5歳児クラスの保育の基本を徹底解説|発達・遊び・保育士の関わり方を学ぼう

階段を昇る子供たち
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5歳児保育でおさえておくべき発達の特徴

折り鶴で遊ぶ子供たち
5歳児クラスの保育を行うために、まずは年長さんの発達の特徴を抑えておくことが大切です。

発達がわかると、遊びの設定や言葉掛けの仕方、生活面の指導や友達との関わり方など、保育をする視点がわかりやすくなります。

日々の保育が設定しやすくなるので、しっかりと5歳児の発達の特徴を抑えていきましょう。

1.運動の発達

5歳になると運動機能やバランス感覚が発達して、複雑な動きや複数の運動を同時に行えるようになります。
例えば、「ソーラン節を踊る」「縄跳びをしながら走る」「ドッジボールでボールを受けたり避けたりする」という運動ができるようになります。

運動神経は5歳頃から急激に発達していくと言われているので、この時期にたくさんの遊びを経験させてあげましょう。

2.知的・精神的な発達

5歳児になると、図形・数字・時計などに興味を持ったり、ハサミや折り紙などの細かな遊びが上手にできるようになります。

また、記憶力や集中力が高まる時期なので、長編のお話を楽しむことができるようになります。

精神面では、「協調性」「応用力」「適応力」が身につけられるように、頑張る・諦めない・譲るといった複雑な気持ちの変化を大切に、言葉掛けを行ったり見守ったりしていきましょう。

3.生活面での発達

身の回りのことが自分でできるようになり、見通しを持って行動ができるようになります。

例えば、脱いだ服を畳む・時間になったら入室する・汗をかいたら自分で拭くといったことを、保育士に促されなくても自分の判断でできるようになります。

ただし、5歳になったからできるわけではなく、基本的な生活習慣が身につくように繰り返し伝えることが大切です。

4.社会的な発達

友達との関わりが深まる時期で、ルールを決めたり話し合いをしながら一緒に遊ぶ工夫ができるようになります。

自分の意見や判断ができるようになることで、友達と意見がぶつかってケンカをしてしまうこともあります。
先生に助けを求めるケースもありますが、保育士さんが答えをだすのではなく、子どもが主体となって「どうしたらいいのか」ということを考えられる言葉掛けをしていきましょう。

5歳児の保育で抑えておくべき5つのポイント

ポーズをとる保育士さん
5歳児の発達の特徴を踏まえた上で、具体的な保育の内容について「保育計画」に沿ってポイントを紹介していきます。
保育計画に沿って保育を考えると、月案の作成や日々の保育の設定・シーンに合った言葉掛けがしやすくなるので、各項目ごとに詳しく解説していきます。

ポイント①:健康

5歳児の健康のポイントは以下の通りです。

□園での生活の流れがわかり、見通しを持って行動し身の回りのことを自分から進んでする。

□戸外での遊びに喜んで取り組み、体をのびのびと動かして遊ぶ。 

□園庭の玩具を片付けるなどの生活のルールや約束がわかり、守ろうとする。 

□気温や活動に応じて休息をとったり、衣服を調節したりする。 

□健康な生活や病気の予防に関心を持ち、手洗いうがいなどを意識して行う。 

ここでの保育のポイントは、基本的な生活習慣を見通しを持って行えるようにすることです。

「何をする時間なのか」「暑い・寒い時はどうしたらいいのか」ということを知らせたり、健康に興味が持てるように「汗をかいたままだとどうなるのか」「手洗いうがいをしなとどうなるのか」ということを意識できるようなお話を取り入れていきましょう。

