縦割り保育(異年齢保育)とは?メリットやデメリットも紹介

年齢の異なる子どもたち
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年齢の異なるお友達と交流を深めることは、さまざまな遊び方のルールを知り、優しさや協調性を学ぶことができるため、成長していくうえで大切な役割を果たします。幼少期の頃の思い出で、近所のお兄さんお姉さんと一緒に遊んでもらった楽しさは、大人になってからでもいい経験だったと感じる人もいるのではないでしょうか。

しかし近年、少子化の影響により子どもが減り、年齢の異なる子どもたちが一緒になって遊ぶ機会が減ってきています。公園に遊びに行っても遊んでいる子がおらず親子二人きりで遊んで帰った、なんてことも少なくありません。

そこで、一部の保育園や幼稚園では異年齢の子どもたちがふれあえる場所として『縦割り保育(異年齢保育)』といった形態を取り入れるようになってきました。
今回はそんな、縦割り保育の主な取り組みとそのメリット、保育中に気を付けなければいけない点などについてまとめてみました。

縦割り保育(異年齢保育)とは?どういった活動をするの?

縦割り保育とは、0歳児から1歳児、2歳児…と年齢別にクラスを分けるのではなく、年齢の異なる子どもたちが同じ場所で一緒に過ごす取り組みのことをいいます。別名「混合保育」とも呼ばれています。

縦割り保育で行う主な活動は園によって異なります。
例えば、3歳児から5歳児までが日常生活の多くを一緒に過ごす園もあれば、外遊びのみ一緒に活動する園もあります。ほかにも、0歳児から年長児まで幅広い年齢層が給食やおやつを一緒に食べたり、お誕生日会や季節ごとのイベントをみんなで行うなど工夫もさまざまです。

縦割り保育を行う園では、そうして自分自身を育てていく“自己教育力”を身につけるためのモンテッソーリの教育法がベースになっています。

縦割り(異年齢)保育のねらい

縦割り保育のねらいは子どもたちが年齢の枠を超えて、共に学び合い、成長していくこと
年上の子どもであればお手本になろうとしたり、年下の子どもであれば年上の子を見習おうとしたりするなど、年齢の異なる子どもたちが同じ空間で過ごすことによって、自然とルールや自分の役割を学び、人との関わり方や協調性を身につけることができるのです。

縦割り(異年齢)保育とモンテッソーリの教育法との関係

モンテッソーリ教育法とは、20世紀初頭に医師でもあり教育者でもあったマリア・モンテッソーリ氏によって考案された教育法のことをいいます。

例えば、『知らないあいだにいろんな言葉を覚えていた。今まで怖くてできなかった遊具で遊ぶようになっていた。』なんて子どもたちの姿をよくみかけますよね?

彼らは誰に教わったわけでもないのに、自然とまわりの子どもたちを真似して覚えていきます。本来子どもたちには、このように自分で歩こうとする意思やまわりの環境を積極的に吸収し、成長や発達していこうとする力が備わっているのです。モンテッソーリ教育では、それを“自己教育力”と考え、子どもたちの興味や発達段階を正しく理解し自発的に活動できるよう、適した環境を用意することを目的としています。

そして、それが年齢の異なる子どもたちの集まりなら、なおさら学べる範囲が広がりますよね。集団で同じ活動を行い、彼らの自主性を尊重し支援する場所として、一部の保育園・幼稚園ではこの教育法を採用しています。

そんなモンテッソーリ教育の考えを参考に活動する縦割り保育ですが、実際に子どもたちや保育士にとってメリットや気を付けなければならない点はあるのでしょうか?

縦割り保育(異年齢保育)のメリット

気遣う子ども
子どもたちの成長にとって影響力のある縦割り保育ですが、もちろん保育士にとっても働くうえでメリットがあります!

月齢ごとの発達の差が出にくい

通常保育は、4月生まれから翌年の3月生まれまでの子どもたちが一緒になって過ごします。その結果、月齢の違いで成長に大きく差が出てしまうので、保育士は保育の仕方を個々に応じて調整する必要があります。

4月生まれの子にできることでも早生まれの子には難しく感じてしまったり、逆に早生まれの子に合わせて行動すると、4月生まれの子にとっては不満や物足りなさを感じてしまうなんてことも少なくありません。

縦割り保育では、クラス関係なく過ごすことで月齢の近い子どもたちとふれあうことができ、発達段階の差によるストレスを軽減させることができます。

子どもたちの成長を間近で感じることができる

縦割り保育では年齢の異なる子どもたちが同じ環境下で過ごすことによって、さまざな成長をみることができます。

例えば、年上の子は年下の子に対して、物事を教えたりおもちゃを譲ったりといった思いやりの心が育ちます。お世話をすることで「きちんとお世話ができた。自分の行動がいいことだった!」と理解し頼られることの責任感や自尊心が芽生えるようになるのです。

