認知の歪み(ゆがみ)とは?思い込み?原因や治し方をわかりやすく解説

悩む保育士さん
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「どうせ失敗する」「やっぱりダメだと思った」など、いつも後ろ向きな考えしかできない…。
それは、認知の歪みが原因かもしれません。認知の歪みとは、物事の捉え方に歪みがある状態のことを指します。

この記事では、認知の歪みがある人の特徴やその原因、治し方を詳しく解説します。
保育士としてマイナス思考な自分に悩んでいる、常に自信のない子どもが心配という人は、ぜひ参考にしてくださいね。

認知の歪み(ゆがみ)とは

バツ印
人それぞれ考え方や受け止め方が異なるように、認知の仕方も大きく異なります。
急に雨が降ってきた場面でも、人によってさまざまな捉え方をします。

●     雨宿りついでにお気に入りのカフェに行こう
●     雨が降ったから少し涼しくなりそうだな
●     急な雨で服や靴が濡れてショックだな
●     天気予報を見なかった私はダメな人間だ
●     私が外出するといつも雨が降るから辛い


認知の歪みがある場合は、同じ出来事でもイライラしてネガティブな捉え方をしてしまいます。
とはいえ「歪み」は、どのような捉え方を呼ぶのか明確な決まりはありません。
反対に「正常」な捉え方の根拠もなく、捉え方は十人十色で個性や特性の一環ともいえます。

そのため、この記事では「認知の歪みは悪いこと」という解釈はおこないません。
マイナス思考に困っている人に向けて、別の視点で物事を捉えるヒントとしての解説をイメージしてくださいね。

認知の歪み(ゆがみ)考え方の特徴

考える保育士さん
認知の歪みには、いくつかの特徴があります。
「自分の思考は常に認知の歪みに当てはまる」という人もいれば、「ときにはこのような思考に陥ってしまう」という人もいるでしょう。
あくまでも参考として、認知の歪みにみられるパターンをご紹介します。

0か100かの両極端な考え方をする

「100点を取らなければ0点も同然!」という極端な考え方は、認知の歪みが関係している可能性があります。
ひとつでも注意を受ければすべてが失敗だったと考えてしまうため、次への自信を持てなくなってしまいます。

悪い出来事を「いつもそうだ」と一般化する

「また鍵をなくした!いつも絶対なくすんだ」と、悪い出来事をあたかも毎日、何度も起こっているかのように捉えてしまうパターンです。
そう考えることで、本当にいつも繰り返されているように感じてしまい、より後ろ向きな考えが加速します。

過去の失敗に過度に捉われる

「前回もミスしたからチャレンジしてもどうせできない」など、過去の失敗に捉われすぎるのも、認知の歪みの特徴です。
「次はできるかも」「練習すればできるかも」と、前向きに考えられないため、失敗がより重く心に残ってしまいます。

なんでもマイナス思考に考える

「高評価をもらえたけどこれは運が良かっただけ」と、良いことがあっても、つい悪い方に捉えてしまう思考パターンです。
最初から心にマイナスなフィルターをかけてしまっているため、どんなに良いことが起きてもそのように感じられなくなってしまいます。

根拠がないのに悪い結果につなげる

「私は絶対幸せになんてなれない」などと、まだ分からない未来のことまで悲観的に捉えてしまうこともあります。
今までうまくいかなかったからと、なんとなくそう思うだけで明確な根拠はないのが特徴のひとつです。

自分の悪い部分にばかり目がいく

「私がいるから盛り上がらない…」など、自分が周りと比べて劣っている部分ばかりに目がいくことも認知の歪みの特徴です。
誰でも長所と短所があるにもかかわらず、短所にばかり捉われることで自信をなくしてしまいます。

負の感情から否定的に考えてしまう

「モヤモヤするから失敗するに決まっている」と、自分の感情を根拠にして結果を決めつけてしまうパターンです。
なんでもマイナス思考に考えてしまう癖と関係しており、不安は失敗につながると思い込んでしまいます。

「~すべき」と常に完璧を目指す

「今は静かにすべき」「そんなことするべきではない」など、常に完璧を目指して自分を追い込んでしまうのも、認知の歪みが関係しています。
0か100かで考えるパターンと同じく、できなかったときに自己嫌悪に陥ります。

小さなミスでもダメなレッテルを貼る

失敗を一般化してしまうパターンと同じく、小さなミスでも大きなレッテルとして背負ってしまう思考パターンです。
「自分はどんくさいから」「ウジウジして頼りにならないから」と、自分に負の看板をつけることで、よりマイナスな感情に引き込まれてしまいます。

失敗はすべて自分の責任だと思い込む

「私と同じグループだから迷惑をかけた」「あの人がイライラしているのは私のせいだ」と、失敗をすべて自分の責任として考えてしまうパターンです。
そんなことは誰も思っていないにもかかわらず、さまざまな認知の歪みが重ねって落ち込んでしまいます。

