保育園が抱える問題|すべての原因は保育士不足?保育士ができることとは

赤ちゃんを抱っこする女性
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保育業界には、さまざまな問題があります。「待機児童」「仕事量の多さ」「不適切保育」など…。そのすべては、保育士不足が悪循環を作っているとも考えられます。さらに、2024年度から始まる「こども誰でも通園制度」により、保育士の負担が増える懸念も。この記事では、保育園が抱える問題や保育士ができることについて解説します。

保育園が抱える問題「保育士不足」

手をつなぐ園児と保育士
保育園が抱える大きな問題として挙げられるのが、保育士不足です。保育士の離職率は他職業と比べて高すぎるわけではありません。しかし、さまざまな理由から、保育士の資格を持っていながら保育業界に携わらない「潜在保育士」が増えています。保育士不足の原因・課題と考えられるのは以下のとおりです。

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給料が低い

保育士の退職理由上位に挙げられる給料の問題。年齢、経験、地域、働く保育園によって給料に差はありますが「こんなに大変な仕事なのに」と、割に合わないと感じて退職する人が多いようです。昨今では、少しずつ保育士の処遇改善が進められています。

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業務が多い

日々の保育や行事の準備など、業務が多いことも保育士不足につながる大きな要因です。もちろん、保育園によってその状況は異なりますが「連絡帳を書く時間がなくて休憩時間も仕事」「保育中に書類仕事を済ませられず残業」「製作物が間に合わず持ち帰り」など、勤務時間外の負担も。

責任が重い

保育士は、たくさんの子ども達の命を預かる仕事です。数センチの水で溺れてしまったり、小さく刻んだ食材で喉を詰まらせたり…。一瞬たりとも目を離せない責任の重さに「保育士は自分に向いていない」と感じて悩む人も多いようです。

人間関係が複雑

保育園で働く人の多くが女性で、特有の人間関係を理由に保育士から離れてしまう人も。とくに複数担任は、一緒に組む保育士と相性が良くないと保育に支障をきたす恐れがあります。いくら待遇の良い保育園に就職できたとしても、人間関係にストレスを感じてしまうと長く続けられません。

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保育園が抱える問題「子ども誰でも通園制度」

幼稚園の制服
政府は、異次元の少子化対策の一環として、2024年度から「子ども誰でも通園制度」の本格実施を見据えているとのこと。

この制度は、定員に空きのある保育園で週に何度か子どもを預かる事業のことです。保護者の就労を問わないため、子育て家庭の負担軽減が期待できます。しかし、誰でも保育園に通えることで、以下のような問題が起こると考えられます。

保育士不足が加速する

保育士を取り巻くさまざまな問題が解決されていないにもかかわらず、通園する子どもの数を増やすことになりかねない「こども誰でも通園制度」。その負担の大きさから、保育士の離職がさらに進むことが懸念されます。

労働環境が悪化する

仕事量が多くいつも多忙な保育園にとって、無理に子どもを受け入れることは労働環境の悪化につながると考えられます。改善されるべき保育士の配置基準も、受け入れる子どもの人数が増えることで、なかなか進まないかもしれません。

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保育園が抱える問題「保育の質」

幼稚園の室内
「保育士が少ない」「業務が多すぎる」などの理由から、保育の質が下がることも大きな問題です。保育の質の低下には、以下のような弊害が挙げられます。

行事ばかりで子どもの心に寄り添えない

園の特色を出すための特別保育や、大がかりな準備が必要な行事の数々。準備に追われ、余裕を持って子どもと接することができない保育士も多いようです。子どもの心に寄り添う余裕がないと、保育の質を保てません。

指導力不足により問題行動が増える

離職率の高い保育園では、採用したばかりの保育士の比率が大きくなり指導力が不足します。うまくクラスをまとめられないと、子どもの問題行動が増えてしまい「保育士に向いていない」と更なる離職を生む悪循環に。保育士不足は、保育の質に大きな影響を与えるといえるでしょう。

保育士不足から思わぬ事故が起こる

保育士が足りないと、子どもを見守る目が少なくなり思わぬ事故が起こります。転倒・誤飲・落下・窒息など、事故の可能性が高いのが保育園です。子どもの安全は、保育の質で考える最重要課題といえるでしょう。

保育園が抱える問題「子どもの問題行動」

道に座る幼児
保育園が抱える問題として、日々現場が頭を抱えているのが「子どもの問題行動」です。保育士が不足しているなか、癇癪や脱走への対応はとても難しいものです。現場の保育士は、おもに以下のような問題に直面しています。

発達障がい

自閉症やアスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害など、発達障がいのある子どもの入園も珍しくありません。必要な支援が明確でない場合も多く、なかには診断はされていないものの育てにくさを感じる、いわゆる「グレーゾーン」に当てはまる子どもも。サポートに入れる保育士がいなければ、担任保育士の負担が大きくなってしまいます。

複雑な家庭環境

保育園に通う子どものなかには、複雑な家庭環境で育つ子どもも少なくありません。なんらかの事情により無償の愛を受けずに育った子どもは、情緒が安定せず問題行動が目立つ恐れがあります。大人の言うことを聞かない、暴力的になるなどの行動は、担任保育士だけでは抱えきれない問題といえるでしょう。

解決策はある?保育士にできること

笑顔の保育士さん
保育士不足がなんらかの問題を引き起こし、その問題がさらに保育士不足を呼び寄せるという悪循環…。現場の保育士に解決策はあるのでしょうか?ここからは、保育士にできることをご紹介します。

自分に合った職場で保育を長く続ける

保育方針や待遇は、保育園によってさまざまです。働きながら悩みを抱えている人は「保育士に向いていない」のではなく「保育園が合っていない」のかもしれません。自分にあった保育園で長く保育に尽力することが、保育園が抱える問題解決につながるかもしれません。

心に余裕を持って保育にあたれるようにする

忙しいと心に余裕を持てず、思わぬ事故を起こしてしまったり、子どもの心に寄り添えなかったりします。ストレスをうまく発散させたり、業務効率化を提案したりして余裕を持つことで質の良い保育が叶います。

常に学ぶ姿勢を忘れない

より良い保育を提供するためには、保育士として常に学ぶ姿勢を忘れないことが大切です。若い保育士はベテランから学び、ベテラン保育士は若い保育士を参考に情報をアップデートします。しかし、なかには離職率の高さから保育園内での情報交換が難しいことも。そのような場合は、研修を活用しながら学べる環境を確保したいですね。

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まとめ

この記事では、保育園が抱える問題について解説しました。保育士不足や不適切保育など、保育を取り巻く問題は常にニュースを賑わせています。大切なのは、保育園に通う子ども達がのびのび笑顔で過ごせること。保育士一人ひとりができることを考え、より良い保育の提供に努めたいですね。
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