幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」とは何か徹底解説!

幼児期のイメージ
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幼児期の終わりまでに育ってほしい子どもの姿や能力をまとめた「10の姿」。とくに小学校への入学が見えてくる年長(5歳児)クラスの担任は、保育所児童保育要録の作成などで意識する機会が多いのではないでしょうか?この記事では、幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」とは何か徹底解説していきます!

幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」とは

保育には、「ねらい」を5つの領域に分けた「保育の5領域」があります。「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」に分類され、保育士はその内容を意識しながら保育計画を立案していきます。そして、その5領域をもとにさらに具体化されているのが「10の姿」です。幼児教育修了までに領域内容ごとに育ってほしい資質・能力が示されています。

・健康な心と体
・自立心
・協同性
・道徳性・規範意識の芽生え
・社会生活との関わり
・思考力の芽生え
・自然との関わり・生命尊重
・数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
・言葉による伝え合い
・豊かな感性と表現

ここからは、具体的な内容をご紹介します。

【10の姿】健康な心と体

保育所(幼保連携型認定こども園)の生活の中で、充実感をもって自分のやりたいことに向かって心と体を十分に働かせ、見通しをもって行動し、自ら健康で安全な生活をつくり出すようになる。

・遊びや生活のなかで体を動かす気持ちよさを感じる
・生活に必要な習慣や態度を身に付ける
・充実感を持って自分のやりたいことに繰り返し挑戦する
・時間の流れを意識したりや状況の変化を予測したりする
・声を掛け合ったり自分で気付いたりしながら見通しを持って行動する
・衣服の着脱や食事、排泄などを自分でおこなおうとする
・手洗いうがいなど健康のために必要なことを意識しようとする

【10の姿】自立心

身近な環境に主体的に関わり様々な活動を楽しむ中で、しなければならないことを自覚し、自分の力で行うために考えたり、工夫したりしながら、諦めずにやり遂げることで達成感を味わい、自信をもって行動するようになる。

・物事を最後までおこなう体験により自分の力でやろうとする気持ちを持つ
・失敗を繰り返しながら自分でしなければならないことを自覚する
・達成感を味わうことで自信をもって行動するようになる
・周囲からの応援や認められた経験を支えにしながら挑戦しようとする
・自分でできることは自分でしようと積極的に取り組もうとする
・保育士や友達から認められることで確かな自信を持つ

【10の姿】協同性

友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感をもってやり遂げるようになる。

・思いを伝えあったり試行錯誤したりしながら遊ぶ楽しさを味わう
・嬉しい・悔しい・悲しい・楽しいなどのさまざまな感情体験を味わう
・友達同士で互いの思いや考えを共有しながら共通の目的を持つようになる
・目的を実現するために考えを相手にわかるように伝えようとする
・互いの良さを認め合えるような関係を構築できる
・困難な目的にも試行錯誤しながら協力しようとする

【10の姿】道徳性・規範意識の芽生え

友達と様々な体験を重ねる中で、してよいことや悪いことが分かり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになる。また、きまりを守る必要性が分かり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、きまりをつくったり、守ったりするようになる。

・さまざまな葛藤を通して互いに理解し合う体験を重ねる
・してよいことや悪いことを知り、考えながら行動しようとする
・周囲の人の気持ちを知ったり共感したりしながら行動しようとする
・決まりを守る必要性を知り、友達ちと心地よく過ごそうとする
・楽しく遊びを進めるために折り合いをつけようとする
・自分の行動を振り返り、謝ったり気持ちを切り替えたりする

【10の姿】社会生活との関わり

家族を大切にしようとする気持ちをもつとともに、地域の身近な人と触れ合う中で、人との様々な関わり方に気付き、相手の気持ちを考えて関わり、自分が役に立つ喜びを感じ、地域に親しみをもつようになる。また、保育所(幼保連携型認定こども園)内外の様々な環境に関わる中で、遊びや生活に必要な情報を取り入れ、情報に基づき判断したり、情報を伝え合ったり、活用したりするなど、情報を役立てながら活動するようになるとともに、公共の施設を大切に利用するなどして、社会とのつながりなどを意識するようになる。

・周囲の人に温かく見守られることで安定感を得る
・家族や保育士などとの関係を基盤に、関わりを広げていけるようになる
・集団生活のなかで自分が役に立つ喜びを感じる
・変わる相手に応じた言葉やふるまいを知り、考えながら行動しようとする
・自分では気付かない物事を、周囲の話から知ろうとする
・公共の施設に訪れ、場所や状況に合った行動ができるようになる

【10の姿】思考力の芽生え

身近な事象に積極的に関わる中で、物の性質や仕組みなどを感じ取ったり、気付いたりし、考えたり、予想したり、工夫したりするなど、多様な関わりを楽しむようになる。また、友達の様々な考えに触れる中で、自分と異なる考えがあることに気付き、自ら判断したり、考え直したりするなど、新しい考えを生み出す喜びを味わいながら、自分の考えをよりよいものにするようになる。

・新たな発見に触れて、好奇心を持って積極的に関わろうとする
・遊びの中で、その物の性質や仕組みを感じ取れるようになる
・友達の自分とは異なる考えに気付き、自分の考えを見直そうとする
・試行錯誤を繰り返しながら、よりよい遊び方を追求しようとする
・新たな発見について言葉で伝え、さらに探求しようとする
・物事をさまざまな面から考え、そのよさを感じられるようになる

【10の姿】自然との関わり・生命尊重

自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら、身近な事象への関心が高まるとともに、自然への愛情や畏敬の念をもつようになる。また、身近な動植物に心を動かされる中で、生命の不思議さや尊さに気付き、身近な動植物への接し方を考え、命あるものとしていたわり、大切にする気持ちをもって関わるようになる。

