を6つ作成する

子どもの活動内容

活動内容の項目には、子どもがどのような様子で過ごしているか、その行動を細かく記載します。導入として取り入れた手遊びの名前、読み聞かせた絵本のタイトルも漏れなく記載しましょう。

また「散歩にいく」「給食を食べる」だけでなく、一人ひとりの様子や観察していて気付いたことを詳細に記載すると、振り返ったときに反省しやすくなります。

例文
●ピアノの前に並び、今月の歌「おばけなんてないさ」「すいかの名産地」を歌う
●2人1組で手をつなぎ〇〇公園までお散歩に行く
●公園では葉っぱでおままごとをしたり、地面に描いたケンケンパで遊んだりする
●自由遊び（ニューブロック・お絵描き・ぬいぐるみ・コマ回し）

保育者の動きや援助

子どもの活動に対しておこなっていた、保育士の動きや声かけについても記載します。なにげない関わりに、保育士の意図や配慮が含まれているため注意深く観察してみましょう。この項目は「なぜそのような声かけをおこなったか」を振り返るための重要なポイントになります。

例文
●手洗いが混雑しないよう、2～3人ずつ名前を呼んで洗面所へ促す
●お片付けの時間になると音楽をかけて自分で気が付けるようにする
●おもちゃの取り合い事案に対し、目線を合わせて双方から話を聞く
●「いやだったね」「うれしかったよね」など、子どもの気持ちを代弁して伝える

実習生の動きや気付き

実習生の動きや気付きの部分には、活動に参加した自身のことを記録します。「手洗い・うがいを援助した」「衣服の着脱を見守った」などの事実だけでなく、子どもの動きや表情を見て感じたこと、分かりやすいと感じた保育士の声かけなどを記録すると良いでしょう。ここで記録した気付きは、のちに任される部分保育などに役立ちます。

例文
●「のりは1の指でアリさんくらい」「折り紙はアイロンをかけるよ」など、わかりやすく説明されていた
●特大見本を前に飾っておくと、子どもたちが完成品をイメージしやすくなる
●オムツ交換は声をかけながらおこなうと、子どもを安心させることができる

1日を通した反省や考察

保育実習のまとめとして、反省や考察も記載します。悩んでいること、子どもへの接し方でわからないことなどを書いておくと、保育実習日誌を確認した保育士から指導を受けられることもあります。「うまくいかなかった」だけでなく、次はどのようにするか記載すると良いでしょう。

例文
●良かれと思って靴を履かせたら「自分でしたかった」と泣かせてしまった
●自我が芽生える時期であることを学んだため、自分でチャレンジする気持ちを見守り必要に応じて援助できるようにしたい
●おもちゃの取り合いで、どちらも納得していないときの切り上げ方が分からなかった

保育実習は大変！日誌の負担を減らす「メモ」の取り方

保育実習が始まると、慣れない毎日でクタクタになります。睡眠不足は実習に影響が出るため、なるべく負担を減らしておきたいですよね。

そのために意識したいのは、メモの取り方です。実習が始まる前に、保育実習日誌の項目を把握しておき、おおまかなメモを取れるよう意識してみましょう。メモを取るポイントは、以下のとおりです。

基本事項・時間・活動・環境構成はその場でメモ

保育実習日誌に記載する基本事項は、確認できた時点でメモを取っておきましょう。また、活動開始時間、活動内容、環境構成は、1日が終わってしまうと記憶が曖昧になってしまいます。その場でメモができると、振り返りやすくなります。

子ども・保育士・実習生の動きやセリフをメモ

保育実習中に目で見て感じたことは、できるだけメモを取っておきましょう。思い出せるのであれば、キーワードだけでも構いません。保育士が意図的におこなっていた配慮、子どもが困っていた様子、子どもへの声かけに悩んだシーンなど、帰宅後に日誌をまとめるヒントになりますよ。

休憩中など空き時間にまとめてメモ

午前中の活動を昼食時にまとめておければ、帰宅後の作業が少し楽になるといえます。手が空いている時間があれば、保育実習日誌の項目を意識してメモをまとめてみましょう。とはいえ、休憩時間はしっかり休むことも大切です。無理のない範囲で取り組みたいですね。

保育実習日誌を添削してもらうときの注意点

保育実習日誌は、自身が振り返るためのものだけでありません。実習を担当してもらう保育士に「読んでもらう」ことを意識して書くことが大切です。ここからは、保育実習日誌を添削してもらうときの注意点を解説します。

読みやすい文字を意識して丁寧に書く

保育実習日誌は、黒色のボールペンで読みやすく書きましょう。大切な書類のため、鉛筆や消せるボールペンは不適切です。また、間違えた箇所に「修正テープを使用しない」という決まりがあることも。環境構成を記載するときは、定規を使用して見やすさを意識しましょう。

その日のうちに記入して翌朝提出する

保育士は普段の業務が多忙で、実習生の受け入れは大きな負担になります。毎日の保育実習日誌の添削も簡単なことではありません。「子どもたちの午睡中にチェックしよう」と思っていたのに、帰り際に提出されると確認する暇がないということも。

また、日誌の提出を溜めてしまうと、保育士の負担も増えてしまいます。「指導してもらう」「添削してもらう」ことを忘れず、提出が滞らないよう注意しましょう。

保育士からのコメントをすぐに反映させる

保育実習日誌を添削してもらったときは、担当保育士からの指摘をすぐに反映させられるよう意識しましょう。何度も同じことをコメントしてもらうのは、とても失礼なことです。「子どもの名前は実名で記入しないでね」「子どもの様子はもっと具体的に」など、コメントしてもらった内容は、すぐに改善することが大切です。

保育実習日誌のチェックポイント

保育実習日誌を作成するにあたり、いくつか意識したい決まりがあります。間違いがないか、書き上げたあとにチェックしてみましょう。

●文末表現を統一する
●誤字脱字に注意する
●話し言葉は使用しない
●「い」「ら」抜き言葉に注意する
●昼寝→午睡
●おしっこ→排泄
●うんち→排便
●〇〇させる→促す・援助する・見守る

子どもの名前を実名で書いても良いかどうかは、保育園によって異なります。保育園独自の注意事項がないか、実習前に確認しておくと安心です。

まとめ

保育実習の大切な記録となる実習日誌。慣れないうちは、書き上げるまでに相当な時間がかかります。しかし、保育実習は体力勝負です。しっかり睡眠時間を確保できるように、短時間で正確に書き上げられるよう意識したいですね。

そのためには、リアルタイムで記入するメモが欠かせません。現場で働く保育士の動きやセリフを間近で見られる良い機会のため、しっかり記録を残せるようにしましょう。

#教育実習 #保育士