閉じるエコマップとは？ジェノグラムとの違いは？保育現場で活かす書き方
保育園で活用するエコマップとは、子どもを取り巻く環境の相関関係を図式化したものです。
子どもの家族関係をまとめるジェノグラムとともに、複雑化する家庭支援に役立てられます。
とても便利な図式ですが、実際に保育現場で活用するとなると難しく感じてしまう人が多いのではないでしょうか？
そこでこの記事では、エコマップやジェノグラムの概要や書き方、保育現場への取り入れ方について分かりやすく解説します。
保育士が注意すべきポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
子どもの家族関係をまとめるジェノグラムとともに、複雑化する家庭支援に役立てられます。
とても便利な図式ですが、実際に保育現場で活用するとなると難しく感じてしまう人が多いのではないでしょうか？
そこでこの記事では、エコマップやジェノグラムの概要や書き方、保育現場への取り入れ方について分かりやすく解説します。
保育士が注意すべきポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
エコマップとは？
エコマップとは、1975年に「アン・ハートマン」により考案された子どもに関する相関図のことです。
家族や保育者、関係機関など、子どもとの関わりを図にして関係性を示します。
エコマップは主に、高齢者や障がい者などの要介護者を中心として、社会福祉の支援に役立てられています。
保育現場でも活用されはじめ、子どもを取り巻く環境を客観的に状況把握するために有効です。
家族や保育者、関係機関など、子どもとの関わりを図にして関係性を示します。
エコマップは主に、高齢者や障がい者などの要介護者を中心として、社会福祉の支援に役立てられています。
保育現場でも活用されはじめ、子どもを取り巻く環境を客観的に状況把握するために有効です。
ジェノグラムとは？
ジェノグラムとは、子どもの家庭関係をまとめた図式のことです。
子ども本人を中心に、父母・兄弟・祖父母などの親族関係を記すため、家系図のようなものといえます。
両親の離婚や別居など、複雑化する家庭環境を一目で分かるようにまとめます。
エコマップと違い、親族関係のまとめが基本で支援の詳細は記載しません。
書き方には基本的なルールがあり、誰が見ても家族関係を理解できるため進級時や卒園時の引継ぎにも役立ちます。
子ども本人を中心に、父母・兄弟・祖父母などの親族関係を記すため、家系図のようなものといえます。
両親の離婚や別居など、複雑化する家庭環境を一目で分かるようにまとめます。
エコマップと違い、親族関係のまとめが基本で支援の詳細は記載しません。
書き方には基本的なルールがあり、誰が見ても家族関係を理解できるため進級時や卒園時の引継ぎにも役立ちます。
エコマップやジェノグラムを保育に取り入れる理由
介護・福祉の現場で使用されてきたエコマップやジェノグラム。
なぜ、保育現場でも採用されはじめたのでしょうか？
ここからは、保育現場でエコマップやジェノグラムを活用する理由を解説します。
なぜ、保育現場でも採用されはじめたのでしょうか？
ここからは、保育現場でエコマップやジェノグラムを活用する理由を解説します。
子どもの家庭環境を知る
エコマップやジェノグラムを活用することで、子どもの家庭環境を一目で理解できます。
たとえば、ジェノグラムにて「母死別」と情報を得ていれば、不用意に母親の話題を取り上げて子どもを傷つける事態を避けられます。
また、エコマップにて家族以外に頼れる存在がいると把握できていれば、非常時に役立ちます。
必要なときにすぐに確認できるよう、保護者から口頭で聞いた家庭環境の変化を細かく記しておくことが大切です。
たとえば、ジェノグラムにて「母死別」と情報を得ていれば、不用意に母親の話題を取り上げて子どもを傷つける事態を避けられます。
また、エコマップにて家族以外に頼れる存在がいると把握できていれば、非常時に役立ちます。
