【乳児保育まとめ】基本情報からメリット、やりがい、難しさまで解説

乳児保育のイラスト
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0歳から2歳が対象となる乳児保育。働く女性が増えている近年では、乳児保育の需要はますます高まっています。乳児保育が働きたい女性の背中を押すこともあるので、社会において意義のある仕事と言えるでしょう。しかし保護者の方は、自分の子どもを初めて他人に預けるので、不安を感じる方もいると思います。この記事では、乳児保育の基本やメリット・デメリット、保育士さんの求められる役割をご紹介していきます。

乳児保育とは

乳児保育とは、0歳児・1歳児・2歳児の低年齢の子どもたちを保育することです。そもそも「乳児」とは、児童福祉法により「1歳未満」の子どもとされています。しかし保育園では、3歳以上の子どもたちに対する保育と区別するため0.1.2歳児を乳児クラスと呼んでいます。
乳児は成長するスピードが特に早いです。乳児保育はそんな時期に、食事や睡眠、排泄などの基礎習慣を集団行動のなかで身につけさせます。乳児期にどのような環境に置かれたかは、その後の情緒や感情の形成に大きく関わってくると言われているので、乳児保育は子どもの成長にとって大きな意義を持ちます。

乳児保育の基本

まずは、乳児保育の基本についてご説明します。

乳児保育の重要性の理由

乳児保育の需要は近年ますます高まっています。共働き世帯の増加や、生活や就労スタイルの変化により、乳児期の育児が難しくなった背景があると考えるでしょう。

乳児と幼児では、国の基準で定められた保育士の配置※が異なっており、3歳児は子ども20人につき保育士1人なのに対して、0歳児は子ども3人につき保育士1人、1.2歳児は子ども6人につき保育士1人です。乳児はコミュニケーションが取りにくいこともあり、丁寧な対応が求められています。

日本中に待機児童が多くいる問題は頻繁に取り上げられていますが、実は待機児童のうち低年齢児(0~2歳)の割合が全体の約70%を占めているのが現状です。国は1~2歳児の受け入れ先を中心に待機児童対策を進めているので、乳児保育士の需要も高い状態が続いています。
※参照:厚生労働省 児童福祉施設最低基準P3

新たな保育所保育指針

2018年4月から施行された新たな保育所保育指針※では、乳児保育を利用する家庭が増加したことにより、3歳未満児の保育に関する項目が設けられました。乳児保育については、身体的・社会的・精神的発達の基盤を養い育てるという考え方に基づき、保育のねらい及び内容を「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と気持ちが通じ合う」「身近なものと関わり感性が育つ」の3つの視点から、まとめられています。明確な指針が発表されたことで、今後の乳児保育の重要性が高まっていくでしょう。
※参照:厚生労働省 保育所保育指針解説

乳児保育の課題

乳児保育にはいくつか課題があります。1つ目は、保育士不足です。保育士不足は近年深刻な問題となっています。とくに乳児保育の場合は、1人の保育士が見られる子どもの数が少ないこともあり、保育士は不足状態です。この原因は、少子化でも待機児童が減らないことが指摘されています。そのため国は「保育士確保プラン」 を提案し、保育士を確保するために、新たな取り組みを行っています。

2つ目は、保護者のケアです。「赤ちゃんは母親が育てるべき」という風潮は今の時代でも残っているので、乳児を保育園に預けていることに、罪悪感を感じている保護者も少なくないと思います。保育士はそんな保護者に、安心して子どもを預けてもらうようにするのも仕事のひとつです。
また保護者が見ることができない保育園での子どもの様子や課題などを、連絡帳で連携を取りながら子育ての支援を行うことも、保護者に求められる保育士の仕事と言えます。

乳児保育のメリット

次に、乳児保育を利用する保護者にとってのメリットをご紹介します。

発達や年齢に応じた遊びを提供できる

乳児期にはそれぞれ年齢に合った保育が求められます。なぜなら、子どもの年齢が同じだったとしても、乳児期での4月生まれと3月生まれでは成長に大きな差があるからです。そのため、個々の発達に合わせた保育を行わなければなりません。

