発達障害にはさまざまな種類があり、特性の現れ方には大きな個人差があります。いくつかの種類を併せ持つことも多く、正しい理解のためにはまず、個々の発達障害における特性を知っておくことが大切です。発達障害の基礎知識を前編・後編に分けてご紹介している今回。後編は具体的な発達障害の種類について学んでいきましょう。
- 【前編】→ 前編の記事を読む …発達障害の定義、原因、なぜ注目されているかついてご紹介しています。
- 【後編】 …発達障害の種類と、それぞれの特性についてご紹介します。
【前編のおさらい】発達障害の種類
発達障害には、大きく分けて3つの種類があります。
◆広汎性発達障害(PDD)
◆注意欠陥多動性障害(ADHD)
◆学習障害(LD)
それぞれの種類の中でも現れる特性には個人差があり、またいくつかのタイプの障害を合併しているケースも珍しくありません。また知的障害を伴う場合もあります。知的障害を伴わない場合には高機能広汎性発達障害(高機能PDD)高機能自閉症などと呼ばれることもあります。
※【注】「高機能」とは障害の度合いや複雑さを示すものではありません。
広汎性発達障害とは
特性の比較的少ないケースを含めると0.5%~0.9%の割合でみられるとされる発達障害です。知的障害が見られることもあります。
【特徴-1】社会性の障害(大きく4つのタイプがあります) |
【孤立型】 他者が見えていないような行動をします。呼ばれても返事をしない、無表情、他人に関心がないといった特徴があります。 【受動型】 問題行動は少なく、自分から関わりはしないものの他人との接触は嫌がらないタイプです。言われたことは嫌なことも受け入れてしまうためパニックを起こすことがあります。 【積極・奇異型】 他人に積極的に関わりたがるものの、一方的であることが多いタイプ。高機能自閉症やアスペルガー症候群によく見られます。 【形式ばった大仰な群】 成人期以降に現れるタイプ。非常に礼儀正しく、身近な人にも堅苦しくふるまいます。自分なりのコミュニケーションルールに強いこだわりがあります。 |
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・冗談や皮肉の意味が分からずそのままうけとめてしまう ・相手の気持ちを考えられず思った通りを口にしてしまう ・ですます調、抑揚がないなど、話し方が独特 ・言葉の発達に遅れがあることもあります |
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こだわりが強く思った通りの行動パターンでないとパニックを起こすこともあります。また苦手な音やにおいがあったり、触れられることや強い光を嫌がるなど感覚が敏感なケース、逆に感覚が極端に鈍感でケガに気づかないケースもあります。 |
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自閉症 | 1000人に1~2人の割合で発症します。女児よりも男児に多いとされ、その程度には大きな個人差があります。てんかん発作や睡眠障害を起こしやすいともいわれています。知的障害がない場合には高機能自閉症と呼ばれる場合もあります。 【主な特徴】 ・目を合わせることが苦手 ・言葉の遅れやオウム返しがよくみられる ・多動である ・こだわりが強い ・意思を言葉にできずパニックをおこす ・要望がある場合相手を引っ張っていくクレーン現象がある |
アスペルガー症候群 | 男性の割合が4分の3ほどであるといわれています。自閉症によく似ていますが知的な障害はなく、高機能自閉症と同じように考えられる場合もあります。会話能力は正常であり、気付かれにくいケースもあります。 【主な特徴】 ・社会的なルールの理解が苦手 ・場の空気が読めず、自己中心的と誤解されやすい ・相手を傷つけることを思ったまま言ってしまうことがある ・ジェスチャーやアイコンタクトを交えて会話ができない ・車や鉄道など特定のものに強いこだわりがある ・興味のあるものに対する集中力や記憶力に優れている ・本人が決めたルールを変えることを嫌がる |
小児期崩壊性障害 | 有病率は約0.01%で男児に多いとされています。2歳くらいまでは正常に発達するものの、その後対人反応障害がおこり、言葉がなくなるなどの退行がみられます。精神発達の退行は半年以内にストップしますが、自閉的な状態はその後も続くとされます。 【主な特徴】 ・2歳以降に特性があらわれる ・言葉が出なくなる(有意味語消失) ・排便や排尿機能に問題が生じる ・運動能力の退行がみられる ・執着心が強くなる |