必要なときにすぐに確認できるよう、保護者から口頭で聞いた家庭環境の変化を細かく記しておくことが大切です。
各家庭に必要な支援を明確にする
子どもの発達に悩みを抱えていたり、家庭内で虐待やDVなどの問題が起こっていたりする場合は、エコマップやジェノグラムを活用することで状況を把握しやすくなります。
客観的に問題を把握することにより、子どもに必要な支援を明確にします。
保育士が問題を把握していれば、家庭や子ども自身からのSOSに迅速に対応できるといえるでしょう。
客観的に問題を把握することにより、子どもに必要な支援を明確にします。
保育士が問題を把握していれば、家庭や子ども自身からのSOSに迅速に対応できるといえるでしょう。
保育士間や関係機関で情報を共有する
エコマップやジェノグラムに情報を統一することで、保育士間での情報交換がスムーズになります。
切れ目のない支援が必要な場合は、進級時の引継ぎにも欠かせないものとなるでしょう。
また、児童相談所やかかりつけ医など、保育園以外の関係機関との連携が必要な際も、情報共有しやすくなるという特徴があります。
切れ目のない支援が必要な場合は、進級時の引継ぎにも欠かせないものとなるでしょう。
また、児童相談所やかかりつけ医など、保育園以外の関係機関との連携が必要な際も、情報共有しやすくなるという特徴があります。
【具体例あり】エコマップを保育現場で活かす書き方
エコマップを記入する際は、子ども（本児）を中心に家族や保育士、友人、かかりつけ医など、さまざまな関係者を線で結びます。
エコマップを作成した日付も忘れずに記載し、定期的に見直します。
エコマップで使用する主な線表記は以下のとおりです。
エコマップを作成した日付も忘れずに記載し、定期的に見直します。
エコマップで使用する主な線表記は以下のとおりです。
関係性の記載例
子どもを取り巻く環境を、線で結ぶと以下のようになります。
上記のエコマップからは、以下のような家庭環境が推測されます。
● 本児は母と妹と同居しており父は半年前から別居状態
● 別居中の父は本児家庭においてストレスを感じる存在
● 祖母が入院しており母の負担が大きい
● 母の弟は本児家庭と信頼関係があり保育園送迎も担当している
このエコマップからは、介護や育児における本児母の負担が大きいことが読み取れます。
別居中の父との関係や母が抱えるストレスが、本児に何らかの影響を与えることも考えられるでしょう。
この先、児童相談所や保健センターからの支援があれば、働きかけがあることを矢印で記載します。
● 本児は母と妹と同居しており父は半年前から別居状態
● 別居中の父は本児家庭においてストレスを感じる存在
● 祖母が入院しており母の負担が大きい
● 母の弟は本児家庭と信頼関係があり保育園送迎も担当している
このエコマップからは、介護や育児における本児母の負担が大きいことが読み取れます。
別居中の父との関係や母が抱えるストレスが、本児に何らかの影響を与えることも考えられるでしょう。
この先、児童相談所や保健センターからの支援があれば、働きかけがあることを矢印で記載します。
エコマップが防ぐ対応の食い違い
昨今の保育園では「お迎えにくる人の本人確認」が重要視されています。
ひと昔前までは「お迎えは母親が」と聞いていても、先に仕事が終わった父親が迎えにくれば、母親に確認なしで子どもを引き渡していました。
しかし、家庭環境が複雑化してきたなか「離婚調停中の父親が勝手に保育園に子どもを迎えに行って連れていかれた」などのトラブルが起きるようになったのです。
日常的にお世話をしている保護者の許可なしに、子どもを引き渡すことが問題視されるなか、対応策として有効なのがこのエコマップです。
エコマップに「本児と父親は面会禁止」などと記載して情報共有しておけば、保育園側も徹底した対応が可能となります。
ひと昔前までは「お迎えは母親が」と聞いていても、先に仕事が終わった父親が迎えにくれば、母親に確認なしで子どもを引き渡していました。
しかし、家庭環境が複雑化してきたなか「離婚調停中の父親が勝手に保育園に子どもを迎えに行って連れていかれた」などのトラブルが起きるようになったのです。
