【2019年最新版】知っておきたい待機児童問題の現状~原因と対策~

2016年には、子どもを保育園に預けることができず仕事を辞めざるを得なくなった女性が「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名ブログで憤りをあらわにし、大きな反響を呼びました。
いまや「待機児童問題」は、看過することのできない大きな社会問題となっています。
保育士の皆さんはまさに「待機児童問題」の現場で働いているわけですが、この問題についてどれくらい関心をもっているでしょうか?
今回は待機児童問題の現状と原因、解決のための対策について紹介します。
そもそも「待機児童」って?
まずは2017年3月に変更された新しい定義を確認するとともに、その定義の陰に隠された「隠れ待機児童」の問題について解説していきます。
待機児童の定義(2017年3月に変更)
◆待機児童にカウントしなくてもよいとされるケース◆ |
・特定の保育所を希望している |
定義から外れてしまう「隠れ待機児童」も存在する
ですが、これによって「隠れ待機児童」がいなくなったわけではありません。
その理由にはたとえば以下のようなケースが当てはまります。
・子どもを預けられないために求職活動ができず、やむを得ず休止しているケース
・利用時間が短いなどのデメリットがあっても、保育園に入所できなかったために仕方なく利用しているケース
待機児童としてカウントしなくてもよいとされる「例外」について、どこまでを待機児童としてカウントするかは、各自治体の判断にゆだねられているのが現状。
そのため、実際には保育園に入れなくて困っているのに待機児童にはカウントされない「隠れ待機児童」は、新たな定義のもとでもまだ多く残ると見られています。
全国の待機児童の数はどれくらい?
厚生労働省が発表している「保育所等関連状況取りまとめ」によれば、2018年4月1日時点での待機児童数は19,895人。
認定こども園や地域密着型の保育事業を含めた保育所等利用定員が大幅に増加したことから、前年比6,186人の減少に成功しています。
近年の待機児童数の推移(平成28年以降) | ||
2018年(平成30年)4月1日 | 19,895人 | 前年同月比6,186人減 |
2017年(平成29年)4月1日 | 26,081人 | 前年同月比2,528人増 |
2016年(平成28年)4月1日 | 23,553人 | 前年同月比386人増 |
(2018年4月)待機児童数ワーストランキング
次に多い兵庫県は1,988人、3番目に多い沖縄県は1,870人でした。
【都道府県別】待機児童数ワースト5 | ||
1 | 東京都 | 5,414人 |
2 | 兵庫県 | 1,988人 |
3 | 沖縄県 | 1,870人 |
4 | 埼玉県 | 1,552人 |
5 | 千葉県 | 1,392人 |
【市区町村別】待機児童数ワースト5 | ||
1 | 兵庫県明石市 | 571人 |
2 | 岡山県岡山市 | 551人 |
3 | 東京都世田谷区 | 486人 |
4 | 東京都江戸川区 | 440人 |
5 | 兵庫県西宮市 | 413人 |
なぜ待機児童は増え続けているの?
しかし実際には、2018年になった今でも待機児童問題は解決していません。。
なぜ待機児童は一向に減らないのか。そこにはさまざまな原因があります。
待機児童が減らない原因 |
◆共働き世帯の増加や女性の社会進出が進んだことなどから、女性の就業率が上がり、保育ニーズが高まっているため |
保育は保育園を作るだけでは成り立ちません。保育士不足問題と待機児童問題とは、決して切り離して考えることのできない「表裏一体」のものなのです。
保育士不足の原因は給与だけじゃない!本当の理由とは…
地方でも待機児童問題は深刻!
保育園そのものが少ない
保育士の確保が難しい
所得の水準が低い
待機児童解消に向けた今後の対策は?
しかしながら現在も待機児童が減らない状況となっていることから、2018年以降は「子育て安心プラン」という新たなプランに取り組み、2020年(平成32年)末までの3年間で待機児童を解消する方針を立てています。
「子育て安心プラン」とは
子育て安心プランの2つの目標 | |
待機児童の解消 | 2018年度から2019年度末までの2年間で、待機児童解消に必要な受け皿、約22万人分の予算を確保する。2020年度末までの3年間で全国の待機児童を解消する。 |
「M字カーブ(※)」の解消 | 2018年度から2022年度末までの5年間で、女性の就業率80%に対応できることのできる約32万人分の受け皿を整備する。 |
女性の就業率が、結婚や出産を機に一度下がり、育児が落ち着いた時期にまた上昇するという状況をグラフ化したときに表れる特徴的な形状のことを示しているよ。
6つの支援パッケージ
1 | 保育の受け皿の拡大 |
2 | 保育の受け皿拡大を支える「保育人材確保」 |
3 | 保護者への「寄り添う支援」の普及促進 |
4 | 保育の受け皿拡大と車の両輪の「保育の質の確保」 |
5 | 持続可能な保育制度の確立 |
6 | 保育と連携した「働き方改革」 |
厚生労働省『「子育て安心プラン」について』(2017年6月22日発表)
東京都では保育士給与補助を上乗せ
とくに話題を呼んでいるのが保育士の給与補助の引き上げで、平成29年度から保育士1人当たり4万4,000円を上乗せするというもの。
今までに類を見ない大幅な給与上乗せは高く評価されるいっぽうで、「保育士人材が周辺自治体から東京都に流出するのではないか」との懸念も出ています。
編集者より
保育士有資格者のうち現在現場で働いている人の数は、3割〜4割程度しかいないとも言われており、有資格者のほとんどが現場で働けるようになるだけで、保育能力は現在の2〜3倍程度になるとされています。
ただし、潜在保育士の確保には大幅な処遇の改善や労働環境の改善が必要です。先に紹介した子育て安心プランの支援パッケージにもあったとおり、保育所の整備といったハード面への支援だけでなく、人材というソフト面への支援を行うことが、待機児童問題の解決への糸口であるといえるでしょう。









