保育園の低年齢児を担当すると『トイレトレーニング』に頭を抱える保育士さんも多いですよね。
先輩保育士さん達と比べたりして“早くオムツを取らなければ!” “どうして、この子だけ取れないんだろう…”と思ったことはありませんか?
初めて低年齢児担当になった先生であれば“どうやってトイレトレーニングを進めていけば良いのか…”
と悩んでしまいがちです。
なかなかおむつが取れない子に対して、ついつい叱ってしまっていませんか?
そんな保育士さんのためにトイレトレーニングのお悩みにお答えします!!
ぜひ、これからのトイレトレーニングの参考にしてくださいね◎
Q1:トイレトレーニングはいつ始めるのがいいの?
ねーねー!! みんなは、一人でトイレに行けるの?? (どうしよう…わたし、まだ時々おもらししちゃうのに…) そうよね~、保育園でおもらししちゃったらかっこ悪いものね!! でもそういや…
このまえ先生にパンツ替えてもらってなよな~?( ̄― ̄)ニヤリ
そうよ! 女の子にそんなこと言うなんてひどいじゃない!謝りなさいよ!!! このように、トイレトレーニングは子ども達にとってもデリケートな問題ですが、トイレトレーニングを教える保育士さんにとっても、頭を抱えることの多い問題ですよね?
ここでは、そんな保育士さん達のためにトイレトレーニングについて説明していきますね◎ まずトイレトレーニングを始める時期についてですが、子育ての本などを読んでも“絶対にいつから始めましょう”とは、書いていません。
そうなんです!!!トイレトレーニングには、明確にここからということはないのです。
保育所によっては
1歳児クラスになったら…
月齢によって、何歳何か月から…
と細かく決められているところもあるようですが、基本的には個々の発達段階に合わせて行うこと
が、子どもにとっても教える先生にとっても、無理なくできるといえます◎ ◎トイレトレーニング開始の目安
トイレトレーニングを始めるにあたっての発達段階の目安をまとめてみました。
対象の子どもさんの様子を照らし合わせて考えてみて下さいね◎
簡単な問いかけに応えることができるか・・・「うん」 「いや」など
一人でトイレまで歩けるかどうか
トイレに一人で座ることが出来るか・・・椅子と違って背もたれ等がないため、後ろに転んだら大変!
排泄の間隔が30分~1時間程度あるか・・・おむつを替えない時もこまめにチェックしてみましょう。
これら全てができていないとトイレトレーニングはできない!ということではありませんが、あくまでも、このくらいの発達があれば無理なく進めていける…と考えて下さい。
何より大切なことは一人ひとりの様子や発達段階をよく視診することです!
日頃から、排泄の間隔・回数はメモに取るなど忘れないような工夫が必要ですね。
Q2:トイレトレーニングってどうやって進めたらいいの??
トイレトレーニングの開始時期を見極めたところで、いざ!
ですが今度は、どのように進めていくのがいいのか…という問題が出てきますよね。
ここからは、そんな問題にお答えしていきます◎ ◎紙おむつ?布おむつ?
まず、悩むところは
“紙おむつのまま?”
“布おむつの方がいい?”
ということではないでしょうか?
個人差はあるもののおススメは布おむつです☆
最近の紙おむつはとても開発が進んでいます。
吸収力がよく子ども自身が“気持ち悪い”“履き替えたい”と感じにくいため、排泄してもなかなか知らせてくれません。
その点、布おむつはその都度洗うという手間はかかりますが、子ども自身が“気持ち悪い”とダイレクトに感じることができます。
オムツの中ですると“気持ち悪い”と思うことこそが『トイレトレーニングの第一歩』!
布おむつの中で排泄することの“気持ち悪さ”を感じ、それを伝えることができるようになれば第一段階クリアというところです。
◎トレーニングパンツの使用
おむつから、いきなりパンツに替えるのに抵抗があれば使用してみるのも一つの方法です。
トレーニングパンツは、排泄を伝えられる回数が増えてきて、排泄の間隔が2~3時間開く頃から使用開始するのがおすすめです◎
初めは、おむつを卒業することに抵抗がある子もいますが、トレーニングパンツにも紙製・布製と種類も増えてきています。
その子に合ったものを保護者の方にも用意してもらえるように伝えてみて下さいね◎
◎トイレトレーニングに向いている服装は?
最近は、子ども服といえど大人さながらで
ワンピース・スキニージーンズ・レギンス・重ね着・オーバーオール…など、おしゃれでデザインも豊富!!
