【具体例付き】保育指導案の書き方とは?おえておくべきポイントを徹底解説

「保育指導案に書くべき項目の内容がよくわらない」
「書き方の具体例を参考にしながらクラスに合った内容を作成したい」
保育指導案(指導計画)とは、年間・月間・週間・1日の保育の流れや援助の方法を明確に示すことができるものですが、その作成に頭を抱えている保育士さんは多いのではないでしょうか?
多忙な中で作成するのは大変なことですが、保育指導案がしっかりと立てられていると、その後の保育が行いやすくなるので具体的に書くことが大切です。
保育指導案に書くべき内容をしっかりと理解しておくと、指導計画の作成のコツを掴むことができるので、この記事では具体例を交えながら「記載内容の詳細」と「各保育指導案の書き方のポイント」について紹介していきます。
保育指導計画を種類別に作成する目的や、内容の違いがよくわからないという保育士さんもぜひ参考にしてみてください。
保育指導案の種類と違い
それぞれ作成する目的や書く内容などが異なるので、保育指導案の種類と違いについて解説していきます。
長期指導案:年案・月案
長期指導計画を作成する目的は、長期的な保育の大まかな見通しを立てることで、子どもの成長の着地点を明確にイメージできるようにすることです。
「年案」は1年間を期ごとに分けて作成し、基本的にその年齢や時期に合った成長を記載していきます。
現在の子どもの姿からは作成することができないので、「◯歳クラスのこの時期なら〇〇ができるようになってほしい」という内容で作成していきましょう。
「月案」は、年案に基づいて1ヵ月間の活動や成長、それに伴う援助などを具体的に記載します。
さらに、前月の反省点や気づきがあれば「子どもの姿」や「保育者の援助」などの項目に反映させていくのがポイントです。
短期指導案:週案・日案
短期指導案を作成する目的は、長期指導案の大まかな見通しを基に、実際のクラスの子どもの姿に当てはめながら具体的に行動・援助ができるようにすることです。
「週案」は、月案に基づいた子どもの成長してほしいことを達成するために、「どんな活動を取り入れるべきか」「保育者はどんな援助・環境構成が必要か」ということをより具体的に記載していくのがポイントです。
1週間ごとの活動にきちんと繋がりがあるかどうかも注意して作成してください。
「日案」は、週案と前日の子どもの姿を基に、1日の保育の流れを具体的に記載することで「保育者がどのように動くのか」「活動に参加しない子どもはどうするのか」ということまでしっかりとわかるということがポイントです。
特に3歳未満児クラスのように複数担任の場合、「誰がどの配置につくのか」「誰がどのような遊びを展開するのか」といった部分まで具体的に記載していきましょう。
保育指導案の各項目の具体的な内容
・ねらいと内容
・予想される子どもの姿
・環境構成
・保育者の援助
しかし、各項目に何を書けばいいのかよくわからない・ねらいと内容の違いが曖昧といったことから、思うように保育指導案の作成が進まないこともあるかと思います。
各項目について理解することで保育指導案が作成しやすくなるので、各項目ごとに具体的な内容を解説していきます。
ねらいと内容
ねらいと内容の違いを簡単に説明すると、ねらいには全体的な大きな目標を記載し、内容にはその目標を達成するための方法を記載します。
例えば、ねらいに「保育者と信頼関係を築き、安心して過ごす」という目標を立てたとします。
この場合の内容は「保育者とのふれあい遊びを楽しむ」「安心できる保育者に抱っこされて安定して過ごす」など、目標を達成するための具体的な活動や子どもの姿などを記載します。
子どもの成長目標(ねらい)と、それを実現するための具体的な方法や活動(内容)の関係性に注意して作成してみてください。
予想される子どもの姿
年案の場合は、一般的な年齢ごとの子どもの姿を記載しますが、それ以外は現在の子どもの姿を反映させながら作成していきましょう。
例えば、先ほど立てた内容(「保育者とのふれあい遊びを楽しむ」「安心できる保育者に抱っこされて安定して過ごす」)に対する予想される子どもの姿は、「保育者との関わりの中で安心して甘えることができる」「特定の保育者が見えなくなると涙することもある」などが挙げられます。
あくまでも「予想」の範囲内ですが、現在の子どもの姿をしっかりと捉えておくことがポイント。
子どもの姿を捉えられていると、指導計画に沿った環境構成や保育者の援助を実践することができるので、意味のある保育指導案となります。
環境構成
保育環境の中には以下の3つの要素があるので、内容を確認しておきましょう。
・人的環境…子ども達が関わる身近な大人や子どもとの関わり合い
・物的環境…子どもが生活する場所にある物や周りにある物
・自然・社会環境…季節ごとの自然の触れ合いや地域との交流
例えば、先ほど立てた内容(「保育者とのふれあい遊びを楽しむ」「安心できる保育者に抱っこされて安定して過ごす」)に対する環境構成は、「なるべく特定の保育者が関わるようにし、愛着関係を育んでいく」「スキンシップを楽しめるようにふれあい遊びを取り入れる」などが挙げられます。