日常的にお世話をしている保護者の許可なしに、子どもを引き渡すことが問題視されるなか、対応策として有効なのがこのエコマップです。
エコマップに「本児と父親は面会禁止」などと記載して情報共有しておけば、保育園側も徹底した対応が可能となります。
【具体例あり】ジェノグラムを保育現場で活かす書き方
ジェノグラムを記載する際は、子ども（本児）を中心に、3世代以上の家族を事実に基づいて整理していきます。
基本的な図形を組み合わせて、家庭環境を分かりやすくまとめましょう。
ジェノグラムで使用する主な図形は以下のとおりです。
基本的な図形を組み合わせて、家庭環境を分かりやすくまとめましょう。
ジェノグラムで使用する主な図形は以下のとおりです。
●年齢は図形の中心または図形の下に記載する
●死亡している場合は図形を黒塗りまたはバツ印で表記する
●妊娠している場合は女性を表す丸の中に三角を入れて表記する
●死亡している場合は図形を黒塗りまたはバツ印で表記する
●妊娠している場合は女性を表す丸の中に三角を入れて表記する
基本の家族表記
基本的な3人家族の表記方法は上記の以下のとおりです。
夫婦の間を横線でつなぐと、婚姻関係であることを表せます。
つまり、上記の表を見れば、女児（5歳）と母親（30歳）父親（35歳）が家族関係にあることが把握できるといえるでしょう。
別居している場合は母親と父親の間に斜線を、離婚している場合は二重の斜線を加えます。地域や作成する団体によって記載方法が異なる場合もあるため注意が必要です。
つまり、上記の表を見れば、女児（5歳）と母親（30歳）父親（35歳）が家族関係にあることが把握できるといえるでしょう。
別居している場合は母親と父親の間に斜線を、離婚している場合は二重の斜線を加えます。地域や作成する団体によって記載方法が異なる場合もあるため注意が必要です。
複雑な家族表記
複雑な家族を表記する際は、以下のように作成します。
上記のジェノグラムからは、以下の家族関係が読み取れます。
● 本児は母・父・兄と同居している
● 本児兄は父親の連れ子であり母親が異なる
● 本児母の実父は死亡しており実母に介護の負担がある
同居している家族は線で囲み、離婚や再婚は横につなげて表記するのが一般的です。
文章で示すと複雑な家族構成ですが、ジェノグラムを活用すれば一目で相関図を把握できます。
補足として、住んでいる場所や疾患などを加えておくと、より支援に役立つでしょう。
● 本児は母・父・兄と同居している
● 本児兄は父親の連れ子であり母親が異なる
● 本児母の実父は死亡しており実母に介護の負担がある
同居している家族は線で囲み、離婚や再婚は横につなげて表記するのが一般的です。
文章で示すと複雑な家族構成ですが、ジェノグラムを活用すれば一目で相関図を把握できます。
補足として、住んでいる場所や疾患などを加えておくと、より支援に役立つでしょう。
エコマップやジェノグラムを作成する際の注意点
エコマップやジェノグラムの作成は、パソコンでも手書きでも問題ありません。
管理しやすいよう、園で作成方法を統一できると良いでしょう。
そのほか、エコマップやジェノグラムを作成する際の注意点は以下のとおりです。
管理しやすいよう、園で作成方法を統一できると良いでしょう。
そのほか、エコマップやジェノグラムを作成する際の注意点は以下のとおりです。
保護者との信頼関係を構築する
エコマップやジェノグラムを作成するためには、家庭状況を正しく把握しておく必要があります。
しかし、信頼関係が築けていない保護者に対して、唐突に「別居されていますか？」「再婚ですか？」と聞くのは失礼にあたります。
しかし、それらの情報が子どもへの支援に必要なことも少なくありません。
保護者が保育士になんでも相談できる、保育士が保護者に手を差し伸べられる信頼関係を築くことが、エコマップやジェノグラムを作成の第一歩といえるでしょう。
しかし、信頼関係が築けていない保護者に対して、唐突に「別居されていますか？」「再婚ですか？」と聞くのは失礼にあたります。
