【保育士】倫理綱領とは?基本の8つの項目や人権擁護のチェックリスト

倫理綱領(りんりこうりょう)とは、人として守るべき規準の要点をまとめたものです。その職種に沿った行動規範や、考え方の基本として定められています。保育士にも倫理綱領があり、よりよい保育活動をおこなうためのルールとして活用されています。この記事では、保育士の倫理綱領についてより詳しく解説していきます。
全国保育士会倫理綱領とは?
人として守るべき考え方「倫理観」。そのモラルや考え方など、行動規範として示しているのが「倫理綱領」です。今回注目するのは、保育士の基本的な考え方を示している「保育士の倫理綱領」についてです。正確には「全国保育士会倫理綱領」といい、2003年の児童福祉法改正に伴って作成されました。
おもに、子どもの最善の利益の尊重やプライバシーの保護、言葉を話せない子どもの思いやニーズを代弁することなど、保育士が意識すべき行動の指針となるものが示されています。
倫理綱領はどのような職業でも定められている
倫理綱領が定められているのは保育士だけではありません。社会福祉士や介護福祉士、看護職などの専門職のほか、新聞や雑誌などさまざまな協会が各々の倫理綱領を作成しています。専門職だけでなく、一般企業でも「遵守すべき企業行動指針」として倫理綱領が制定されています。
倫理綱領は決められた役割や責任を担う行動規範
倫理綱領には、主に自身の役割りや責任を担うために必要な行動規範が示されています。その内容は協会や企業によって異なるようです。サービス業であれば「サービスの提供を通じて社会に貢献する」「地域社会と密接な連携を図る」などの記載があります。一方、社会福祉に関係する専門職の場合は「信頼関係を築く」「人々の権利を尊重する」など、健康や幸福を軸にした文言が並びます。
保育士が守るべき倫理綱領の8つの項目
全国保育士会倫理綱領には「すべての子どもは豊かな愛情のなかで心身ともに健やかに育てられ、自ら伸びていく無限の可能性がある」と記載されています。そのような子どもの「生きる力」を育てる保育の仕事を担うにあたり、大切にすべき基本姿勢は以下のとおりです。
・私たちは、子どもの育ちを支えます
・私たちは、保護者の子育てを支えます
・私たちは、子どもと子育てにやさしい社会をつくります
また、倫理綱領の本文には、8つの具体的な条文が記載されています。
1、子どもの最善の利益の尊重
私たちは、一人ひとりの子どもの最善の利益を第一に考え、保育を通してその福祉を積極的に増進するよう努めます。
2、子どもの発達保障
私たちは、養護と教育が一体となった保育を通して、一人ひとりの子どもが心身ともに健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境を用意し、生きる喜びと力を育むことを基本として、その健やかな育ちを支えます。
3、保護者との協力
私たちは、子どもと保護者のおかれた状況や意向を受けとめ、保護者とより良い協力関係を築きながら、子どもの育ちや子育てを支えます。
4、プライバシーの保護
私たちは、一人ひとりのプライバシーを保護するため、保育を通して知り得た個人の情報や秘密を守ります。
5、チームワークと自己評価
私たちは、職場におけるチームワークや、関係する他の専門機関との連携を大切にします。また、自らの行う保育について、常に子どもの視点に立って自己評価を行い、保育の質の向上を図ります。
6、利用者の代弁
私たちは、日々の保育や子育て支援の活動を通して子どものニーズを受けとめ、子どもの立場に立ってそれを代弁します。また、子育てをしているすべての保護者のニーズを受けとめ、それを代弁していくことも重要な役割と考え、行動します。
7、地域の子育て支援
私たちは、地域の人々や関係機関とともに子育てを支援し、そのネットワークにより、地域で子どもを育てる環境づくりに努めます。
8、専門職としての責務
私たちは、研修や自己研鑽を通して、常に自らの人間性と専門性の向上に努め、専門職としての責務を果たします。
子どもを尊重する保育のためのチェックリスト
保育士には、子どもの人権を尊重した保育が求められます。そのような意識を高めるため、保育全国保育士会では「子どもを尊重した保育」がおこなえているか、振り返りのセルフチェックリストを作成しています。
チェックリストには、子どもとの具体的な関わりの中で「していない」「している(したことがある)」の項目にチェックしながら自身の関わりを振り返ります。また、より良い関わり方のポイントも解説されているため、ぜひチェックリストを実施してみてはいかがでしょうか?
倫理綱領は保育士試験にも出題される!
保育士試験を目指して勉強している人にとっても、倫理綱領の理解は欠かせません。過去には、保育士試験の「保育原理」などで、倫理綱領について出題されています。「全国保育士会倫理綱領」の記載内容について「不適切なものはどれか」などと出題されることがあるため、今回ご紹介した8つの項目には目を通しておきたいですね。
まとめ
この記事では、保育士の倫理綱領について解説しました。保育士として働く人にとって、守るべきポイントがまとめられています。日々の保育に疲弊することも多い保育士ですが、保育の基本は「子どもの最善の利益の尊重」です。保育士として悩んだときは、保育の倫理綱領を読み返してみてはいかがでしょうか?





