保育士の離職率は高い?低い?定着しない理由や職場選びの秘訣を解説

保育士の離職率は高い?低い?定着しない理由や職場選びの秘訣を解説
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「保育士は激務で離職率が高い」と、聞いたことはありませんか?実際に、保育士不足や潜在保育士の多さが問題になっています。
しかし、全職業の平均離職率と比べると、保育士の離職率は極端に高いわけではありません。
そこでこの記事では、保育士の離職率や定着しないといわれている理由について詳しく解説します。
また、長く続けられる職場選びの秘訣もご紹介しますので参考にしてください。

保育士の離職率は?厚生労働省のデータから解説

保育士の離職率は?厚生労働省のデータから解説
厚生労働省によると、保育士登録者数は約154万人、実際に勤務している従事者は約59万人です。
保育士資格を持ちながら、関連施設で勤務していない潜在保育士は約95万人といわれています。
この数値を見ると「保育士はなかなか定着しない」と、感じる人も多いでしょう。
では、保育士の離職率は本当に高いのでしょうか?ここからは、厚生労働省のデータに基づいて保育士の離職率の実態を解説します。

公立・私立保育園ごとの離職率

保育士全体の離職率は9.3%、その内訳は以下のとおりです。

離職率

公立保育園

5.9%

私立保育園

10.7%

参考:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」

公立保育園で働く保育士は、全体の保育士より離職率が低いことが分かります。
公務員試験に合格した地方公務員は、給料面や福利厚生が優遇されているためだと考えられます。

残業が少なく、産休・育休・時短制度などライフスタイルの変化に対応しやすい環境が整っていることも、離職率が低い要因といえるでしょう。

経験年数ごとの離職率

保育園で働く常勤保育士の約半数が、経験年数8年未満となっており、早期退職の傾向があることが分かります。
経験年数ごとの割合は以下のとおりです。

2年未満

2~4年未満

4~6年未満

6~8年未満

8~10年未満

10~12年未満

全体

15.5%

13.3%

11.1%

9.5%

7.9%

6.7%

公立

10.8%

10.3%

9.4%

8.0%

6.8%

6.1%

私立

17.9%

14.9%

12.0%

10.2%

8.5%

7.1%

参考:厚生労働省「保育士の現状と主な取組」

なお、経験年数14年以上の保育士の割合は、公立で42.7%、私立で23.6%と2倍近くの開きがあります。
ここでも、公立保育園で働く保育士の離職率が低いことが分かるでしょう。

都道府県別の離職率

都道府県別に算出された離職率のデータは見当たりませんでした。
しかし、都道府県別の保育士の平均勤続年数から離職率を推測できます。

厚生労働省のデータによると、秋田・長崎が最も長く約15~16年となっています。全国平均である約8年を大幅に下回る、山形・茨城・千葉・神奈川・佐賀などは、離職率が高い傾向があるといえるでしょう。
参考:厚生労働省:保育士等に関する関係資料

他職種との離職率比較

公立・私立で比較すると、私立保育園で働く保育士の離職率が高く思えるかもしれません。
しかし、令和元年の一般労働者の離職率は11.4%のため、全体的にみると保育士の離職率は高いとはいえないのではないでしょうか?

保育士不足や潜在保育士の多さの問題から「保育士は離職率が高い」「激務で定着しない」などのイメージがついてしまっているのかもしれません。
実際に数値を見ると、印象と異なることが分かるでしょう。

参考:厚生労働省「2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概要」

辞める人が多い原因は?離職理由ランキング紹介

辞める人が多い原因は?離職理由ランキング紹介
過去に保育士として勤務していた人への調査によると、離職理由に「職場の人間関係」「給料面の不満」「仕事量の多さ」が挙げられています。

ここからは、それぞれの離職理由について詳しく解説します。

【1位】職場の人間関係

保育士の離職理由で最も多いのが、職場の人間関係です。
保育士に限らず、職場の人間関係を理由に退職を考える人は多いでしょう。とくに保育士は、女性の割合が多い職場です。

保育士登録者数

女性保育士

男性保育士

1,665,549人

1,583,219人

82,330人



男性保育士の数は増加傾向で推移していますが、女性保育士のみで構成されている保育園が多いのが現状です。
そのため、女性ならではの人間関係に悩み、離職を考える人が多いのではないでしょうか?

【2位】給料が安い

「保育士は給料が安い」「サービス残業や持ち帰り仕事により割に合わない」と感じて退職する人も少なくありません。いくらやりがいのある仕事とはいえ、給料の低さは死活問題です。

令和2年賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均月給は24万2700円、平均年収は72万700円です。
年収でいうと363万3100円になります。都心で一人暮らし、または定時で帰れないとなると「給料が安い」と感じても無理はありません。

近年では、さまざまな処遇改善により、給与水準が少しずつ上昇しています。
とはいえ、子どもの命を預かる責任のある仕事のため、まだまだ業務に見合った給料が支払われていないと感じている人が多いようです。

【3位】仕事量が多い

保育士は、子どもの保育だけでなく、さまざまな業務を担っています。
その業務量の多さは、離職理由上位になるほどです。日中はクラスの子どもたちの保育に追われ、業務時間外に各種計画・記録などの事務作業をおこなうことも。

季節の行事や製作物の準備も多く、持ち帰って対応している人も多いのが現状です。業務効率化のため、インターネットを活用したICT化の導入も進んでいます。
とはいえ「連絡帳は手書き」「発表会の衣装は手作り」など、まだまだ慣例の残る保育園も多いため、難しい問題といえるでしょう。