ポイント②:人間関係

5歳児の人間関係のポイントは以下の通りです。

□年下の友達の様子を気にかけ、親しみを持ってかかわろうとする。 

□やりたい遊びに進んで取り組む中で、友達のしていることに関心を持つ。 

□友達とともに力を合わせたり考えを出し合ったりする中で、みんなでやり遂げる喜びを感じる。

□友達と遊びのルールを考えたり、必要に応じて自分たちで作りながら遊びに取り組む。

□自分の考えと相手の考えの違いに気付き、折り合いをつけながら一緒に行動しようとする。 

人間関係の大きなポイントは友達との関係作りです。

5歳児になると「自分の意見を伝える」「相手の意見を聞く」ということができるようになりますが、子ども任せにしてはいけません。

友達関係が対等にうまくいっているかどうかをよく観察し、その都度「思いやり」や「態度」などのマナーを伝えていきましょう。

ポイント③:環境

5歳児の環境のポイントは以下の通りです。

□ 身近な素材や遊具を使い、自分の思いや考えを出しながら遊ぶ。 

□夏野菜などの栽培物の生長に関心を持ち、育成の喜びや食への関心を高める。 

□ 季節の変化や自然の不思議さや面白さに関心を持ち、観察したり調べたりする。 


ここでの保育のポイントは、子どもの気付きをいかに引き出せるかが重要になります。

子どもの想像力は豊かですが、それを表現する環境が整っていなければ長所を引き出すことはできません。

例えば、季節による草花の変化の違いを子どもに問いかけて好奇心を刺激してみたり、教材や玩具がいつでも遊べるように整え、子どもの発想を自由に表現できる環境を作っていきましょう。

ポイント④:言葉

5歳児の言葉のポイントは以下の通りです。

□自分の思いや伝えたいことを友達や先生に話す。 

□先生や友達の話に興味を持って最後まで聞こうとする。 

□自分の発見したことや感動したことを、相手にわかるように話したり聞いたりする。 


5歳児になると、自分の思いや考えていることを言葉で伝えられるようになり、相手の話をきちんと理解して聞くことができるようになります。

しかし、誰もが自分の思いをすぐに言葉にできるわけではありません。そこで大切になるのが「待つ」ということです。

ついつい大人が子どもの思いを言葉にしてしまいがちですが、子どもが自分の言葉で表現できるまで待つことで、話す力や思考力を伸ばすことに繋がります。

どうしても言葉がでない時は、「◯◯さんはどんな気持ちだったのかな?」「こんな時はどうすればよかったかな?」など、ヒントを出しながら子どもの言葉で表現できるように促してあげましょう。

ポイント⑤:表現

5歳児の表現のポイントは以下の通りです。

□遊びに必要な用具や材料を探したり、自分なりに試したりして遊ぶ。

□自分の思いやイメージを表現することを楽しむ。 

□友達と一緒に歌ったり合奏したりする中で、友達と力を合わせる楽しさを感じる。 


創造力や再現力が豊かになる時期なので、ごっこ遊びに必要なものを自分達で作って遊べるようになります。

しかし、子どもの創造力を発揮できる環境が整っていないと表現することはできないので、教材や散歩先で見つけた植物・廃材を自由に使える環境を整えておくことをおすすめします。

5歳児保育で保育士が気をつけるべき3つの内容

笑顔でマジックペンをもつ保育士さん
子どもの年齢によって保育士さんの関わり方は異なり、子どもの成長に合った関わり方をすることで子どもが大きく成長するきっかけになります。

日々の保育内容をメインに考えてしまうことも多いかと思いますが、5歳児の保育を行う上で気をつけるべき内容を確認することで、5歳児に必要な保育の全体像が把握しやすくなります。

「どこまで保育士が関わるべきかわからない」
「言葉掛けの仕方が難しい」
「卒園までにどの程度まで出来るようにしておくべきかわからない」
といった悩みにも役立つ内容なので、ぜひ読んでみてください。

