社会的参照はいつから?視覚的断壁実験や共同注意との違いについて

保育・福祉・心理学を学ぶうえで、社会的参照について詳しく知りたいと思っている人も多いでしょう。
社会的参照とは、意志や行動を決定するときに、周囲の表情や態度を参考にする現象のことです。
この記事では、社会的参照がいつから始まるのか詳しく解説します。
また、視覚的断壁実験のほか、具体的な事例も分かりやすく紹介しますので参考にしてください。
社会的参照とは、意志や行動を決定するときに、周囲の表情や態度を参考にする現象のことです。
この記事では、社会的参照がいつから始まるのか詳しく解説します。
また、視覚的断壁実験のほか、具体的な事例も分かりやすく紹介しますので参考にしてください。
社会的参照とは?
社会的参照とは、自分だけで決められない事柄に対して「周りの反応をヒントに行動決定する現象」のことです。
意志や行動を決めなければならないとき、情報が少なければ不安を感じます。
そんなときに、周囲の人の表情や態度を見ることで、安心して物事を決定できます。
子どもは、主に信頼できる大人の顔を見上げて「あれはなに?」「こわくないもの?」と、確認します。
社会的参照が見られるということは、自分・物・大人の3つの関係を意識できているといえるでしょう。
意志や行動を決めなければならないとき、情報が少なければ不安を感じます。
そんなときに、周囲の人の表情や態度を見ることで、安心して物事を決定できます。
子どもは、主に信頼できる大人の顔を見上げて「あれはなに?」「こわくないもの?」と、確認します。
社会的参照が見られるということは、自分・物・大人の3つの関係を意識できているといえるでしょう。
社会的参照はいつから?
社会的参照がみられる時期には個人差がありますが、生後10ヶ月〜1歳頃に形成されるといわれています。
ここからは、社会的参照が始まる時期の特徴を解説します。
ここからは、社会的参照が始まる時期の特徴を解説します。
生後9カ月頃に三項関係が成立してから
社会的参照がみられる前に、三項関係が成立します。
生後9ヶ月頃には、自分・物・大人の3方向のやりとりができるようになります。
それまでは、自分と物、自分と大人の2つの世界しか認識できません。
三項関係が成立すれば、大人に見てほしいものを指差ししたり、自分が持っている物を大人に見せたりする姿がみられます。
また、「どうぞ」「ちょうだい」など、物を介したやりとりがみられるようになれば、三項関係が成立しているといえるでしょう。
生後9ヶ月頃には、自分・物・大人の3方向のやりとりができるようになります。
それまでは、自分と物、自分と大人の2つの世界しか認識できません。
三項関係が成立すれば、大人に見てほしいものを指差ししたり、自分が持っている物を大人に見せたりする姿がみられます。
また、「どうぞ」「ちょうだい」など、物を介したやりとりがみられるようになれば、三項関係が成立しているといえるでしょう。
言語が育っていなくても参照視する
1歳前後は、言葉の発達に個人差がみられます。
そのため、まだ単語しか話せない子どもも少なくないでしょう。
しかし、社会的参照は表情から情報を読み取るだけなので、言葉は必要ありません。
振り向く仕草に「その後の行動を決める」という意味があれば、言葉がなくても社会的参照といえます。
なお、大人の表情を確認するために振り返るしぐさを「参照視」と呼びます。
そのため、まだ単語しか話せない子どもも少なくないでしょう。
しかし、社会的参照は表情から情報を読み取るだけなので、言葉は必要ありません。
振り向く仕草に「その後の行動を決める」という意味があれば、言葉がなくても社会的参照といえます。
なお、大人の表情を確認するために振り返るしぐさを「参照視」と呼びます。
大人になっても社会的参照がみられる
社会的参照は、意志や行動を決定できないことからみられる現象です。
そのため、さまざまな経験から自信を積み重ねるうちに消失するようにも思えます。
しかし、実は大人になってからも社会的参照のような現象は多くみられます。
たとえば、複数人で物事を決めるときや、自分の意見を伝えるとき。
周囲の人がどのような反応をするか不安になり、表情を確認することはありませんか?
このように、自信がなく不安を感じているとき、周囲の反応をうかがうことも社会的参照といえるでしょう。
そのため、さまざまな経験から自信を積み重ねるうちに消失するようにも思えます。
しかし、実は大人になってからも社会的参照のような現象は多くみられます。
たとえば、複数人で物事を決めるときや、自分の意見を伝えるとき。
周囲の人がどのような反応をするか不安になり、表情を確認することはありませんか?