離職率の高さ・低さに影響するポイント

離職率の高さ・低さに影響するポイント
離職理由に挙げられた人間関係・給料・仕事量は、保育士の継続年数に大きな影響を与えます。
ここからは、どのような状況が離職率の高さ・低さに関係するのか詳しく解説します。

保育士の配置人数

人間関係がギクシャクする原因に、保育士不足が挙げられます。
保育士が不足していれば「自分の負担が多い」「うまく連携が取れない」とイライラして、同僚に当たってしまうこともあるでしょう。
保育士の職員配置基準は以下のように定められています。

0歳児

3人に保育士1人

1、2歳児

6人に保育士1人

3歳児

20人に保育士1人

4歳児以上

30人に保育士1人

参考:厚生労働省「児童福祉施設最低基準」

これはあくまでも最低基準であって、保育士が安心して保育できる人数ではありません。
ギリギリの人数配置では、体調不良などで保育士が欠勤したときに保育が成り立たない可能性もあります。
休んだ保育士への風当たりも強くなるため、保育士の配置人数は人間関係の問題に関係するといえるでしょう。

給与水準や有給取得率

離職理由として挙げられる保育士の給料の低さは、「経験年数に応じて上昇する」「月々のお給料は低いけど賞与が多い」となると、カバーできるかもしれません。
また、有給消化率が高く休みやすい環境であれば、給料が低くても頑張れると感じることもあるでしょう。

保育園行事の量

保育園行事の量は、業務量の多さに直結します。保育士の負担を軽減するために行事を簡素化している保育園も少なくありません。
しかし、業務の効率化を提案しても、新しいものを取り入れてもらえないとなれば保育士の負担は変わりません。

業務量の問題は、保育士の人数が増えたり、残業代など手当が支給されたりすることで改善されるとも考えられます。
離職理由の上位3つには深い関係があるといえるでしょう。

必ず見学を!長く続けられる保育園選びの秘訣

必ず見学を!長く続けられる保育園選びの秘訣
離職率の高さは、保育園によって大きく異なります。以下のように「保育園を続けたい」と思う理由は人それぞれです。
  • 給料は安いけど人間関係が良いので辞めたくない
  • 業務量は多いけどやりがいがあるので楽しい
  • 苦手な先輩がいるけど待遇が良いので我慢できる
人間関係・給料・業務量・やりがい・保育方針・通勤時間…保育士によって、職場に求める条件はそれぞれです。

自分に合った保育園で長く働くためには見学が欠かせません。そこでここからは、離職を防ぐ保育園選びの秘訣をご紹介します。

保育園のホームページ

気になる保育園があれば、必ずホームページを確認しましょう。しっかり更新されている保育園のホームページからは、以下のような情報が得られます。
  • 保育園の雰囲気や保育方針
  • 年間行事予定やこだわり
  • 受け入れ人数や保育士数
入園を検討している保護者向けのページがある場合は、合わせてチェックしておきましょう。
「連絡帳の負担がない」「普段の様子はカメラでいつでも確認できる」となっている場合は、保育士としてそのような対応が必要であると推測できます。

園庭の有無や敷地

保育園に見学に行ったら、園庭や敷地もしっかりチェックしておきましょう。
園庭がない場合は、日々の活動としてお散歩の引率をおこなう可能性があります。
また「掃除は行き届いているか?」「園庭のおもちゃは管理されているか?」などを確認することで、保育園の雰囲気を掴めるといえるでしょう。

掲示板や壁面

保育園に入ったら、玄関の掲示板や各種壁面を確認してみてください。
壁面の数やこだわり方によって、業務量を把握できるかもしれません。

季節に合わせた壁面は、保育室を明るく彩ってくれる大切なものです。しかし、こだわり過ぎている場合は、同じようなクオリティを求められるともいえるでしょう。
子どもの作品を飾ったり、ラミネート加工でアレンジしたりしているようであれば、負担を軽減できるかもしれません。

職員室の雰囲気

職員室に入る機会があれば、その雰囲気をしっかり確認しておくことをおすすめします。
書類が乱雑に積み上げられて入れば、常に業務に追われていることが推測できます。
保育士同士や園長先生への関わり方などをチェックすれば、普段の関係性を読み取れるでしょう。
また「結婚や出産後も変わらず働けるか?」など、ライフスタイルに合った働き方が可能かどうか、年齢層も合わせて確認しておきたいですね。

子ども達の様子

子ども達の様子を見れば、普段の保育の雰囲気を感じ取れます。
楽しそうな様子やリラックスした姿が見られたら、普段から保育士が余裕を持って接しているといえるでしょう。
また、絵本やおもちゃなど壊れたままにしていないかなども要チェックです。
子ども達のことを第一に考えられているか確認できます。

まとめ

給料が安く、離職率が高いと思われる保育士。しかし、全体的な数値で見ると離職率が高いとは言い切れないことが分かりました。
とはいえ、資格を持ちながら保育施設などで勤務しない潜在保育士は多く、保育士の半数は経験年数8年未満と短いのが現状です。

離職理由には、人間関係・給料・業務量が挙げられます。
自分に合った保育園で働くためには、求人応募前の情報収集が欠かせません。譲れない条件を挙げて、焦らず見極められるといいですね。
保育士・幼稚園教諭・保育教諭などの就職・転職をお考えの方は、ぜひ保育士ワーカーにご相談ください!
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