子どもの権利条約とは?権利や原則を簡単に解説しましょう

子ども4人が肩を組んでいる姿を保育士が見守っている様子
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子どもの権利条約について、聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?子どもの権利条約とは、世界中のすべての子どもたちが持つ「権利」を定めた条約です。1989年に国連総会での採択された子どもの権利条約は、保育士さんや保育士を目指している人にとって、とても大切な内容になります。そこで今回は、子どもの権利条約について簡単に解説していきます。保育士さんや保育士を目指す方はぜひ参考にしてください。

 子どもの権利条約【4つの原則】

子どもの権利条約では、さまざまな規定があります。その中でも、国連は4つの規定を「一般原則」としています。4つの規定とは、差別の禁止、最善の利益、生命・生存・発達への権利、意見の尊重です。

1差別の禁止 2条:差別しないこと

世界中のすべての子どもは、子ども自身や家族の人種や国籍、性、意見、障がい、経済状況などのどんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます

②最善の利益 3条 :子どもにとって1番であること

子どもに関して何かを決めるときには、その子どもにとって最も良い方法を考えます

③生命・生存・発達への権利  6条 :子どもの命と成長を守ること

世界中のすべての子どもの命は守られます。子どもが発達していく上で、医療・教育・生活支援などを受けることが保障されます

④意見の尊重 12条 :子どもが意味のある参加ができること

子どもは自分の意見を表明し、大人は子どもの意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します

子どもの権利条約【4つの権利】

子どもの権利条約には、大きく分けると4種類の権利があります。ただし、権利が4つしかないわけではありません。また、4つの原則と混合しやすいので注意してください。

生きる権利

子どもには住む場所、食べるものがあり、健やかに成長する権利があります。病気やケガをしたら治療が受けられます。
関連条項:第6条、24条、25条、26条、27条

育つ権利

子どもには自分の才能を伸ばし、教育を受ける権利があります。また、子どもが自分らしく成長していくための環境が提供されます。
関連条項:第7条、8条、9条、10条、11条、18条、21条、28条、29条、31条

守られる権利

子どもには差別や虐待、搾取から守られる権利があります。紛争や戦争に巻き込まれずに、保護されることや、障がいのある子どもや少数民族の子どもなどは特に守られます。 
関連条項:第19条、20条、22条、23条、30条、32条、33条、34条、35条、36条、37条、38条、39条、40条 

参加する権利

子どもには、自由に自分の意見を表明し、集まってグループで活動をする権利があります。ただし、他人の権利を侵害しないような注意は必要です。
関連条項:第12条、13条、14条、15条、16条、17条、31条