保護者の方は我が子の為に!と張り切って洋服選びをしているようですが、“可愛い洋服”と“使い勝手のいい洋服”は別なのです。 トイレトレーニングの際は、脱ぎ着しやすい緩めのズボンがおすすめです◎トイレトレーニングを始めたばかりのころは、自分でズボンやパンツを上げたり下げたり…ということも難しい時期なのです。肌にピッタリフィットするようなズボンは、汗をかくと大人でも脱ぎ着しにくいですよね。子どもは大人よりも代謝がよく汗っかきです。すると…ズボンがどうなるか、想像がつきますよね?また、女の子のスカート。可愛いのですがトイレに座る時にまくり上げないと、便器の中に可愛いスカートが浸かってしまった…なんてことも!?そんなハプニングもあり得るので、トイレトレーニングの時期には可愛さよりも使いやすいものを選んでもらえるように
、保護者の方にも伝えてみて下さい。 ◎保護者の方との連携
これまで話に出てきた布おむつやトレーニングパンツ、着脱しやすい服装…これらは保育園だけで用意することは無理ですよね?
そこで、大切になってくるのは“保護者との連携”です。 まずは保護者の方とトイレトレーニングについて話をする機会を作り、お互いのやり方について理解しあうことが必要です。
など、細かいことでも共通理解しておきましょう。
保育園と家庭でトイレトレーニングの方法が同じであるほど、身に付きやすいのです。
保護者の中には「保育園(幼稚園)へ行けば、おむつを取ってもらえる」と思っている方もいるようですが、実際はお家でも練習してもらえる方がスムーズに進めていけると思います。
しかし、仕事に追われる保護者の方に無理強いもできませんよね??
その中で、少しでも協力してもらえることを提案していくことが大切です◎
例えば・・・
「保育園でのおもらしの回数が減った」ということを伝えてお家でも褒めてもらう…
この程度なら負担にはならないはずです。
そこにプラスαで “○○ちゃんが一人でおトイレに行けるようになったらママ嬉しいわ♡”なんて言ってもらえると、その子の自己肯定感もやる気もアップに繋がります♪
お家でもトイレトレーニングをしてもらうだけが協力や連携ではありません!
柔軟な発想で、子ども達がより気持ちよくトイレトレーニングに励めるように…ということを念頭に置き、取り組んでもらいやすいことから伝えていくことで、“あそこの保護者は全然協力してくれない!”とやきもきすることもなくなります。
◎環境構成のポイント
子ども達にとって、トイレとは未知の空間!
トイレはおもらしをして叱られる“怖い空間”と思わせては、トイレトレーニングは進みません!
まず『トイレは楽しいところだ』と、思ってもらうことが大切です。
子どもに対しての環境構成
トイレの中に可愛い壁面を飾る
トイレはきちんと清掃し清潔感のある空間にしておく
子ども達が触って危険なものは片づけておく
トイレの中に、可愛い動物の壁面が飾ってあれば、「一緒に動物さんに会いに行こう!」と言ってトイレに誘うこともできますよね!
その他にも、シールを用意しておいてトイレに行けたらシールを貼る…というのも、喜んでトイレに行くきっかけ作りになります。
保育士が準備しておきたいもの
保護者への伝達や個人の発達段階を見る手段として名簿などを貼っておき
何時に排泄できた
何時は失敗してしまった
自分で排泄を伝えてトイレに行けた
といったことを、メモしておきましょう。
また、突然のおもらしにも対応できるように雑巾やビニール手袋、ビニール袋、消毒液も常備し減っていればこまめに補充しておきましょう。
◎言葉がけの注意
トイレトレーニングにいついて色々と読み進めてきたけれど、実際に子どもを前にすると理想通りにはいかないもの。
そんなとき、ついつい叱ってしまっていませんか?
忙しいときもありますし、保育士さんも人間です!虫の居所が悪いときだってありますよね。 トイレトレーニングは、根気が必要です。
「どうしてできないの!?」
「また失敗したの!?」
「○○ちゃんは、できているのにどうしてあなただけ!?」
と、ついつい言ってしまいがち。
しかし、保育士がイライラするほど子どもは委縮してしまい、悪循環!!
トイレトレーニングに失敗はつきもの。
失敗してしまっても叱ったりせずに、「気持ち悪かったでしょ?」「次は、パンツの中で出る前に教えてくれたら嬉しいな♪」と、前向きな言葉で受け止めてあげて下さいね◎
褒めてのばそう!