保育環境について詳しく知りたい方は、「子どもに最適な保育環境とは?設定ポイントと具体例を紹介」の記事も参考にしてみてください。
保育者の援助
例えば、先ほど立てた内容(「保育者とのふれあい遊びを楽しむ」「安心できる保育者に抱っこされて安定して過ごす」)に対する保育者の援助は、「安心して過ごせるようにゆったりとした雰囲気で、声や表情に配慮しながら関わる」「触れ合い遊びが心地よいと感じられるように子どもの様子をみながら取り入れる」などが挙げられます。
保育者の援助を具体的に書くと保育の方向性がわかりやすくなるので、保育の連携や情報共有のためにもしっかりと作成していきましょう。
【記入例あり】各保育指導案の作成ポイント
「どんな言い回しで書けばいいのかわからない」「具体的な文章を参考にしたい」という保育士さんはぜひ確認してみてください。
年案の記入例とポイント
例)0歳児
1期(4月〜5月) | |
ねらい | 一人ひとりの生活リズムを把握して、新しい環境に慣れる |
内容 | ・安心できる保育者に抱っこされて安定して過ごす ・保育者に世話をしてもらう心地よさを味わう |
予想される子どもの姿 | ・あやされるとそれに応じて声を発する ・特定の保育者が見えなくなると涙することもある |
環境構成 | ・なるべく特定の保育者が関わるようにし、愛着関係を育んでいく ・落ち着いて睡眠がとれるように静かな環境を整える |
保育者の援助 | ・安心して過ごせるようにゆったりとした雰囲気で、声や表情に配慮しながら関わる ・おむつは汚れたらこまめに取り替え、気持ちよさがわかるように声をかけながらおむつ交換をする |
月案の記入例とポイント
例)2歳児6月
ねらい | 保育者のサポートを受けながら、衣類の着脱を自分で行おうとする |
内容 | ・保育者に衣類の正しい向きを教えてもらいながら、自分で帽子をかぶったり、衣類に袖を通したりする ・自分でできることが増えたことで自立心が芽生える |
予想される子どもの姿 | ・「自分でやる」という思いが強くなり、衣類の着脱に時間をかけて取り組もうとする ・自立心が芽生えたことで保育者の援助を拒み、全部自分でやりたいと自己主張をする |
環境構成 | ・衣類を着脱しやすいように並べ、自分で行える環境を作る ・援助を拒否することもあるので、転んだりしないようにそばで見守る |
保育者の援助 | ・衣類を着脱しやすいように並べる ・衣類を逆に着用したとしても自分でできたことを褒めながら、正しい着脱の方法を知らせていく |
週案の記入例とポイント
例)3歳児10月1週目
ねらい | 友達と一緒に様々な運動遊びを楽しむ |
内容 | ・友達と一緒に体を動かしたり同じ遊びを楽しむ ・ごっこ遊びを通して、保育者や友達と同じイメージを持って遊ぶことを楽しむ |
予想される子どもの姿 | ・ひとり遊びが中心で、友達の間に入っていけない子もいる ・遊びの中で自分の思いを言葉にできずトラブルになってしまうこともある |
環境構成 | ・友達と一緒に遊べる活動を考え、友達と一緒に遊ぶことの楽しさを感じられるようにする ・ごっこ遊びなどが自由に始められる環境を作る |
保育者の援助 | ・友達と一緒に遊べる活動を提供する ・友達の遊びに入れない子どもに対して、保育者が一緒に関わりを持ち友達と遊ぶ楽しさを知らせる |
日案の記入例とポイント
例)5歳児秋(主活動の部分を抜粋)
ねらい | 秋の自然物や身近な素材に自ら関わり、発見や工夫をして遊びに取り入れようとする |
内容 | (晴れ) ・交通ルールを守って散歩に行く ・散歩先で自然に触れたり体を動かして遊ぶ (雨) ・秋の自然物を使って製作をしたり遊んだりする |
予想される子どもの姿 | (晴れ) ・散歩に必要な物を自分で考えて準備をする ・散歩先で友達と相談しながら遊ぶ内容を考える (雨) ・どんぐりやまつぼっくりなどを使って、工夫をしながら楽器やコマなどを作ることを楽しむ ・作った製作物で遊ぶ中で、改善したり工夫をして楽しむ |
環境構成 | (晴れ) ・散歩先のルートを事前に確認し、危険がないか確認しておく (雨) ・製作の見本となる作品や秋の自然物や製作に必要な物を事前に準備しておく ・作った製作物で遊べるスペースを確保しておく |
保育者の援助 | (晴れ) ・子ども同士で手を繋ぎ、相手のペースに合わせたり前後の感覚を保つことを知らせながら、協調性が身につくようにする ・友達とトラブルになった時は子ども同士で解決できるように見守り、必要に応じて保育者が子どもの思いを言葉にしていく (雨) ・はさみなどの使い方を知らせ、安全に製作ができるように見守る ・作った製作物を飾り、満足感を感じたり自分の作品に愛着が持てるようにする |
まとめ
日々の忙しい業務の中で作成するのは大変ですが、現在の子どもの姿が捉えられていると書きやすくなります。
日頃から子どもの成長や様子を把握して、保育指導案の作成に取り入れてみてください。





