ショッピングモールに並ぶ子ども服…そのキュートなデザインには、思わぬ危険が隠れていることがあります。「ボタンを誤飲しそうになっていてヒヤッとした」など、ご経験がある保育士さんや保護者の方も多いのではないでしょうか。2015年に子ども服の安全性についてJIS規定が公示されたことを受け、本日はより安全な、子どもと保育士さんの服について考えてみましょう!
カワイイ子ども服に潜む危険!海外では死亡事例も…
日本では、これまでに子ども服が原因となった重篤な事故について、きちんとした統計がないのが現状ですが、海外では衣類のフードやひもが原因で、子どもが亡くなった事例も報告されています。
◆2歳~8歳の幼児 衣服に起因した死亡事故件数(1985~1995) |
アメリカ | 12件 | フードに付属するひもや、首周りのひもが運動場の施設やベッド柵、エスカレーターに引っかかり窒息、または窒息寸前となった。 |
ヨーロッパ | 8件 | フードに付属するひもや、首周りのひもが、滑り台などに引っかかり首が絞まった。 |
日本では"ヒヤリ・ハッと"も多数
東京都の協議会が2007年にまとめた報告書では、子ども用衣類が関係した危害や危険、ヒヤリ・ハッとの事例が多数報告されています。東京都在住の1歳~12歳までの子どものいる世帯を対象にしたこの調査では、全体の77%の人が危害、危険、ひやり・ハッとのいずれかを経験。うち16.5%が実際にケガをしていたことがわかりました。また、保育の現場においても、さまざまなヒヤリ・ハッと事例が報告されています。
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◆11カ月の男児のズボンのボタンが取れ、保育士が気付いたときには口に入れていた。保育士が取り出したため大事には至らなかった。 ◆モコモコの上着を着た幼児が、動きにくい状態で走りまわり、転んでしまった。 ◆家のドアのノブにフードがひっかかってしまった。 ◆フード付きの服を着て鬼ごっこをして、友達に後ろからフードを引っ張られて首が絞まり嘔吐した 。 ◆パーカーのポケットに三輪車のハンドルが引っかかって転倒した。 ◆ズボンのすそのヒモを踏みつけて転びそうになった。 |
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□ パーカーや上着のフード □ パーカーなどのポケット □ ホルターネックのひも(首が絞まる) □ ベルトのバックル(転んだ際の打撲) □ ファスナー(挟み込み) □ 女児のスパンコール(手を切る) □ サスペンダー □ ビーズ、ボタンなどの装飾品(誤飲) □ 長すぎる丈のスカートやズボン(転倒) □ フードに付属したひもやボンボン(挟み込み) □ 腰や背中部分のリボンやひも飾り □ 編み目大きいセーターなど(引っかかり) □ ドルマンスリーブなどゆとりが大きい服 □ ウエストやズボンの裾のトグル(留め具)(※) |
※トグルとは、ひもを調整し留めるためのパーツ。金属製や木製、プラスチックなど素材やデザインもさまざまです。
来年から適用!新しいJIS規格を学ぼう!
東京都の調査を受けて、2008年には全日本婦人子供服工業組合連合会などが中心となって、安全対策ガイドラインがまとめられたものの、これまで公的規格はありませんでした。しかし2015年12月には、子ども用衣料の安全性についてJIS(日本工業規格)が制定されることとなりました。
JISの内容とは…
JIS規格では、事故につながりやすいフードに関する推奨事項として、力が加わった際には本体から外れるよう、ホック使用などを活用することが望ましいとしています。またひもの使用については、年齢別に細かく規定を設けています。
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年少の子ども服 (出生~7歳未満) | 頭部および頸部にひもが付いた衣料をデザイン、製造、提供してはならない |
年長の子ども服 (7歳~13歳未満) | 頭部および頸部の引きひも(※)は自由端があってはならない。衣料の開口部を最大に開いて平らに置いた状態で、突き出たループがあってはならない。ループ円周は150mmを超えてはならない |
年少・年長の 子ども服 | ● ホルターネックのひもは頭部および頸部の範囲に自由端がないようにしなければならない ● 衣料の後部から出す、または結ぶ引きひも(※)装着ひも(※)および装飾ひも(※)があってはならない |
【ひもの定義】
■引きひも
…衣類の一部のサイズを調節するためのひも。調節部分以外は衣服の外部にでないもの。
■装着ひも
…衣料の開口部の結合、一部のサイズ調整なができるようにつけられたひも。ホルターネックのストラップや肩ひもなど。
■装飾ひも
…非機能的なデザインのためのひも
JIS制定前であっても、こういった子ども服のひもやフードに危険性があることをきちんと認識し、合わせて危険因子となりやすい部分をなるべく排除した、安全な服を選ぶことが大切でしょう。
保護者の理解を求めるために…保育施設の取り組みは?
安価でオシャレな服が手に入るなか、フードやひもの危険性を保護者に伝えても、「カワイイから他の服は着せたくない」「うちの子は大丈夫」と理解が得られないことも…なるべく保護者の協力が得られるよう、各園が行っている取り組み事例をご紹介します。
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◆ テレビなどで報道された、子ども服の危険性を話題にし、保護者の意識向上にはたらきかける。 ◆ 安全のために体育着に着替えさせて、1日を過ごさせる。保護者には年度はじめの保護者会などで、シンプルな服装で来園するように指導する。 ◆ 入園式、保護者会、懇談会などで、定期的にひもやフードの付いた服を避けるように呼びかけている。 ◆ フードのついた服を着用している場合には、内側に折りこむ ◆ 職員の見ていないところで事故が起こらないよう、ひもやフードは全面的に禁止している。 |
子どもの安全のため、全面的にひもやフードを禁止している園もあるようですが、保護者からは、子ども服にフード付きのものが多く困る…という意見も。JIS企画制定後は、より安全な服が増えることが予想されますが、引き続きお手紙や懇談会などで、危険性を伝えて理解を求めていくことが大切でしょう。実際に起こった事例などを交えて伝えると、説得力が増すでしょう。
保育士さんの服も子どもの危険に?
子どもにとって危険なのは、自分やお友だちの服だけではありません。保育士さんの服装も、時には子どもの危険につながります。子どもの服装についての指導だけでなく、保育士さん自身も、安全に配慮した服装を心がけましょう。
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■ ボタンが多い/取れかかっている ■ ビーズやビジューなどの装飾品がついている ■ 糸がほつれていたり、ワッペンが取れかかっている ⇒誤飲の可能性があります。 ■ ウエストベルトのバックル ■ ズボンのポケットなどについた金属製のボタン ⇒子どもがぶつかってきた際に打撲などの危険があります。 ■ パーカーなどのフード ■ 背面の引っぱれる部分(大型ポケットなど) ⇒子どもがつかんでいる際に立ち上がるなどで、子どもが転倒する危険があります。 ■ 後ろで結ぶタイプのエプロン ■ ウエストなどについている引きひも ⇒子どもが手などを絡める危険性があります。 ■ ファスナー ⇒指などを過ってはさむ危険性があります。 ■ (ヘアアクセサリー) ⇒衣服ではありませんが、ケガや誤飲の可能性があります。 |
編集者より
子ども服売り場では、近年、本当にステキな洋服が並んでいます。我が子がいれば、かわいらしい装いをさせてあげたいことでしょう。しかし、子どもにとってまず大切なのは"安全性"。大人には思いもよらぬものが危険につながってしまいます。
また、衣服のメンテナンスも重要。ボタンが取れかかっていないか、糸のほつれがあったり、穴が開いていないか…定期的にチェックし、誤飲などを防ぐように心がけたいものですね。
参考文献・サイト