認知の歪みに悩む保育士の具体例

子供を抱く保育士さん
マイナス思考で、自分に自信を持てず悩んでいる保育士も少なくないでしょう。
認知の歪みがある保育士にはどのような特徴があるのか、具体的な悩みの例をご紹介します。

●     参観日の担任挨拶で言葉に詰まってしまった…今日の参観はすべて大失敗だ
●     設定保育はいつも時間をオーバーしてしまう…次も必ず失敗する
●     主任保育士に保護者対応を褒められたけど…きっとまぐれに違いない
●     今日は先輩保育士と会話が少なかった…私は暗いから嫌われているんだ
●     ピアノは弾けるけど全然すごいことではない…そんなことより絵が下手で辛い
●     子ども達には常に優しくすべき…なのに叱ってしまう私は保育士失格だ
●     自分は仕事が遅いから…どうせ今日も残業でみんなに迷惑をかける


認知の歪みがあると「明日はがんばろう」「行事を頑張った自分ご褒美をあげよう」などを考えられないため、常にマイナスの渦に巻き込まれてしまいます。

とくに保育士は、大切な子ども達を預かる責任の重さにより、自信をなくしやすい職業です。
認知の歪みがひどくなると、うつ状態となり仕事に支障をきたす恐れがあるため注意が必要です。

子どもにみられる認知の歪みの具体例

泣く子供
子どものなかにも、認知の歪みがあると思われるケースが少なくありません。
認知の歪みを抱える子どもには、以下のような特徴があります。

●     初めての縄跳びで失敗してしまい二度と挑戦しようとしない
●     絵を描くときに失敗するかもしれないからとなかなか始めようとしない
●     間違えてしまった作品をぐちゃぐちゃに壊してしまう
●     クラスでチャレンジする物事に常に否定的な態度をとる
●     みんなに嫌われているから遊びに入れてもらえないと思い込む
●     静かにするべきシーンで誰かが喋り出すと許せずにひどく怒る
●     運動会で自分のクラスが負けると自分が原因だと落ち込む


認知の歪みのパターンは、似たような特徴が重なり合っているのが特徴です。
そのため、ひとつの結果を悲観的に捉えると、その出来事を想像してまたマイナス思考に物事を考えてしまうという、負のループに陥ってしまいます。

なかには、発達障がいを抱える子どもの「こだわり」と似通う部分もあります。
物事をなんでも悲観的に捉えてしまう子どもがいれば、認知の歪みに当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

認知の歪みが起こる原因

認知の歪みは、今までの経験や育ってきた環境が影響されるといわれています。
偶然にも失敗経験が積み重なることで、なんでも悪い方に捉えてしまう思考パターンが根強く残ってしまいます。

もちろん人間関係も大きな影響を与えますが、逆にさまざまな人との関わりのなかで歪んだ認知が修正されていくことも期待できます。
前述したように、正常な捉え方に明確な基準がないため、誰でも多少なりと認知の歪みを持っているといえるでしょう。

認知の歪みの治し方

青空
認知の歪みは、個性や特性ともいえるため、必ずしも悪いものであるとは言い切れません。
しかし、過度なネガティブ思考は、日常生活に支障をきたす可能性があります。
歪みを修正することで、生きやすさにつながることも。
そこでここからは、認知の歪みを治す方法をご紹介します。

気持ちを外に吐き出す

モヤモヤと自信がなく否定的な気持ちになったときに、その気持ちを外に吐き出すことから始めてみましょう。
できれば、いつどんなときに感じたのか、状況を詳しく書き出します。飾らずありのままの気持ちを吐き出しましょう。

認知の歪みを自覚する

気持ちの記録を読み返すことで「自分には認知の歪みがあるかもしれない」ということを自覚します。
ご紹介した認知の歪みのパターンと照らし合わせて、思考に癖があることを認識しましょう。

違う角度から物事を考えてみる

歪みのある認知を自覚したら、同じ出来事を違う角度から考えてみます。
「自分のせいで失敗した」と思い込んでいる出来事には、実はほかの要因があったのかもしれません。
異なる側面から見ることで「そこまで思いつめる必要はなかった」「もしかするとたまたま失敗しただけかもしれない」と、客観的に物事を捉えられます。

失敗の捉え方を変えてみる

認知の歪みを理解し、物事を客観的に見つめ直す癖をつけたら、失敗の捉え方を変えてみましょう。
ひとつでも多く良い面を認識できるよう、小さなポジティブ思考から始めます。
「失敗したけど努力したことは偉い」「今回は失敗したけど次も同じとは限らない」と考えられるよう意識してみましょう。

まとめ

考え方は人それぞれで、同じ出来事でも「たまにはこんなこともあるよね」と楽観視できる人と「いつもうまくいかない!人生の終わりだ」と悲観的に捉える人がいます。

正常な捉え方に基準はありませんが、あまり悲観的すぎると生きづらさを感じてしまうのも事実です。
まずは自分が抱える認知の歪みに気が付くことが大切です。考え方次第で、より生きやすくなるかもしれません。
保育士・幼稚園教諭・保育教諭などの就職・転職をお考えの方は、ぜひ保育士ワーカーにご相談ください!
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