 子どもの権利条約をわかりやすく解説

子どもの権利条約には、全部で54条まであります。このうち、第40条までが具体的に子どもの権利を定めている内容になります。ここでは、子どもの権利条約の第1条から第40条までを簡単に紹介しましょう。
第1条 子どもの定義 
この条例では、18歳になっていない人を子どもとします。
第2条 差別の禁止
国の違い、肌の色、性別、言葉、宗教、政治的意見、社会的出身、経済状況、障がいなを理由として、子どもや保護者は差別されません。
第3条 子どもの最も良いことを
子どもについて決定事項があるときは、子どもにとって最も良いことであることを最優先に考えます。
第4条 国の義務
国は、この条例を守るために行動します、必要な場合には国際協力を得ます。
第5条 親の指導を尊重
保護者は、子どもが権利を行使するために、適切に指導します。国は保護者の指導を尊重します。
第6条 生きる権利・育つ権利
全ての子どもは、生きる権利・育つ権利を持っています。
第7条 名前・国籍を持つ権利
子どもが生まれたらすぐに出生届を出さなければなりません。名前と国籍を持ち、できる限り父母をしり、父母に育てられる権利を持ちます。
第8条 名前・国籍・家族関係が守られる権利
国は、子どもが名前や国籍、家族との関係など、自分が自分であることを示すものを無闇に奪われることがないように努めます。
第9条 親と引き離されない権利
子どもには、親と引き離されない権利があります。子どもにとって最も良いという理由がある場合は引き離されることも認められますが、その場合は、親と会ったり連絡したりすることができます。
第10条 別々の国にいる親と会える権利
父母と別々の国に住んでいる場合は、子どもは親に会ったり一緒に暮らしたりするために、出入国する権利があります。
第11条 他国に連れ去られない権利
国は、子どもが国の外へ連れ去られたり、自国へ戻れない状態になったりしないようにします。
第12条 意見を表す権利
子どもは、自分に関係があることについて自由に自分の意見を表明する権利を持っています。その意見は、子どもの発達に応じて十分に考慮されなければなりません。
第13条 表現の自由
子どもは、いろいろな情報や考えを伝える権利、知る権利を持っています。
第14条 思想・良心・宗教の自由
子どもは、思想・良心・宗教の自由についての権利を持っています。
第15条 結社・集会の自由
子どもは、他の人たちと共に団体を作ったり、集会に行ったりする権利を持っています。
第16条 プライバシー・名誉の自由
子どもは、自分や家族、住居や通信に対してむやみに干渉されたり、傷つけられたりしない権利を持っています。
第17条 適切な情報の入手
子どもは、成長に役立つ情報を手にいれる権利を持っています。子どもに良くない情報からは子どもを守らなければなりません。
第18条 子どもの養育はまず親の責任
子どもを育てる責任はまず父母にあります。国はその手助けをします。
第19条 あらゆる暴力からの保護
理由は何であっても、子どもが暴力を受けたり不当な扱いを受けたりしないように国は子どもを守ります。
第20条 家庭を奪われた子どもの保護
家庭を奪われた子どもや、その家庭にいることが子どもにとって良くないと判断され、家庭にいることができなくなった子どもは、国から守ってもらうことができます。
第21条 養子縁組
子どもを養子にする場合には、子どもや新しい父母のことをしっかりと調べた上で、子どもにとって最も良いことを考えます。国や公の機関だけが養子縁組を認めることができます。
第22条 難民の子ども
難民となった子どもは他国で守られ、援助を受けることができます。
第23条 障がいのある子ども
心や体に障がいを持った子どもは、尊厳が守られるように自立し、社会参加し生活できるように訓練や教育が受けられる権利を持っています。
第24条 健康・医療への権利
子どもは健康でいられ、必要な医療や保険サービスを持っています。
第25条 施設に入っている子ども
施設に入っている子どもは、その子どもへの処遇や状況把握のために、国が定期的に調べてもらう権利を持っています。
第26条 社会保障を受ける権利
子どもは、生活していくのに必要なお金を受ける権利を持っています。父母や保護者の経済状況によって、社会保障を受けることができます。
第27条 生活水準の確保
子どもは、健康的に生活する権利を持っています。父母が責任を果たせないときには、必要なときには国が手助けします。
第28条 教育を受ける権利
子どもは教育を受ける権利を持っています。全ての子どもは小学校に通うことができます。また、学校の規則は子どもの尊厳が守られるという考えから外れてはいけません。
第29条 教育の目的
子どもが自分の能力を最大限に活かし、人権・自由・環境の尊重や平和や環境を守ることを学ぶために教育を受けます。
第30条 少数民族・先住民の子ども
少数民族や先住民の子どもは、自らの文化・宗教・言語などを保持する権利を持っています。
第31条 休み、遊ぶ権利
子どもは、休んだり、遊んだりできる権利を持っています。
第32条 経済的搾取・有害な労働からの保護
子どもは、無理矢理に働かされることや、そのために教育が受けられなくなるなどがないよう守られる権利を持っています。
第33条 麻薬・覚せい剤などからの保護
国は、子どもを麻薬や覚醒剤などの利用や取引から守らなければなりません。
第34条 性的搾取からの保護
国は、子どもが児童売春や児童ポルノなどに利用されることや、性的虐待を受けることがないように守らなければなりません。
第35条 誘拐・売買からの保護
国は、子どもが誘拐されたり売買されたりすることがないように守らなければなりません。
第36条 あらゆる搾取からの保護
国は、あらゆる方面から子どもの幸せを奪い利益を得るようなことから子どもを守らなければなりません。
第37条 拷問・死刑の禁止
どんな場合であっても、子どもに拷問や死刑にしてはいけません。罪を犯した子どもの尊厳は守られ、年齢にあった扱いを受ける権利があります。
第38条 戦争からの保護
国は、15歳にならない子どもを軍隊に参加させてはいけません。また、戦争に巻き込まれた子どもを守るために、できることをしなければなりません。
第39条 被害にあった子どもの回復と社会復帰
虐待や戦争など、人間的でない扱いを受けた子どもの心や体の傷を癒やし、社会復帰のために支援を受けることができます。
第40条 子どもに関する司法
罪を犯した子どもは、他人の人権の大切さを学び、社会参加して自分の役割を果たすようになるように扱われる権利を持ちます。
 

子どもの権利条約は子どもの「基本的人権」を守る条約

いかがでしたか?今回は、子どもの権利条約について解説しました。子どもの権利条約は、子どもが一人の人間として「基本的人権」を持っていることを認識し、その権利を保障するための条約です。保育に携わる人にとって知っておかなければならない大切な条約といえます。子どもの権利条約をしっかりと理解した上で、保育士として子どもと関わっていきましょう。
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