原始反射とは?その意味や種類、出現・消失の時期をわかりやすく解説

赤ちゃんになんらかの刺激を与えることで、無意識に反応する動作のことを原始反射といいます。この記事では、そのような原始反射の種類や見られる時期などを詳しく解説します。子育てをしている人はもちろん、保育や看護の資格取得を目指して勉強している人も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
原始反射とは?
原始反射は、赤ちゃんが生まれつき持つ、生存や身体の機能に関わる自動的な反応のことを指します。たとえば、赤ちゃんの手のひらに触れたときにギュッと握り返してくれたり、唇に触れたものに吸い付こうとしたりする仕草のことです。
一般的に、原始反射はお母さんのお腹にいるときからすでに出現し、生まれてすぐから見られます。それぞれの原始反射に大切な意味があり、発達の基礎となる動作ばかりです。原始反射の種類にもよりますが、それぞれ生後2~3ヶ月や半年、生後1年程度で見られなくなっていきます。
姿勢反射とは?
姿勢反射は、身体の姿勢を維持するために無意識におこなわれる動作のことです。たとえば、
身体が傾いたり倒れそうになったりしたときに、バランスを取ろうと腕を動かすなどの仕草を自然におこないます。
生まれてすぐから見られる原始反射とは異なり、姿勢反射は生後数ヶ月経過してから発生するといわれています。なお、出現した姿勢反射はそのまま成熟し、より高度に姿勢を制御できるようになります。
原始反射や姿勢反射のおもな種類や時期
赤ちゃんに見られる原始反射や姿勢反射には、さまざまな種類があります。
・モロー反射
・把握反射
・自動歩行
・哺乳反射
・緊張性頸反射
・ギャラン反射
・バビンスキー反射
・パラシュート反射
ここからは、それぞれの内容や反射が見られる時期について詳しく解説します。
モロー反射
モロー反射とは、出生後すぐから生後6ヶ月ごろまでの間に見られる原始反射です。赤ちゃんが外部からのなんらかの刺激に対して回避・防御しようとすることでおこります。他者が体に与える刺激のほか、大きな音などにも反応します。
反射例
・赤ちゃんの頭を少し持ち上げ、急に下げると驚いたように両手を広げる
・驚いたときなど両手を広げてしがみつくような仕草を見せる
把握反射
把握反射(はあくはんしゃ)とは、出生後すぐから生後3~4ヶ月ごろまでの間に見られる原始反射です。把握反射には、手に触れたときに出る「手掌把握反射(しゅしょうはあくはんしゃ)」と、足に触れたときに出る「足底把握反射(そくていはあくはんしゃ)」があります。
反射例
・赤ちゃんの手のひらに触れるとギュッと握り返してくる
・足の裏を押すと足の指を内側に曲げようとする
自動歩行
自動歩行(じどうほこう)とは、出生後すぐから生後2~3ヶ月ごろまでの間に見られる原始反射です。歩行反射(ほこうはんしゃ)とも呼ばれ、まだ歩くはずのない赤ちゃんが歩くような仕草を見せるという特徴があります。
反射例
・赤ちゃんを立たせると歩き出すように足を動かす
・床に足の裏をつけると左右前後に出そうとする
哺乳反射
哺乳反射(ほにゅうはんしゃ)とは、出生後すぐから生後6ヶ月ごろまでの間に見られる原始反射です。生まれてすぐから母乳やミルクを飲むために、どの赤ちゃんにも備わっています。哺乳反射には、唇に触れたものを探そうとする探索反射(たんさくはんしゃ)や、口に入れたものを自動的に吸おうとする吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)があります。
反射例
・唇に触れたものを探して口にくわえようとする
・口に入れたものを舌を使って吸おうとする
緊張性頸反射
緊張性頸反射(きんちょうせいけいはんしゃ)とは、出生後すぐから生後3~4ヶ月ごろまでの間に見られる原始反射です。身体への刺激を察知すると、無意識に反応して平衡を保とうとします。緊張性頸反射には、対称性緊張性頸反射と非対称性緊張性頸反射があります。
反射例
・うつ伏せにした赤ちゃんの頭を上げると腕を伸ばして足を曲げる
・うつ伏せにした赤ちゃんの頭を下げると腕を曲げて足を伸ばす
・仰向けにした赤ちゃんの首を左に向けると左の手足が伸びて反対が曲がる
・仰向けにした赤ちゃんの首を右に向けると右の手足が伸びて反対が曲がる
ギャラン反射
ギャラン反射とは、出生後すぐから生後3~4ヶ月ごろまでの間に見られる原始反射です。ガラント反射とも呼ばれ、外部からの刺激によりおしりをフリフリさせるのが特徴的です。
反射例
・脊髄の片側をなでるとおしりが持ち上がる
・脊髄をなで終わると元の姿勢に戻る
バビンスキー反射
バビンスキー反射とは、出生後すぐから生後1~2年ごろまでの間に見られる原始反射です。足の裏に刺激を与えることで、指が広がるような反応が見られます。
反射例
・赤ちゃんの足の裏(小指側)をかかとからつま先までさする
・赤ちゃんの足の裏(小指側)を刺激することで親指が外側に曲がる
パラシュート反射
バビンスキー反射とは、生後6ヶ月ごろから1歳ごろに見られる原始反射です。「落ちるかもしれない」と感じたとき、身体を保護して平衡感覚を保つために自然にバランスを取ろうとします。
反射例
・赤ちゃんの両脇を支えるように持ち上げて頭を傾けると両腕が前に出る
・頭から転びそうになったときに両手を前に出してバランスを取ろうとする
原始反射がないとどうなる?消えない場合は?
原始反射は、赤ちゃんが成長していくうえで大切なもの。しかし、原始反射が出現・消失する時期には個人差があります。それぞれの反射に出現から消失までの目安がありますが、その通りに見られない赤ちゃんも少なくありません。では、原始反射がない、または消えないという場合には、どのような対応が必要なのでしょうか?ここからは、それぞれのポイントを解説します。
原始反射が現れない場合
原始反射は生まれ持っている反応のため、ほとんどの赤ちゃんに見られるものです。とくに外部から刺激を回避・防御しようとするモロー反射は、とてもわかりやすい反射で出生時や乳児健診のタイミングでチェックされます。
原始反射は個人差が大きいため、遅くても心配しすぎる必要はありません。とはいえ、本来みられるべき赤ちゃんの原始反射が見られない場合は、中枢神経や脳神経系などが異常なく発達しているか、気になる点を小児科医に相談してみましょう。
原始反射が消えない場合
原始反射の消失は、出現と同じく個人差があります。そのため、神経質になりすぎる必要はありません。発達に合わせて段階的に消失していくため、ゆっくり様子を見てみましょう。
しかし、あまりにも目安の時期から時間が経過している場合は、神経系の発達になんらかの問題があるというサインである可能性があります。原始反射が消えない場合は、小児科医に相談してみましょう。
まとめ
この記事では、赤ちゃんに見られる原始反射について解説しました。誰に教えられたわけでもなく、赤ちゃんは生きるためにさまざまな動作を身につけて生まれてきます。その特徴や時期を理解し、温かく見守ってあげたいですね。