・身近な自然と触れ合いながら動植物に対する親しみを持つ
・自然の変化を感じ取りながら、関心を持つようになる
・好奇心・探求心を持って考えたことを表現しようとする
・身近な自然事象に疑問を持ち、質問したり経験したりしようとする
・野菜の栽培や動植物を育てながら、命を大切にできるようになる
・動植物に親しみや愛着を持ち、実感を伴って生命の大切さを知る

【10の姿】数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚

遊びや生活の中で、数量や図形、標識や文字などに親しむ体験を重ねたり、標識や文字の役割に気付いたりし、自らの必要感に基づきこれらを活用し、興味や関心、感覚をもつようになる。

・日常生活のなかで数量や文字に接しながら、その役割に気付く
・物を数えたり、形の違いに気付いたりしながらその特性を楽しむ
・多い少ない、重い軽いなど、遊びの中でさまざまな感性を磨く
・大きさや図形の特徴を活かし、遊びにつなげようとする
・数や文字に出会い関心を持てるようになる
・同じ文字や数の表記を見つけることを楽しもうとする

【10の姿】言葉による伝え合い

保育士(保育教諭)等や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身に付け、経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、言葉による伝え合いを楽しむようになる。

・絵本や物語に親しみながら、言葉や表現を身につける
・自分の経験や考えを言葉で表現しようとする
・自分の話をしたり、相手の話を聞こうとしたりする
・相手の言葉を理解したり、共感したりしようとする
・言葉による伝え合いを楽しいと感じられるようになる
・相手の状況など応じて言葉を選んで伝えようとする

【10の姿】豊かな感性と表現

心を動かす出来事などに触れ感性を働かせる中で、様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き、感じたことや考えたことを自分で表現したり、友達同士で表現する過程を楽しんだりし、表現する喜びを味わい、意欲をもつようになる。

・保育園生活のさまざまな場面で、美しいものに触れてイメージを豊かにする
・心を動かす出来事を味わうことで、表現する体験を積み重ねる
・身近にあるさまざまな素材の特徴や表現に興味を持つ
・共通の目的に向けて、友達と考えを出し合ったり表現したりすることを楽しもうとする
・劇や歌の発表を通して、多様な表現を楽しむ
・友達同士でそれぞれの表現を認め合い、さらなる意欲につなげようとする


幼児期の終わりまでに育ってほしい「10の姿」を取り入れた保育内容の具体例

ここからは、10の姿を意識した保育内容の具体例をご紹介します。

健康

・汗をかいたり汚れたりしたとき、自分で着替えようとする
・のどが渇いたときは、自ら水分補給しようとする
・外遊びや給食の前には、丁寧に手洗い・うがいをしようとする
・自分の体調の変化に気付き、疲れたらゆっくり休もうとする

自立

・給食の配膳や片付けに携わり、食事の流れを理解する
・自分なりの目標を持ちながら体操遊びにチャレンジする
・友達の姿に影響を受けながら、自分で目標を考えようとする
・遊びに使った玩具を用意したり、片づけたりする

協同

・グループで課題活動に取り組み、みんなで動く楽しさを味わう
・いろいろなお友達と関わりながら、楽しさやつながりを感じる
・友達とイメージを共有しながら、積み木遊びを発展させていく
・ごっこ遊びを通して、友達とい協力する楽しさを味わう

道徳

・当番活動の内容を理解し、積極的に取り組もうとする
・友達と遊びながら新しいルールを作る
・保護者や地域の人といっしょに夏祭りを楽しむ
・異年齢保育のなかで、年下児への声のかけかたを知る

社会

・季節の行事に参加し、地域の人たちの交流を楽しむ
・散歩のなかで出会う人に対して、挨拶をしながら親しみを持つ
・お誕生日会の飾り付けをしながら、友達の誕生を祝う楽しさを味わう
・選んだ楽器を練習し、クラスみんなで音を合わすことを楽しむ

思考

・動物に興味・関心を持ち、それぞれの鳴き声の違いに気付く
・友達同士でアイディアを出し合いながら、お店屋さんごっこを楽しむ
・遠足の出来事を思い出しながら、絵に描いたり発表したりする
・段ボールを使った迷路作りを楽しむ

自然

・うさぎのお世話当番を決め、クラスみんなで動物のお世話に関わる
・戸外で草花や虫に触れ、季節の変化を感じる
・夏野菜に興味・関心を持ち、水やりなど積極的にお世話する
・園庭遊びのなかで雨や風など自然事象に興味・関心を持つ

数量

・さまざまな素材を使って時計を作り、時間に興味を持つ
・お手紙を書きながら文字や数字に興味を持つ
・植物や虫を観察しながら、大きさや形の違いに気付く
・園外を散歩しながら、身近にある交通標識に興味を持つ

言葉

・保育士との会話を楽しみながら、新しい言葉に興味を持つ
・気付いたことや調べたことを相手にわかるように言葉で伝える
・ごっこ遊びのなかで、自分の思いを伝えたり相手の思いを聞こうとしたりする
・夏休みに楽しかったことをみんなの前で発表する

感性

・さまざまな楽器に触れ、音の高さや響きが異なることに気付く
・戸外で観察した草花を、自分なりのイメージで製作に活かす
・折り紙をちぎったり絵の具を使ったりしながら季節の製作を楽しむ
・絵の具が混ざり合う様子を観察し、不思議さに関心を持つ

まとめ

この記事では、幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿について解説しました。保育計画を立てる際に意識することで、子どもの資質や能力が育まれます。10の姿はあくまでもめやすであり、到達すべき目標ではありません。子どもの姿を全体的・総合的に捉えられるよう意識しましょう。

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