このように、自信がなく不安を感じているとき、周囲の反応をうかがうことも社会的参照といえるでしょう。
視覚的断壁実験とは?社会的参照の具体例
視覚的断壁実験とは、ギブソン(Gibson E.J.)とウォーク(Walk R.D.)がおこなった、奥行き知覚能力の発達を調べたものです。
赤ちゃんが「深さ」をどのように認識するのか調べるなかで、社会的参照のような現象がみられました。
この実験では、赤ちゃんを高さのある透明の台に乗せて、深さをどう感じるか試しました。
そのなかで、本来ならば透明で恐怖を感じる台の上でも、母親の笑顔を見ると安心して進む姿がみられたのです。
とはいえ、実験と聞くと難しくてイメージが湧きにくいかもしれません。
そこでここからは、社会的参照の分かりやすい具体例をご紹介します。
赤ちゃんが「深さ」をどのように認識するのか調べるなかで、社会的参照のような現象がみられました。
この実験では、赤ちゃんを高さのある透明の台に乗せて、深さをどう感じるか試しました。
そのなかで、本来ならば透明で恐怖を感じる台の上でも、母親の笑顔を見ると安心して進む姿がみられたのです。
とはいえ、実験と聞くと難しくてイメージが湧きにくいかもしれません。
そこでここからは、社会的参照の分かりやすい具体例をご紹介します。
知らない人に出会ったときの確認
子どもが知らない人と出会ったとき、場合によっては人見知りで泣いてしまうこともあるでしょう。
「見たことのない人」「やさしい人かな?」と不安になった子どもは、大人の表情や対応を確認します。
母親や父親が穏やかな顔をしていれば安心して、笑顔が見られなければ不安になります。
信頼できる大人の反応を確かめることにより、知らない人への対応を考えるのです。
「見たことのない人」「やさしい人かな?」と不安になった子どもは、大人の表情や対応を確認します。
母親や父親が穏やかな顔をしていれば安心して、笑顔が見られなければ不安になります。
信頼できる大人の反応を確かめることにより、知らない人への対応を考えるのです。
触っても良いか迷ったときの確認
新しいおもちゃを与えられたときや、外出先で気になったものを触るとき「触っても良いかな?」「危ないものではないかな?」と、確認するように大人の顔を見上げます。
首を振りながら怖い顔をしていれば、触ってはいけない物だと認識します。
反対に、笑顔で「触ってみたら?」「大丈夫だよ」と声をかけられると、安心して手を伸ばせるようです。
首を振りながら怖い顔をしていれば、触ってはいけない物だと認識します。
反対に、笑顔で「触ってみたら?」「大丈夫だよ」と声をかけられると、安心して手を伸ばせるようです。
転んだり物を落としたりしたときの確認
つまずいて転んだときや物を落としてビックリしたときにも、大人の表情を確認します。
泣くか泣かないか、そのあとの行動を決めるための参照視です。
大人が悲しそうな顔で心配していれば涙が溢れて、笑顔がみられれば問題ないと認識します。
そのような確認も、社会的参照だといえるでしょう。
泣くか泣かないか、そのあとの行動を決めるための参照視です。
大人が悲しそうな顔で心配していれば涙が溢れて、笑顔がみられれば問題ないと認識します。
そのような確認も、社会的参照だといえるでしょう。
社会的参照と共同注意の違い
社会的参照と似た現象に「共同注意」があります。
共同注意とは、ほかの人が注目している物や人に対して、自分も注意を向けることです。
共同注意も社会的参照と同じく、三項関係が成立している子どもにみられます。
たとえば、大人が机の上のコップを見ているとします。
その姿や目線を見て自分もコップに目を向けて、同じ物を見ている状態が共同注意です。
しかし、共同注意は大人の顔を見てなにかを確認・決定するものではありません。
物を介したやりとりではあるものの、社会的参照と共同注意は異なる現象であると理解しておきましょう。
共同注意とは、ほかの人が注目している物や人に対して、自分も注意を向けることです。
共同注意も社会的参照と同じく、三項関係が成立している子どもにみられます。
たとえば、大人が机の上のコップを見ているとします。
その姿や目線を見て自分もコップに目を向けて、同じ物を見ている状態が共同注意です。
しかし、共同注意は大人の顔を見てなにかを確認・決定するものではありません。
物を介したやりとりではあるものの、社会的参照と共同注意は異なる現象であると理解しておきましょう。
社会的参照はなぜ重要?
社会的参照を繰り返すことで、子どもは多くの知識を学びます。
「これは触ってはいけないもの」「ここは危険なところ」など、大人の表情を確認しながら、行動を調整します。
その積み重ねができなければ、自信が持てず新しいことに挑戦できません。
子どもにとって、信頼できる大人への参照視は道しるべのような重要性を持っています。
「これは触ってはいけないもの」「ここは危険なところ」など、大人の表情を確認しながら、行動を調整します。
その積み重ねができなければ、自信が持てず新しいことに挑戦できません。
子どもにとって、信頼できる大人への参照視は道しるべのような重要性を持っています。
まとめ
社会的参照とは、子どもが困ったときに大人の方を振り返り確認する行動のことです。
信頼できる大人の表情や仕草、雰囲気を確認して先の行動を決定します。
社会的参照は、生後9ヶ月頃に三項関係が成立したのち、1歳前後でみられるといわれています。
子どもは、周囲の大人の表情から、さまざまなことを学んでいます。
言葉が話せなくても成立するため、子どもが不安を感じて振り返る際は、その意図を理解して優しく対応してあげたいですね。
信頼できる大人の表情や仕草、雰囲気を確認して先の行動を決定します。
社会的参照は、生後9ヶ月頃に三項関係が成立したのち、1歳前後でみられるといわれています。
子どもは、周囲の大人の表情から、さまざまなことを学んでいます。
言葉が話せなくても成立するため、子どもが不安を感じて振り返る際は、その意図を理解して優しく対応してあげたいですね。




