乳児院とは?乳児院の詳細や働く環境をわかりやすく解説

赤ちゃんの足
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「乳児院とはどのような施設なのかよくわからない」
「保育園などの一般的な保育施設と乳児院の違いを理解したい」
「乳児院で働くために必要な資格や雇用条件を知りたい」

このように、乳児院で働くことに興味があっても、詳しいことがわからずに就職や転職に足踏みをしている人もいるかと思います。
乳児院は保育園などの一般的な保育施設とは大きく異なるため、事前に乳児院について理解を深めておくことが大切です。

転職・就職後に「イメージと違った」ということにならないように、この記事では乳児院についての詳細や働くための環境について紹介していきます。

乳児院とはどのような施設なのかをわかりやすく解説

赤ちゃん
乳児院とは、児童相談所などで「何らかの事情で保護者との生活が困難」と判断された0歳〜2歳の乳児が入所する施設です。
乳児院では入所した子ども達を24時間365日体制で保護し、安全な環境で家庭的な養育をすることを目的としています。
このように、子どもの家庭環境や施設での養育時間が一般的な保育施設とは大きく異なる点です。

また、乳児院と同様に、家庭的な養育を24時間365日体制で行う児童養護施設との大きな違いは入所できる年齢で、乳児院の0歳〜2歳に対し、児童養護施設は1歳〜18歳が対象となります。
ただし、乳児院を退所すると児童養護施設へ移る子どもが22.3%いるので、乳児院の延長線上に児童養護施設があるともいえます。

乳児院とはどのような役割があるのか

笑顔のスタッフ
家庭での生活が困難な乳児が入所する乳児院では、大きく分けて3つの役割があります。

1.専門的なケアと教育
2.保護者や里親・養子縁組へのサポート
3.地域の子育て支援

 
それぞれの役割を理解することで、乳児院で働く保育士の仕事内容も見えてきます。
乳児院で働く上で必要となる基本的な知識ですので、しっかりと確認していきましょう。

1.専門的なケアと教育

乳児院には、虐待・障がい・疾患など、さまざまな事情を抱えた子どもが入所しているため、保育士だけでなく医師・看護師・心理士などによる、専門的なケアと教育が必要となります。
その他にも、児童相談所・行政機関・医療機関との連携が強く、子どもに対して必要なサポートができることも大きな特徴です。

このように、乳児院では子どもへの家庭的な養育だけでなく、心身ともに特別なケアを行う役割を担っています。

2.保護者や里親・養子縁組へのサポート

乳児院の役割は家庭的な養育・専門的なケアだけではありません。
乳児院では、子ども達が親元で一緒に暮らせることを目指しているため、保護者のサポートや、家庭復帰ができた場合のアフターケアを行うことも役割の一つです。

親子関係の修復・調整・再構築といった家族支援に取り組むことで、平成23年全国乳児院入所状況実施調査のデータでは、約56%の子どもは親元へ帰ることができています。
親元での生活が叶わない子どもには、里親制度や養子縁組で新しい家族を探し、家族になるためのサポートやアフターケアを行うことも役割として担っています。

参照:平成23年全国乳児院入所状況実施調査

3.地域の子育て支援

乳児院の子どもの養育だけでなく、地域の子育て支援として、以下のような育児サービスに取り組んでいます。

育児サービス

支援内容

電話相談(赤ちゃん110番)

子育ての不安や困ったことへの電話相談

育児相談

対面や電話による育児相談

里親相談・養育家庭相談

里親などで子どもを引き取りたい家庭への相談

ショートステイ事業

家庭の事情により育児が困難な場合に預かる事業

病児保育

家庭や集団保育が困難な期間一時的に預かる事業

病・虚弱時の養育

虚弱体質や障がいにより、保育施設に入所できない時に預かる事業

この他にも、乳児院によってさまざまな子育て支援が行われていることがあります。
気になる乳児院があれば、どのようなサービスに取り組んでいるかを確認してみるのもいいかもしれません。

乳児院とはどのような子どもが入所対象なのか

手を握る赤ちゃん
乳児院に入所している子ども達は、保育園のような一般的な保育施設とは背景が異なります。
どのような子ども達が入所しているかを把握しておくことで、乳児院で働く前の心構えになるので確認していきましょう。

1.入所理由

厚生労働省の「乳児院運営指針」によると、乳児院に入所している子ども達の入所理由の多くは、

●     母親の疾患(精神疾患を含む)
●     虐待
●     ネグレクト
●     父母就労
●     受刑


など、さまざまな家庭背景が理由で入所しています。
また、入所した乳児の約半数が病児・虚弱児・障がい児・被虐待児であるため、手厚い関わりや医療的・養育的ケアを必要としています。