また、年下の子は自分にお世話をしてくれる年上のお兄さん、お姉さんに対して憧れの感情をもつようになります。優しく接してくれる姿や、全身を使って元気いっぱい遊ぶ姿をみて「自分も同じようにやりたい!」と興味を持ち、次第に年上の子の行動を一緒に真似しては、新しいことに挑戦する気持ちが生まれます。

そんな子どもたちの成長を保育士は間近で感じることができるので、保育することの楽しさややりがいなど、通常保育よりも日々多くの刺激を受けることができます。

縦割り保育(異年齢保育)におけるデメリットや注意点

年齢の異なる子どもたちが一緒に過ごすことで予測できない事態が起こり、さまざまなトラブルや問題行動がみられる場合があります。
事前に注意すべき点を把握し、トラブルに対してスムーズに対応できるように心掛けておきましょう!

力関係が発生してしまうことも

年齢の異なる子どもが集まると、どうしても力の差が出てきてしまいます。

気の弱い子や兄弟のいない一人っ子はコミュニケーションの取り方が分からずストレスを感じてしまう場合も。結果、自分より立場の弱い子を叩いたり、おもちゃを取り上げてしまうなんてケースも想定しなければなりません。

対策としては、子どもたちがストレスを溜め込んでしまわないように保育士はまわりの状況を常に注意し、トラブルが起これば該当する子どもたちときちんと話し合う必要があります。
また、保育士と保護者が連携して一人ひとりに合ったフォローができればベストですね!

保育中の安全の確保

年上の子どもが年下の子どものお世話をし、抱っこやおままごとなどで遊ぶ様子はとても微笑ましい光景です。しかし、注意を怠った瞬間に転倒や誤飲といった大事故も起こりうる可能性があります。危険と判断したらすぐ止めさせるなど早めの対応を心がけましょう。

異年齢でも楽しめる遊び方の工夫を

年齢によっては、遊ぶ遊具や遊び方は大きく異なってきます。絵本の内容や外遊びの際の遊具など、年長児にとっては簡単なことも年少児には難しく感じてしまうことだってありますよね。なので年少児から年長児が一緒になって遊べる遊び方を保育士は計画しなければなりません。

そこで、次は『縦割り保育(異年齢保育)でオススメの遊び方』をいくつかご紹介します!ぜひ参考にしてはいかがでしょうか? 

縦割り保育(異年齢保育)でオススメの遊び方4選

手をつなぐ子どもたち

ごっこ遊び(おままごと、手を繋いで鬼ごっこ、お店屋さんごっこ など)

例えば、お店屋さんごっこは年上の子がお店屋さんとなり物を売って、年下の子がそれを買う。どちらも楽しめて、おつかいの練習もできるオススメの遊びです。売り物の商品やそれを入れるカバンをみんなで工作したり、ときには役割を交代して遊ぶこともできますよ!

鬼ごっこについては、どうしても体格差で年下の子が不利となってしまいます。そんなときは、年上の子とペアとなって手を繋いで逃げるなど追加でルールを設けてみるのもいいかもしれません。

お絵描きや製作(みんなで一つの作品をつくる)

お絵描きや製作は、年齢関係なくみんなが楽しめる遊びの一つです。
大きな紙と絵具を用意して、手足をスタンプ代わりに一つの大きな木を描いてみたり、テーマを設けず自由に色を重ねてみたり…。
一人で描くよりもみんなで描くことの楽しさを知れて、ひらめきや創造する力も身に付きます。

伝承遊び(かごめかごめ、はないちもんめ など)

伝承遊びは、年齢関係なく遊べてルールも簡単なものが多くあります。
みんなで手を繋いでうたを歌ったり名前を呼びあったりと、子どもたちの距離を縮めるよいきっかけになります。
激しい動きやチームごとの勝ち負けも特にないので、比較的安全に楽しめる遊びとなっています。

お散歩

ただお散歩をするのではなく、年上の子と手を繋いで歩くことがポイントです!
一緒に手を繋いで歩幅を合わせることでお互いを知り、より交流を深めることができます。
縦割り保育を始める際には、まずはお散歩からスタートしてみてはいかがでしょうか?

縦割り(異年齢)保育を理解してやりがいのある保育士人生を送ろう!

おいかけっこ
この内容を読んでみて「縦割り保育は大変。難しそう。」と思われたかもしれません。

しかしさまざまな問題に対してほかの保育士としっかり連携をとり、事前に対応策を考えて子どもたちの状況を把握し見守ることができれば、トラブルは未然に防ぐことができます。

近年、子どもたちの異年齢での関りが薄くなっている中、こういった活動を行う保育園、幼稚園に通わせている保護者からは「入園させてから急激に子どもの成長を感じる、一人っ子だけどお友達とのふれあい方が分かるようになった。」などと喜ばれる傾向にあります。

また縦割り保育で得た経験は、保育士にとっても子どもたちにとっても貴重な財産になります。子どもたちの成長を肌で感じ、より保育士としての経験の幅を広げてみてはいかがでしょうか?
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