大人になっておむつをしている人はいことからも分かるように、子どもがその成長段階に入っていけば自然と取れていくものなのです。
肩の力を抜いて、焦らずゆっくり進めていっても良いのではないでしょうか?
その為に大事なことは【褒めのばし】です。
ズボンを一人でおろせたら →ほめる
ズボンを一人ではけたら →ほめる
トイレに一人で座れたら →ほめる
え!?こんなことまで!? と思うかもしれませんが、初めは誰だって“こんなこと”ができないのです。
「すごい!!こんなことができるようになったね!」
「かっこいい~?」
「上手にできたね☆」
「やれば、できるね!」
「もっと、かっこいいところ見せてほしいな!」
このように、子ども達にとってプラスになるような声掛けを心掛けてみて下さい。
今、先生が必死になっても、子ども達のやる気や成長段階に合っていなければ、しんどいだけですよ!
褒めのばしは保育士さんの心の余裕ひとつで、いつでも・どこでもどんな場面でも使えます。
一呼吸おいて、褒めのばしができる“ゆとり”をもてるといいですね◎
Q3:トイレトレーニングに行き詰まってしまったら・・・
肩の力を抜いて…と言われても、行き詰まってしまうことってありますよね。
そんなときは、どうしたらいいのか…
先輩先生たちの声をもとに、お伝えしていきますね◎
☆初めは順調だったのに・・・
その子の成長段階に合わせて一旦、トイレトレーニングはお休みします!
トイレにまつわる絵本を積極的に読むようにし、トイレに興味を持ち始めたときに、すかさず声をかけていきます。
(保育士歴5年A先生) お家の人と相談して、その子のお気に入りのキャラクターのパンツを多めに用意してもらいました。
「大好きな○○(キャラクター)が、履いてくれなくて泣いているよ」
「おしっこで、ぬれなかったから喜んでるね!」
などの声掛けをすることで、やる気がアップしましたよ♪
(保育士歴4年Y先生) ☆トイレには座るが、排泄はおむつの中…
初めは、なぜ!?とびっくりしましたが、そのこだわりも“個性”と受け止めるように切り替えました。
そしてまずは、出なくてもトイレに座れたことをとにかく褒めます!
これの繰り返しです!!
(保育士歴3年T先生) 排泄するタイミングを徹底的に分析して、10分~15分おきにトイレに連れていきます。
その中で1回でも成功したら、たくさん褒めてトイレですることの喜びを感じられるように心掛けています。
(保育士歴15年M先生) おむつの中でしてしまっても、替えればいいだけなので様子を見ています。
おむつを替えるときに「おしっこが出そうになったら教えてくれたらうれしいな~」と話が理解できる子たちには繰り返し声掛けをしています。
(保育士歴10年K先生) ☆トイレに行くこと自体嫌がります…
トイレの中にその子の好きなキャラクターの壁面を毎日違うところに貼るようにして毎朝、一緒にトイレに探しに行くようにしました。
慣れてきたら、キャラクター探しのついでにトイレに座ってみるように声掛けして進めました!
(保育士歴9年M先生) 仲良しのお友達がトイレに行くときに、一緒に手をつなぎ散歩気分でトイレに行くきっかけ作りをしました。
そのうち隣の個室に入り、お友達のマネをしてトイレに座ってくれるように自然となりましたよ!
(保育士歴6年T先生)
絵本を用いてトイレに行くことを繰り返し、伝えていきました。
絵本の中のくまくんも頑張ってトイレに行ったから、△△ちゃんも行ってみようよ!と声をかけ続けるといつの間にか、行ってくれるようになりました。
(保育士歴3年A先生) おしまいに・・・
保育園でのトイレトレーニングの方法やエピソードについてまとめてきました。
子ども達にとっても、保育士さんや同じ年代のお子さんをもつお母さん達にとっても、
子育ての第一の関門のように思われがちですが、叱ったり、どうしてできないのだろう…と悩んでも仕方ありません。
どの子も、いずれは自立するものなので焦る必要はないのです。
これが正解!ということはありません。
今回紹介した方法や、言葉がけをアレンジしながら一人ひとりに合わせた進め方が出来るといいですね◎
大切なことは、焦らずゆとりをもって【前向きな言葉】で、子ども達を励ましてあげることですよ!
誰かと比べる必要はないので、先生自身も自分を責めないであげて下さいね☆