例えば「遊び」でいったら、0歳児は歩くこともできず言葉も話せませんが、ハイハイをして動くことでき、人の顔の違いも分かります。そのため、0歳児でもコミュニケーションが取りやすいリズム遊びは、子どもも楽しんでくれるでしょう。
1歳児は歩けるようになるので、体幹を鍛えたり、バランス感覚を養えたりする遊びができます。マット運動やボール遊び、積み木遊びは、自宅で広いスペースを取れない家庭もあるので、保育園で部屋いっぱい利用して遊んでみましょう。
2歳児になると、お友達と関わる遊びができます。「だるまさんが転んだ」や「鬼ごっこ」がおすすめ。これらは、遊びの中でルールを覚えていくので、決まり事を守るという感覚を学びます。また、おもちゃを使った「おままごと」は、役になりきって遊ぶので、言葉をたくさん覚える機会になります。

集団行動の中で基礎的な生活習慣を身につけられる

乳児保育の他のメリットとして、集団行動の中で基礎的な生活習慣を身につけられる点もあります。主に、食事や排泄、睡眠です。
食事はただ食べ方を覚えるだけでなく、食事の前には手を洗ったり、みんなで「いただきます」「ごちそうさま」の声を合わせたり、食べた後は食器を片づけたりなど、一貫したマナーを学べます。
また、排泄は人間の生理現象でもあるので、大事な生活習慣のひとつです。自分が穿いていたおむつを専用のごみ箱に入れて、新しいものに変えることを覚えたり、1.2歳になったらトイレトレーニングを行ったりします。
さらに、睡眠も学びのひとつで、布団に入って部屋が暗くなったら、寝る時間だと認識してくれます。保育園でのお昼寝の時間で、寝るときは静かにする、目をつむれば寝れる、と覚えるので、自宅でも実践してくれるはずです。

保護者の仕事と子育ての両立を支えられる

子どもを保育園に預けることで、保護者は子育てから離れる時間ができ、他の事に集中することができます。仕事と家事や育児の両立は非常に大変で、成し遂げるには周囲のサポートが不可欠です。そのため、保育士さんが日中に子どもを見てくれることにより、保護者の共働きや再就職の後押しになるでしょう。

乳児保育士になるためには

乳児保育に関わるために、特別な資格は必要ありません。必要な資格は保育士資格のみです。保育士の中で、乳児保育に関わる保育士のことを乳児保育士と呼ぶこともあります。
乳児保育士には、子どもの成長や発達に応じた知識や援助の技術、また、乳児期の子ども一人ひとりと関わる保育士の責任は大きいので、常に高い意識を持って仕事をすることが求められます。
乳児保育に役立つ資格は、ベビーシッターやチャイルドマインダーなどがあるので、知識を得たり、より良い乳児保育をするために、ぜひ検討してみてください。
また、乳児保育士としてキャリアアップを目指すのであれば、キャリアアップ研修の乳児保育研修を受けると役立つでしょう。

乳児保育のやりがいと難しさ

乳児保育のやりがいは、乳児の成長を肌で感じられることです。0.1.2歳児の子どもたちの成長は、目に見えるほど早いのが特徴。昨日まで歩けなかった、自分で着替えられなかった、自分の気持ちを伝えられなかった子どもたちが、次の日にはできるようになっていることがあるのです!それらの成長には保育士の手助けが不可欠なので、自分が子どもたちが成長を支えていると実感したときは、嬉しさがこみ上げると思います。

一方で、乳児保育の難しさもあります。まずは、言葉でのコミュニケーション。言葉を話すことができない時期には、泣き声や表情、喃語で気持ちを伝えようとするので、子どもが求めていることを読み取る力・察する技術が必要です。
また、突発的な病気や事故のリスクもあります。乳児はお母さんから免疫機能をもらっていますが、それが続くわけではないので、生後6ヶ月を過ぎると様々な感染症などにかかりやすくなります。乳幼児突然死症候群や怪我だけでなく、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症にならないように、毎日検温を行ったり、子どもの様子の変化に気づけるようにしましょう。

まとめ

ここまで、乳児保育についてご紹介してきました。乳児保育に関わりたいと考えている方は、まずは0.1.2歳児の発達を理解することから始めるのがおすすめです。大変なことももちろんありますが、子どもの成長を見守るやりがいは何にも何にも代え難いと思います。
また乳児保育に預けようと考えている保護者の方も、ぜひこれを機会に、乳児保育園で保育のプロに頼ることを考えてみてはいかがでしょうか。
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