リトミックとは？目的や効果は？年齢別の特徴ややり方を解説！

リトミックとは、ピアノなどの音に合わせて、自由に身体を動かして楽しむ活動です。
リズム感や運動能力を育むことから、習い事としても人気があります。
音楽や表現遊びが好きな子ども達のために、保育園の設定保育にも積極的に取り入れたいですよね。

そこでこの記事では、保育園でおこなうリトミックの目的や効果を詳しく解説します。
また、リトミックの年齢別の取り入れ方もご紹介しますので参考にしてください。

リトミックとは？

リトミックとは、スイスの作曲家である「エミール・ジャック＝ダルクローズ」が考案した教育法です。
基礎的な音楽能力を伸ばす教育法で、音に合わせて体を動かしたり、表現を楽しんだりする活動が主となります。
保育園でリトミックを取り入れるときは、保育士がピアノを弾いて、子ども達がその音に合わせて自由に体を動かします。

同じような活動として、リズム遊びやお遊戯などが挙げられますが、リトミックとは大きく異なるものです。
リズム遊びやお遊戯は決められた踊りを再現したり、保育士の動きを真似したりして楽しみます。
リトミックは「自由な表現」が基本となるため、目的別に取り入れると良いでしょう。

リトミックに効果はない？

習い事としてリトミックをおこなっている保護者のなかには、「リトミックでどんな効果が出ているのかわからない...」と感じている人もいるかもしれません。

しかし、リトミックには子どもの感性を養ったり、表現力を育んだりする効果が期待できます。
そのような能力は、短期間で目に見えるものではありません。
続けていくうちに豊かな感性となって身に付くはずなので、焦らず見守ることが大切です。

保育園でリトミックを取り入れる目的やねらい

保育園でリトミックを取り入れるときは、明確な目的やねらいを持っておくことが大切です。
ここからは、リトミックに期待できる効果から、考えられる目的やねらいを解説します。

リズム感や音感など子どもの音楽的感性を養う

リトミックでは、リズムに合わせて体を動かしたり、鈴やカスタネットで音を鳴らしたりするなかで子どもの音楽的感性を養います。
また、子どもの反応を見て音楽を変えたり、音の強弱を調整したりすることで、子どもの五感を刺激するねらいもあります。

音楽に合わせて体を動かすことで運動能力を高める

リトミック中は、音楽に合わせてそれぞれ好きな動きを楽しみます。
うさぎのようにジャンプしたり、楽しそうにスキップしたり。ときには、どんぐりのように転がることも。
体を自分のイメージどおりに動かすことで、バランス感覚や柔軟性といった運動能力を高められます。

お友達と一緒に楽しむことで協調性や社会性を身に付ける

ひとつの音楽に合わせて、友達同士で体を動かすことにより協調性や社会性を身につけられます。
リトミックにはグループでできるゲームもあり、一緒に活動することで連帯感を意識できるのも大きなメリットといえるでしょう。

【年齢別】子どもの特徴やリトミックの取り入れ方

保育園でのリトミック指導に資格は必要ありませんが、ピアノの技術は欠かせません。
子どもの様子を見ながら、曲の長さや強弱を調整します。基本的なリトミックの流れは以下のとおりです。

１．リトミックが始まる合図となる曲をピアノで演奏する
２．ピアノ担当の保育士が童謡などをテンポ良く演奏する
３．曲が変わるごとに子どもたちが自由な表現を繰り返す

リトミックが始まる合図として「冒険へ行こう！どんな出来事が起こるかな」「散歩へ行こう！誰と出会うかな？」など、テーマを決めておくのもおすすめです。
「ぞうさん」「とんぼのめがね」「きりんさん」などを演奏して動物の真似をしたり、「怖い音」「急ぐ音」を演奏して、冒険や散歩に臨場感を持たせたりしても良いですね。

また、リトミックは子どもの年齢や動きに合わせた指導が欠かせません。
そこでここからは、年齢に合ったリトミック指導について解説します。

0～1歳児のリトミック

0～1歳児は、まだ身体や言語の能力が未熟なため本格的なリトミックは難しいでしょう。
しかし、乳児期のうちから音楽に触れ合うことで、五感を刺激できます。音楽に合わせて体をゆらしたり、手を叩いたり、簡単な歌遊びから始めましょう。
以下のような、ふれあい遊びもおすすめです。