レット症候群 | 女児に起こる進行性の神経疾患。生後6カ月ころまでは正常な発達を見せるのが特徴。1万~1万5千人に1人の割合で発症し、生後6カ月~1歳半の頃に発症します。 【主な特徴】 ・常に手をもむような動作をする ・知能や言葉、運動能力が遅れる ・手をたたく、手を口に入れるなどを繰り返す ・昼夜の区別ができず睡眠パターンが安定しない |
学習障害とは
聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなど、特定の能力の習得することが困難な障害で、約2~3%の割合でみられるとされています。知的発達には遅れはありません。また特定の能力以外には高い能力を持っていることも多くあります。
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ディスレクシア (読字障害) | 文字を読む能力に障害がある状態です。似た文字が理解できない、文章を読んでいるとどこを読んでいるかわからなくなる、字を見ると頭痛がする、さかさまに読んでしまう、読んでも内容が理解できないなどの特性があります。 |
ディスグラフィア (書字障害) | 文字を書くことに障害のある状態です。黒板の文字の書き写しが困難だったり、鏡字を書いてしまう、作文ができないなどの特性があります。 |
ディスカリキュア(算数障害) | 数字や記号を理解できない、簡単な計算ができないなど算数の分野に困難を持つ状態です。指を使わないと計算ができない、繰り上りが理解できないなどの他、数の大きい、小さいがわからないなどの特性があります。 |
そのほかにも聞くことが困難であったり、時計が理解しにくい、リコーダーや鍵盤ハーモニカなど、手先を使うことが著しく苦手であることもあります。
注意欠陥/多動性障害とは
注意力がない(不注意)、じっとしていられない(多動性)、順番を待てない(衝動性)の3つの要素がみられる障害のことで、だいたい7歳までに特性が現れるとされます、一般的には成長とともに特性が目立たなくなるとされますが、半数は成人期まで続くとも言われています。思春期以降はうつなどを合併することもあります。
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多動‐ 衝動性優勢型 | ・座っていても手足をもじもじとしている ・すぐに立ち上がってしまう ・おとなしく遊ぶことが難しい ・しゃべり続ける ・順番を待つことができない ・他の子どもたちの会話やゲームに割り込む |
不注意優勢型 | ・うっかりミスが多い ・遊びに集中することができない ・話しかけても聞いていないような態度をとる ・やるべきことが最後までできない ・整理整頓が苦手 ・紛失やわすれものが多い |
混合型 | 不注意、多動性、衝動性などの特性が両方ともみられる状態のことを混合型と呼びます。 |
その他の発達障害の例
発達性協調運動障害
筋肉や神経、視覚、聴覚などに異常がないにもかかわらず、ボールを蹴る、字を書く、ボタンを留めるなどの運動が難しい障害です。楽器の演奏や図工の道具を使うことが苦手なケースも多くあります。有病率はおよそ5%といわれ、多動性障害や学習障害の子どもに多くみられるとされています・
トゥレット症候群
認知度が低く専門医も少ない障害です。1,000~2,000人に1人の割合で発症し、男児の方が発症率が高いとされます。6~8歳、遅くとも14歳までに発症し、まばたき、首を振る、白目をむくなどの運動チック症状、不謹慎な言葉を無意識に言ってしまうなどの音声チック症状があります。学習障害など他の障害を併発しやすいと言われています。
編集者より
今回は発達障害の定義や種類についてご紹介しましたが、子どもたちにより良い環境を与えてあげるためには、基本的な理解・知識の他にも、早期発見のポイントや具体的な支援の方法について学ぶ必要があるでしょう。その点についても、また別の機会にご紹介させていただければと思います。
発達障害を抱える子どもを持つ保護者の中には「育て方に問題があったのでは?」と自分を責めてしまう方もいらっしゃるそう。原因は育児や本人のせいでないこと、また発達障害は否定的な烙印を押すものではなく、適切な支えがあれば、子どもの持つ良さを十分活かして生きていけることを、頭に入れておきたいものですね。
※漢字表記については、厚生労働省および政府広報などに合わせて「障害」とさせていただいておりますが、「障碍」「障礙」「障がい」とも表記されます。
参考文献・サイト