しかし、それらの情報が子どもへの支援に必要なことも少なくありません。
保護者が保育士になんでも相談できる、保育士が保護者に手を差し伸べられる信頼関係を築くことが、エコマップやジェノグラムを作成の第一歩といえるでしょう。
子どもと密に関わる保育士が作成する
エコマップやジェノグラムの作成は、子ども本人の特性や家庭環境を把握している保育士が作成することをおすすめします。
保護者が提出した個人記録をまとめるだけであれば、誰でも作成できます。
しかし、保護者との雑談から得た情報や、子どものつぶやきから知った事実が必要となることも。
常に子どもや保護者と密に関わる保育士が作成することで、より正確な情報をまとめられるといえるでしょう。
保護者が提出した個人記録をまとめるだけであれば、誰でも作成できます。
しかし、保護者との雑談から得た情報や、子どものつぶやきから知った事実が必要となることも。
常に子どもや保護者と密に関わる保育士が作成することで、より正確な情報をまとめられるといえるでしょう。
情報は随時更新を心がける
子どもや家庭に関する情報は、常に新しいものへ更新することが大切です。
エコマップやジェノグラムは、作成するだけでは意味がありません。
「半年前に記載した問題が解決しているか？」「家庭環境に変化があったが問題はないか？」など、過去の記録と見比べて支援を検討する必要があります。
変更があった際にすぐに作成できるよう、テンプレートを用意しておくと安心です。
エコマップやジェノグラムは、作成するだけでは意味がありません。
「半年前に記載した問題が解決しているか？」「家庭環境に変化があったが問題はないか？」など、過去の記録と見比べて支援を検討する必要があります。
変更があった際にすぐに作成できるよう、テンプレートを用意しておくと安心です。
情報の取り扱いには十分注意する
エコマップやジェノグラムには個人情報が記載されているため、取り扱いには十分注意しましょう。
虐待の疑いや、子どもが苦手意識を感じている人の記録なども含まれるため、安易に保護者に見せることもおすすめできません。
また、保育士間での情報共有も適切におこないましょう。
ほかの人に聞かれるような環境で話題に出したり、他言したりしないよう配慮が必要です。
虐待の疑いや、子どもが苦手意識を感じている人の記録なども含まれるため、安易に保護者に見せることもおすすめできません。
また、保育士間での情報共有も適切におこないましょう。
ほかの人に聞かれるような環境で話題に出したり、他言したりしないよう配慮が必要です。
虐待の可能性があるときの対応を確認しておく
子どもを取り巻く環境を整理しているうちに、虐待に気がつくケースも少なくありません。
事前に対応をまとめておくことで、スムーズに通告や支援を始められます。
のちに、児童相談所やかかりつけ医と情報交換をおこなうこともあるため、資料は大切に保管しておきましょう。
その際、家庭環境の変化が分かるものがあれば参考になります。
過去のものも保管しておくと役立つでしょう。
事前に対応をまとめておくことで、スムーズに通告や支援を始められます。
のちに、児童相談所やかかりつけ医と情報交換をおこなうこともあるため、資料は大切に保管しておきましょう。
その際、家庭環境の変化が分かるものがあれば参考になります。
過去のものも保管しておくと役立つでしょう。
まとめ
現代の子ども達は、家庭環境にさまざまな悩みを抱えています。
家庭環境の変化や問題を把握できず、虐待などの問題が悪化してしまうことも少なくありません。
保育士は、子どもを常に近くで見守っているため、その環境を理解する義務があります。
エコマップやジェノグラムで問題を浮き彫りにして、各家庭に適したアプローチを検討してみましょう。
家庭環境の変化や問題を把握できず、虐待などの問題が悪化してしまうことも少なくありません。
保育士は、子どもを常に近くで見守っているため、その環境を理解する義務があります。
エコマップやジェノグラムで問題を浮き彫りにして、各家庭に適したアプローチを検討してみましょう。