●     ちょちちょちあわわ
●     ラララぞうきん
●     いっぽんばしこちょこちょ

ゆっくりとした口調で歌い、何度も繰り返すことが大切です。
音楽の心地よさを味わうことが、のちのリトミックへの意欲につながります。

2～3歳児のリトミック

2～3歳になれば、大人の真似だけでなく自発的な表現が可能になります。
見本を見せつつ、簡単な童謡から取り入れてみましょう。

●     ちょうちょ
●     どんぐりころころ
●     うさぎのだんす
●     せんろはつづくよどこまでも

ポイントは、歌詞を聞くだけでイメージが湧く曲選びです。
「ころころ＝転がっている」など、歌詞から動きを連想して楽しみます。
また、リトミックの一環として自由に楽器に触れる時間を設けても良いですね。

4～5歳児のリトミック

4～5歳児は、身体や言語能力だけでなく、想像力や表現力も発達しています。
そのため、それぞれが感じたことを体全体で表現できるようになります。
音から雰囲気を感じられる曲を取り入れてみましょう。

●     走りたくなるようなテンポの良い曲
●     動きがのろのろになるようなゆったりとした曲
●     スキップしたくなるような明るい曲
●     飛び跳ねたくなるような強弱のある曲

歌詞のない曲を使うことで、こどもの想像力を刺激できます。
子ども達は、感じたままに表現します。
グループに分かれて楽しんだり、布やすずらんテープを使って表現の幅を広げたりするのもおすすめです。

リトミックが苦手な子どもへの関わり方

音楽に合わせて体を動かすリトミック。
子どもが好きそうな活動ですが、なかには苦手意識を持ってしまう子どもも少なくありません。
そこでここからは、リトミックが苦手な子どもへの関わり方を解説します。

リトミックへの参加を無理強いしない

リトミックに興味を持っていない、一緒に体を動かそうとしない子どもに参加を無理強いしないよう注意しましょう。
いつもと違う雰囲気に、不安を感じている可能性があります。
「一緒に見ていようか」「したくなったら言ってね」と、子どもがリトミックの雰囲気に慣れるまで温かく見守ってあげましょう。

一緒に体を動かす保育士の数を増やす

リトミックをおこなうとき、保育士一人がピアノを担当、もう一人が動きの見本として子ども達に声をかけながら誘導します。
そのため、クラスによってはリトミックを苦手と感じている子どもに寄り添えないという問題があります。
リトミックの活動時間だけでも保育士の数を増やせれば、子どもが参加しやすくなるような対応が可能となるでしょう。

リトミックのどこを苦手と感じているか把握する

リトミックへの参加を嫌がる子どもは、なんらかの苦手意識を抱えているはずです。
たとえば「みんなの激しい動きが苦手」「自由にと言われるのが苦手」など、その理由はさまざまです。
どんなシーンを苦手と感じているのか把握することで、良い対応が見つかるかもしれません。

リトミックを指導するためのポイント

保育活動にリトミックを取り入れるなら、子ども達に思いっきり楽しんでほしいですよね。
そのためには、保育士の指導が欠かせません。
リトミック指導のポイントは以下のとおりです。

まずは保育士が歌や自由な表現を楽しむ

子ども達にリトミックを楽しんでもらうためには、まずは保育士が全力で楽しむ必要があります。
「ピアノが苦手で弾くことに精一杯」「体がだるくてあまり動けない」となれば、盛り上がりに欠けてしまいます。
間違えても良いので自由に、思いっきり楽しんで取り組む姿勢を見せましょう。

子どもの自由な発想を尊重する

リトミックは、ピアノの音に合わせて自由に体を動かすのがポイントです。
「ぞうさん」の歌で長い鼻をアピールしたり、「とんぼ」の歌で空を自由に飛ぶ真似をしたり…。
しかし、なかには「寝ているぞう」「エサを食べているとんぼ」を表現する子どもも。
保育士が動きを決めず、自由な発想を尊重してあげましょう。

思いっきり体を動かすための環境構成をおこなう

リトミックでしっかり体を動かすためには、安全に配慮した場所選びが大切です。
いつも過ごしている保育室でおこなう場合は、広さが十分か確認しましょう。
電車や飛行機の真似をしていると、動きが活発になります。
棚にぶつかったり、足を滑らせたりしないよう環境構成に留意しましょう。

まとめ

リトミックは、基礎的な音楽能力や子どもの自由な表現力を培う活動です。
保育現場で取り入れる際、リトミックに関する資格は必要ありません。
しかし、年齢ごとに適した曲や体の動かし方が異なるため、ピアノの技術や指導力が求められます。
子どもが自由な表現を楽しめるよう、しっかり準備して活動に取り入れてみてくださいね。

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