子どもの主体性を大切にする

主体性とは、「自分で考えて判断し、責任をもって行動する」力のことです。

主体性というと難しいですが、例えば、子どもが好きな遊びを見つけられるように環境を整える・お祭りや運動会などの内容や競技を子ども達と話し合って決めるなどです。

決められたことだけをするのではなく、自分や周りのお友達と考えたり話し合ったりすることで主体性を高めることができます。
主体性を大切にした保育は、自分達の力でやり遂げた満足感や達成感を味わうことができ、目的に向かって協力する気持ちが芽生えるきっかけにもなります。

ついついクラスの子ども達を心配してしまう保育士さんの気持ちもわかりますが、子どもに任せて見守る・さりげなくフォローするということも大切にしてみてください。

子どもが自信を持てるようにする

子どもが自信を持てるようにするもっとも身近で重要なことは、保育士さんの言葉掛けです。

自信をつける言葉掛けの基本は「褒める」こと。自信を持つことは、社会性や人間性といった子どもの成長に必要不可欠なことなので、言葉掛けのコツを抑えておきましょう。

〈褒める言葉掛けのコツ〉
● 子どもの目を見て笑顔で褒める
● 子どもの良いところを見つけたらその場で褒める
● 子どもを褒める時は具体的に褒める
● 結果ではなく過程を褒める
● 子どもがお手伝いをしてくれたりした時は感謝の気持ちを伝える


このような言葉掛けは、大好きな先生がちゃんと自分のことを見てくれているという喜びや安心感にも繋がります。

認められることは心の成長に大きな影響を与えるので、子ども達の良いところをたくさん見つけてあげてくださいね。

小学校入学を視野に入れて保育を行う

5歳児クラスでは、小学校に入学した時に子ども達がスムーズに小学校の生活に入れるような活動を保育に取り入れることが大切です。

例えば、自分の名前を書くことに興味が持てるようにする・絵本の読み聞かせや、保護者に伝えてほしいことを話すなど人の話を聞く機会を設ける・身の回りのことは自分でできるようにするなどです。

保育園は小学校のためにあるわけではないので、あくまでも保育の一貫の範囲で楽しく取り入れてみてください。

5歳児保育でおすすめの遊び

走っている子供
5歳児保育ではどんな遊びが向いているのかわからないという保育士さんもいると思うので、ここでは5歳児におすすめの戸外遊びと室内遊びをご紹介していきます。

戸外遊び

5歳児になると、ダイナミックな動きやルールのある遊び、集中力の必要な遊びができるようになります。

そこでおすすめなのが以下のような遊びです。

● 花いちもんめ
● かごめかごめ
● 鬼ごっこ
● どろけい
● 田んぼの田
● ピカピカ泥だんご作り
● ドッジボール
● ゴム跳び

など

ルールがわかると子ども達だけでも遊べるようになるので、いろんな遊びを教えてあげましょう。

いろんな遊びを経験することで、子ども達自身で遊びを考えたり、作った遊びを友達と共有して楽しむ姿も見られるようになります。

室内遊び

外で遊べない日が続くと、室内遊びに悩む保育士さんは多いのではないでしょうか?そんな時は以下のような遊びを取り入れてみてください。

● マット運動や平均台を組み合わせたアスレチック遊び
● フルーツバスケット
● ハンカチ落とし
● 宝探しゲーム
● ジェスチャーゲーム
● ハサミやボンドを使った製作
● 紙飛行機


5歳児になると集中力が高まるので、遠くまで飛ばせる紙飛行機はどうやったら作れるかなど、夢中になれる遊びが楽しめます。

また、ルールがある遊びも楽しめるので、フルーツバスケットのようにゲームをしながら身体を使う遊びもおすすめです。

5歳児保育のまとめ

並んでいるクレヨン
5歳児の保育を行うには、子どもの発達の特徴を捉えた上で保育内容を決めることが大切です。
5歳児の発達を把握しておくことで、日々の保育・保育士の関わり方・向いている遊びがわかるようになり、保育の全体像を掴みやすくなります。
5歳児クラスの保育に悩んだ時は、この記事を参考にしていただければ幸いです。
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