閉じる認定こども園とは？保育園との違いや働くメリット・デメリットを解説
保育士として働こうと思ったとき、気になるのが「認定こども園」と「保育園」の違いです。社会的なニーズに合わせた保育・教育ができるようにと始まった認定こども園制度ですが、その内容を詳しく把握できていないという人も多いでしょう。そこでこの記事では、認定こども園の特徴や、働くメリット・デメリットを解説します。保育園との違いを理解し、自分に合った園を選べるよう参考にしてみてくださいね。
認定こども園とは？保育園となにが違う？
就学前の子どもの保育・教育の多様なニーズに応える「認定こども園」。平成18年10月から法律が施行され、認定こども園制度が始まりました。保護者の就労など、家庭で保育できない理由を問われる保育園とは異なり、認定こども園はすべての子育て家庭が対象となる施設です。認定こども園と保育園、そして幼稚園には以下のような違いがあります。
認定こども園 | 保育園 | 幼稚園 | |
管轄 | 内閣府 | 厚生労働省 | 文部科学省 |
年齢 | 0歳～就学前 | 0歳～就学前 | 3歳～就学前 |
区分 | 1・2・3号認定 | 2・3号認定 | なし |
時間 | 4～11時間 | 8～11時間 | 4時間 |
料金 | 収入に応じて決定 | 収入に応じて決定 | 園ごとに独自に決定 |
区分とは「こども・子育て支援新制度」により、入園に必要な「保育を必要とする事由」により認定されるものです。
・1号認定（3～5歳）／幼稚園・認定こども園
・2号認定（3～5歳）／保育園・認定こども園
・3号認定（0～2歳）／保育園・地域型保育・認定こども園
両親共働きの2・3号認定で保育園に入園していた場合、退職すると認定から外れてしまうため退園を余儀なくされていました。しかし、認定こども園であれば、退職後は1号認定に切り替えて同じ保育園に通わせ続けられます。なお、認定こども園は幼稚園や保育園以外の「認定こども園」という位置づけではなく、既存の施設が果たすべき機能を追加して認定を受ける仕組みになっています。
認定こども園の4つの種類
認定こども園には、それぞれ保護者のニーズに合わせて選択できるように、異なるタイプが設けられています。ここからは、それぞれの特徴を簡単に解説します。
幼保連携型
幼稚園と保育園の機能を持つ施設として、独立しているタイプです。教育機関でもあり、児童福祉施設でもあるため、文部科学省と厚生労働省から認可を受けて認定こども園としての機能を果たします。
幼稚園型
すでに運営されている幼稚園に、保育園の機能を追加して認定こども園としての役割を果たすタイプです。認可幼稚園が保育に必要な時間を確保しながらも、今まで通り教育機関として「幼稚園教育要領」に基づいた教育をおこないます。
保育所型
すでに運営されている保育園に、幼稚園の機能を追加して認定こども園としての役割を果たすタイプです。認可保育園は保育を要する子ども以外も受け入れるものの、今まで通り児童福祉施設として「保育所保育指針」に基づいた保育をおこないます。
地方裁量型
幼稚園や保育園以外の地域の施設が、認定こども園として必要な機能を果たすタイプです。認可外などの施設が、保育園や幼稚園のような要素を取り入れていきます。
認定こども園で働きたい！
ここからは、認定こども園での勤務を考えている保育士に向けて、認定こども園で働くために知っておきたいポイントをまとめて解説します。
認定こども園で働くために必要な資格
認定こども園の「幼保連携型」で働く人は、保育教諭として施設に配置されます。そのため、幼稚園教諭の免許状と保育士資格の両方の資格が必要です。この制度が始まってから10年は経過措置があり、どちらかの資格を有していれば保育教諭になれるとされています。
また、両方の資格を取得するため、令和6年度末まで勤務経験を評価してもうひとつの資格取得に必要な単位数が軽減される特例もあります。片方しか取得できていない人は、単位の取得を検討してみましょう。
なお、そのほかのタイプの認定こども園では、満3歳未満への保育は保育士資格が「必要」です。満3歳以上は、幼稚園教諭と保育士資格の併有が「望ましい」とされています。
認定こども園で働く保育士の仕事内容
認定こども園での仕事内容は、受け持つクラスによって異なります。3号認定の0～2歳児クラスでの保育は、一般的な保育園と大きな違いはありません。
1、2号認定の3～5歳児クラスでは、保育と合わせて「教育」を重視したクラス活動をおこないます。預かり時間の短い1号認定の子ども達は14時以降、順次降園します。2号認定の子ども達は、そのあと3号認定の子ども達と同じように、お迎えまで保育をおこないます。
認定こども園で働くときの待遇
認定こども園で働く保育教諭は、幼稚園教諭の免許と保育士資格を併有しています。そのため、資格手当が加算されます。とはいえ、施設形態による待遇に大きな違いはありません。「私立だから」「認定だから」といった違いは少なく、働く園によって待遇が異なります。求人を探すときは、待遇をしっかり確認しましょう。
認定こども園で働くメリット
認定こども園で働くメリットは、以下のとおりです。
・0～5歳児まで、幅広い年齢の子どもの保育に携われる
・保育と教育の両方の経験を積める
・認定こども園での経験が転職の強みになる
・行事やイベントが多くやりがいを感じられる
預かり保育をおこなう「保育園」、教育をおこなう「幼稚園」…。認定こども園で働くことで、その両面を学べます。認定こども園での経験は、のちのち転職を考えたときに大きな武器になるでしょう。
認定こども園で働くデメリット
認定こども園で働くデメリットは、以下のとおりです。
・片方の資格だけでは受け持てないクラスがある
・保育園や幼稚園で働いていた人は機能の違いに戸惑う
・業務量が増える可能性がある
・家庭の事情がさまざまで柔軟な保護者対応が求められる
認定こども園で働くことになると、保育園での勤務経験のみの人は教育的な支援、幼稚園のみの人は保育的な支援に戸惑う可能性があります。慣れてしまえば問題ありませんが、立場の異なる保護者の対応も大変です。
まとめ
この記事では、認定こども園についてわかりやすく解説しました。認定こども園では、保護者のニーズに合わせて「保育と教育の両面」から子どもの成長を支えます。幼保連携型の認定こども園で保育教諭として働くためには、保育士資格と幼稚園教諭の免許が必要です。まだ片方しか資格を取得していない人は、資格取得に必要な単位数が軽減される特例もあるため、当てはまるか確認してみましょう。
