愛着形成(アタッチメント)とは?何歳までにどのような関わりが必要?

愛着形成のイメージ
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愛着形成とは、子どもの心の発達に欠かせない愛情や信頼の基盤のことです。乳幼児期に愛着形成がしっかりなされていることが、その後の対人関係や社会との関わり方に良い影響を与えます。この記事では、愛着形成を促すための関わり方や、子どもに見られる愛着行動について詳しく解説します。

愛着形成とは?

愛着形成とは、家族や保育者など特定の人との関わりのなかで形成される心理的な絆のようなものです。特定の人との情緒的な絆(愛着)のことをアタッチメントともいい、乳幼児期に育みたい心の基盤として重要視されています。
子どもは家族や保育者などに対して「自分は愛されている」「この人はいつも自分を守ってくれる」という絶対的な信頼感を持つことで、愛着を形成していきます。このような愛着を基盤に、子どもたちは自分に自信を持ってチャレンジしたり、他者のことを信頼して良好な人間関係を築いたりできるのです。

愛着障害とは?

愛着障害とは、なんらかの事情により乳幼児期の愛着形成がうまくいかず、情緒に問題を抱えている状態のことです。アタッチメント障害ともいい、乳幼児期に愛着の基盤が作られず、大人になってから自尊心や自立心、社会性が育たず社会生活に困難を感じている人も少なくありません。
愛着障害が起こる原因としては、家族との離別や死別、虐待、愛情不足などが考えられます。愛着がうまく形成されず「安心できる居場所がない」「大切にされた経験がない」と感じ続けることで、自己肯定感が低く他者を信じられないまま、さまざまな困難に向き合うこととなってしまうのです。

子どもに見られる愛着行動

愛着行動とは、子どもが家族や保育者などに対して、親密さを求めるためにおこなう行動です。子どもは安心感を得るために呼び求めたり、あとを追いかけたりします。愛着形成のためには、子どもの愛着行動に対しての応対的な関わりが必要です。子どもに見られる愛着行動は、以下の3つの種類に分けられます。

定位

・近くにいる人を追視する
・聞こえてくる声に注目する
・目に入った人に手を伸ばす

発信

・泣いて注目を集める
・微笑んで関心を引きつける
・ジッと見つめて相手をしてもらおうとする

接近

・愛着関係を築いた人に近づく
・移動した人の後追いをする
・安心するため抱きつこうとする

愛着形成は何歳までにどのように関わる?

ここからは、愛着形成のために意識したい関わり方を、月齢・年齢別に解説します。

新生児期~生後3ヶ月ごろ

第1段階として、生まれてすぐから生後3ヶ月ころまでは、人物を特定しない働きかけがおこなわれます。愛着行動でいう「定位」が見られるため、子どもの側で顔をのぞき込んだり、よく声をかけて反応をうかがったりしてみましょう。また、生理的欲求を適切に満たしてあげると、心の絆が生まれていきます。

生後3ヶ月~生後半年ごろ

第2段階として、生後半年ごろまでは特定の人物に対する働きかけがおこなわれます。特に母親などへの「定位」「発信」など、自分の行動が相手に届くことを知って意味を持って笑いかける姿が見られます。この時期は、子どもの表情や反応を見ながらやさしく抱っこしたり、意識的にスキンシップを図って、安心感を持ってもらえるようにします。

生後半年ごろ~3歳ごろ

第3段階として、家族や保育者など信頼関係を築いた人に対する愛着が深くなります。「接近」により信頼できる存在を後追いしたり、警戒心から人見知りがでるのもこの時期です。真の愛着形成を図るため、子どもの欲求に対して応対的な関わりを繰り返します。安心・信頼感を深めることで、その場を拠点として子どもの世界が少しずつ広がっていきます。

3歳~小学校就学前ごろ

第4段階として、無条件の愛情を受け続けて精神的に安定することで、特定の人物が側にいなくても安心して過ごせるようになります。必要なときにはサポートしてもらえるという安心感のもと、新しいことにチャレンジしていく姿が見られます。「どんな自分でも変わらず愛してくれている」という揺るぎない自信を持てるよう、言葉でもしっかり愛情を伝えていくことが大切です。

愛着形成に必要な関わり

無条件の愛情をたっぷり受けて絶対的な信頼感を持つことは、子どもの将来に大きな影響を与えます。「失敗しても大丈夫」「人にやさしくしよう」など、豊かな心を持つためには、家族や保育者の適切な関わりが重要です。愛着形成に必要な関わりには、おもに以下の3つがあります。

視線

・授乳しながら子どもの目を見つめる
・オムツを交換しながらやさしく語りかける
・子どもの視線に気づき見つめ返す
・子どもの声に反応して目を合わせる

接触

・抱っこをしながら肌と肌を合わせる
・ベビーマッサージをおこなう
・頬を合わせたりふれあい遊びをしたりする
・手を握る

言葉

・穏やかでやさしく声をかける
・笑顔で言葉をかけることで愛情を示す
・「大好きだよ」など愛を伝える
・「大丈夫だよ」など安心感を伝える

まとめ

この記事では、子どもの愛着形成について詳しく解説しました。乳幼児期に受けた無条件の愛情は、子どもの欲求を満たして安心感を与えます。のちにその絆が基盤となって、さまざまなことにチャレンジしたり、他者との良好な人間関係を築いたり、豊かな社会生活を送れるようになるのです。子どもたちの愛着行動を見極め、正しく関わりを持てるようにしたいですね。
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