絵本専門士
絵本専門士って、どんな仕事だろう?
絵本専門士とは、いわゆる絵本のプロです。
保育所や幼稚園などの教育現場ではもちろん、公民館などの施設で地域の子どもや保護者を招いての絵本の読み聞かせ会を行います。絵本専門士の活躍の場は幅広く、絵本の専門知識に関する研修会の講師をしたり、医療機関でのお話会や読み聞かせを依頼されたりもします。
絵本専門士の資格は平成28(2014)年度、国立青少年教育振興機構によって設立されました。同機構によると絵本専門士は『絵本に関する高度な知識、技能および感性を備えた絵本の専門家』とされています。近年、幼児期から絵本を読んだり聞いたりすることで、子供の発育に大変良い影響を与えることが分かりました。そこで絵本専門士という絵本のプロを教育現場や医療機関に輩出する事で、子供たちの知識力を高め、想像力と創造力を培うことを目的としています。文章から全体像をイメージしたり新たな何かを考え出したりする力は、幼年期に培われます。読み聞かせた絵本の内容を質問したり感想を聞いたりすることで子供のアウトプット能力を引き上げる事が出来るのです。また医療の現場ではこころの治療のためのリハビリとして、精神医学の観点からも絵本専門士のスキルが注目されています。
まだ現在では全国に100名ほどしか取得していないかなり新しい資格といえます。
給料は増えるの?
保育所での給与は増える可能性があります。絵本専門士の資格を持っていれば、保育所や幼稚園を代表して講演会やイベントに呼ばれることもあります。そうなれば待遇も変わってくるでしょう。需要に対して絶対数が少ない資格なので、今後もニーズは高まると思われています。
どうやって取得するの?
資格認定を行なっているのは国立青少年教育振興機構です。詳細は同機構のホームページを確認してください。
応募資格は『子供や絵本に関連のある資格を有する者』『絵本にかかわる実務について原則として三年以上の経験を有する者』『絵本にかかわる活動に携わり、原則として三年以上の経験を有する者』『絵本学や児童文学、美術についての研究実績を有する者』。この四つのいずれか一つをクリアしていることが条件になります。保育士の資格を取得しているのなら『子供や絵本に関連のある資格を有する者』に該当するので条件はクリアとなります。
国立青少年教育振興機構のホームページよりエントリーして受諾されると、受講日程や受講料の納付案内がメールで届きます。養成講座は全部で30コマ(1コマ90分もしくは120分)。修了課題が合格ラインに達し、資質を満たしていると認められたら、絵本専門士として認定されます。
仕事をしながら資格取得できるの?
今後の活躍が期待される資格なので取得したい保育士の方も多いと思います。そこで次に心配になるのが「現場で働きながら取得できるのか」というところでしょう。
単刀直入に言うと『関東地域以外は難しい』というのが現状です。養成講座は一日五回で合計十日間、毎回土日に東京の会場(国立オリンピック記念青少年総合センター)で行われます。期間は6月から翌年1月までの半年間と決まっています。
関東在住の方ならお仕事をしながらでも不可能ではありませんが、それ以外の地域にお住まいの方は少々難しいかもしれません。この会場の少なさが有資格者の少なさの原因でもあるのでしょう。需要の高い資格なので、今後は全国主要都市が会場になってゆくかもしれません。
資格取得の倍率は?
第2回の養成講座の募集では461名が応募しました。それに対して受講者定員は60名。実に倍率は8.2倍です。かなりの高倍率といえるでしょう。受講者はエントリーシートによって選抜されます。今後は志望者が700名を超え、10倍を超える倍率になるのではないかと予想されています。
しかし、あくまでこれは養成講座を受講するための倍率です。実際はそこから養成講座から合格者が選抜されるため、資格取得の倍率となるとさらに高くなるでしょう。