参照:厚生労働省 乳児院運営指針

2.対象年齢

冒頭でも紹介したように、乳児院には0歳〜2歳の乳児が入所できますが、平成16年の児童福祉法改正により「保健上、安定した生活環境の確保その他の理由による特に必要のある場合」には、幼児も入所することが可能となりました。

参照:児童福祉法改正

3.入所期間

乳児院への入所期間は家庭の事情によって異なりますが、厚生労働省の資料によると1ヵ月未満が26%・6ヵ月未満を含めると48%となっています。
長期滞在となる3歳以上の子どもの多くは、重い障がいがある・きょうだいが同じ施設にいるといった背景があり、保育や看護が必要な子どもが多いという傾向もあります。

参照:厚生労働省 資料

乳児院で働くために必要な資格

笑顔でポーズをとる女性
乳児院ではさまざまな職種の職員の配置が義務付けられているため、以下のいずれかの資格を持っている必要があります。

児童福祉法で必要な職員

必要な資格

保育士

保育士資格

医師または嘱託医

医師免許

看護師

看護師資格

家庭支援専門相談員

社会福祉士または精神保健福祉士資格

栄養士及び調理師

栄養士免許

心理療法担当職員

臨床心理士資格

個別対応職員

資格要件なし

このように、保育士資格があれば乳児院で働くことができるので、「保育園の転職を考えている」「乳児院に興味がある」という人は、乳児院を転職先の候補に入れてみてはいかがでしょうか。

乳児院の1日の流れと保育士の仕事内容

笑顔の赤ちゃん
乳児院は24時間365日稼働しているため、一般的な乳児院での1日の流れと保育士の仕事内容は以下の通りです。

時間

流れ

保育士の仕事内容

7:00

起床・朝食

引き継ぎを行い、起床や朝食の手伝い

9:00

遊び

集団保育やおむつ交換・ミルク

12:00

昼食

昼食の手伝い

13:00

午睡

寝かしつけや事務作業、起床後のおむつ交換

15:00

おやつ

おやつの手伝いやミルク、集団保育

17:00

入浴

入浴の介助

18:00

夕食

夕食の手伝い

19:00

就寝

寝かしつけや引き継ぎを行う

乳児院での保育士の基本的な仕事内容は、子ども達がより家庭に近い環境で、落ち着いて生活ができるように養育することです。

その他にも、保育の間に保護者と子どもの面会時間を設けたり、保護者の相談に乗るなどの業務もあり、子ども達が親元で暮らせるようにサポートを行うことも仕事の1つとなります。

乳児院の雇用条件

ポーズをとるスタッフ
乳児院で働きたいと考えている保育士さんにとって、雇用条件は気になるところではないでしょうか?
具体的な給料や福利厚生・雇用形態がわかると、転職や就職を考える時に比較しやすいのできちんと確認しておきましょう。

1.給料や福利厚生

最も気になる給料ですが、乳児院で働く保育士の平均給与は22万円〜24万円で、ボーナスは平均40万円〜80万円前後です。
夜勤が月に4〜6回あるので、保育園で働く保育士さんに比べると給料アップが目指せるケースもあります。

福利厚生としては、夜勤手当・住宅手当・退職金制度などが充実している乳児院も多いですが、施設によって条件が異なるので確認しておくと安心です。

2.雇用形態

乳児院では正社員の他に、契約社員・派遣社員・パートでの勤務も可能です。
どのような雇用形態を選択しても、心身ともに個別のケアが必要な子どもが多いので、安定して長く家族のような関係が築ける人材が求められます。

乳児院では基本的に日勤と夜勤の交代勤務になるので、日勤のみを希望する人には不向きかもしれません。

まとめ

今回は、乳児院とはどのような施設なのかということについて詳しく紹介しました。
乳児院は、家庭環境が複雑な子どもや病児・虚弱児・障がい児・被虐待児が入所しているため、一般的な保育施設と比べて、福祉の役割が強い施設であることを理解しておくことが大切です。

乳児院での保育士の仕事は、家庭的な養育と専門的なケア・教育、子ども達が親元で暮らせるようなサポートを日々行うため、責任や負担が大きな仕事になります。
それと同時に、子どもの成長を間近で見届けたり、社会貢献というやりがいのある仕事なので、保育士の資格が活かせる乳児院での勤務を検討してみてはいかがでしょうか。
保育士・幼稚園教諭・保育教諭などの就職・転職をお考えの方は、ぜひ保育士ワーカーにご相談ください!
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