毎日多忙な保育士の仕事。
日々の仕事に疲れ果てて、「もう辞めたい…」という考えが頭をよぎった保育士さんは多いのではないでしょうか?
保育士は子どもの未来に大きく関わるやりがいのある仕事ですが、それに伴う責任の重さと仕事量は、お給料に見合わない!という意見も多く聞かれます。
毎日「辞めたい」と思いながら、ギリギリの状態で頑張っている保育士さんもいることでしょう。
今回は、そんな悩める保育士さんのリアルな悩みと解決方法をご紹介していきます。
約半数が6年未満で辞める!?保育士の高い離職率
平成27年、厚生労働省「第3回保育士等確保対策検討会」の「保育士等に関する関係資料」によると、保育所に勤める保育士のうち、年間約3万2千人が離職していることがわかります。また、公営と私営の離職者数には大きな差があり、私営の離職者数は公営の約3倍となっています。 公営は地方公務員であるため給与や待遇が手厚いことが特徴です。一方、私営ではそれぞれの運営団体が定める条件で雇用されるため、昇給が不安定だったり賞与がない、産休や育休を取りにくいといった現状があります。私営保育所のこのような現状が、公営と私営の離職率の違いに表れていると言えるでしょう。
そして、厚生労働省統計情報部の調査によると、保育士の経験年数は約半数が6年未満と早期退職の傾向が見て取れます。
やっとの思いで保育士資格を取得したのにもかかわらず、多くの保育士が現場から離れてしまうのにはどのような事情があるのでしょうか?
もう辞めたい!保育士が仕事を辞めたいと思う3つの理由
実際に保育士を辞めたいと思った理由を調べてみると、保育士さんを取り巻く厳しい現実が…。
では、保育現場での悩みにはどのようなものがあるのでしょうか?解決するためのアドバイスと合わせてみていきましょう。
【保育士を辞めたい理由①】人間関係
職員同士の連携が必要不可欠な保育の現場。子どもたちへ良質な保育を提供するため、園長や主任、同僚と協力していくことは保育士として働くうえでとても重要なことです。“人間関係が良好であれば、保育の仕事の半分はうまくいく“といっても過言ではありません。
しかし現実には「子どもが好き!」という気持ちが折れてしまうほどに人間関係に悩み、辛い、辞めたいと感じている保育士さんが多くいるのです。
ケース1:先輩保育士と合わない
保育中に起きた失敗を全て私のせいにされます。
今日も、先輩の目の前で子どもが転んだのですが、遠くにいる私に「ちゃんと見てないと大怪我させるよ!」と…。
主任にも私の失敗として報告されてしまい、私の評価は下がるばかり。
周りの先生も見て見ぬふり。この先うまくやっていけるか不安で辞めたくなってきました...。 “女性が多い職場”である保育業界では、残念ながらよくあるお悩み。
さらに、保育業界には、体育会系のような”年功序列”の根強い現場が多く見られます。先輩なら何をしてもいい、という不自然な状況がなぜか見過ごされてしまっていることも多くあります。
先輩は常にあなたより上にいたいもの。子どもを通して先生を褒めてみましょう。
「〇〇先生すごいねー!」など、保育の中で子どもと一緒に先輩保育士を立ててみる!
うまく褒めて自分に敵意がないことを伝えれば、先輩との関係を少しずつでもいい方向に変えていけるかもしれませんよ。 ケース2:主任派・副主任派など職場内で派閥がある
保育方針の違いから2人の主任の仲が悪く、職員の中に派閥があります。どちらに付いたつもりもなかったのですが、気付けば私もA先生派閥の一員に。自分の意志とは裏腹に、思わぬトラブルに巻き込まれてしまいます。 これも意外とあるあるなお悩み。
足の引っ張り合いや悪口に関わると良いことはありません。
“鈍い人”と思われても、気付かないふりをして、なるべく関わりを持たないようにしましょう。大人同士のこのような姿を見せることは、子どもにも良くない影響となりますよね。
どちらかに加勢することは避け、陰口は聞き流すのが一番! ケース3:園長のパワハラ
園長が好き嫌いや、そのときの気分で仕事をします。
同じ製作をしても、お気に入りの先生だけは評価され、私は何をしてもいつも酷評。
ほかの先生の前で「あなたのクラスはいつもダメね。子どもたちがかわいそう!」と叱られたこともあります。私だって子どもたちのために一生懸命努力しているつもりです。
日々、園長先生の顔色を窺うばかりになり、最近、子どもたちのための保育ができなくなってきてしまいました。 これは辛いですね…難しいかもしれませんが、園長の評価を気にするより、信頼する先輩からの意見に耳を傾けましょう!自分と同じ環境で経験を積んだ身近な先輩のアドバイスは、保育のスキルアップにも繋がります。
また、辛くても1年だけはがんばる!と決めて乗り切るのも一つです。新しい年度に入ると人事で人間関係に変化が生まれて、悩みが解決される可能性もありますよ。 【保育士を辞めたい理由②】仕事量の多さ
日々の保育に加えて次々に巡ってくる行事、日案や週案、おたよりなどの書類作成、保護者への対応…。
保育士は、勤務時間内では到底こなし切れない仕事量を常に抱え、多くの園で残業や持ち帰り仕事が常態化しています。
仕事量に負担を感じている保育士さんは多く、「辞めたい」と思ってしまう大きな理由となっています。
日案、週案、おたより、壁面製作に、ピアノの練習、どこまで行っても終わらない…!
先輩の先生たちも、同じようにほぼ毎日残業。終わらない仕事は持ち帰って、休みの日に自宅でやっています。こんな状態でこれからやって行けると思えず、もう辞めたいです...。 保育士の毎日は本当に忙しいですよね。
日常の業務に加えて、お遊戯会や運動会、遠足や参観などの年中行事。そしてその度にどうしても増えていってしまうのが残業。
園でギリギリまで残って仕事をして、それでも終わらない場合は持ち帰る...そんな仕事漬けの週末を過ごしている保育士さんは少なくありません。
では、限られた時間の中で仕事をこなすにはどうすればいいでしょうか?
まずは、仕事の中に簡略化できるものがないか考えてみましょう!
例えば壁面の製作。完璧を求めてどこまでも手をかけてしまいがちな作り物。丁寧に作ろうという想いは素晴らしいですが、全体的に見て整っていれば十分!
妥協すべき点は妥協して、どんどん仕上げていくのもテクニックです! 【保育士を辞めたい理由③】給与
“常に100%安全な状態を保つ“ことを当たり前に求められる保育という仕事。子どもたちの様子や保育環境に常に気を配り、“子どもの命を預かる”という責任の重さは、保育士さんにとって日常的に相当なプレッシャーです。その仕事内容に対して給料が低いと感じる保育士さんは多く、仕事へのモチベーションが下がる原因となっています。
毎日こんなに頑張っているのに、お給料はこれだけ!?
好きで選んだ仕事だけど、これではモチベーションが上がらないし生活も厳しいです。
けど、昇給がない、残業代も支給されない保育園もたくさんあるんですよね? そうですね...悲しいけれど、現実にそういった保育園もあります。
本来、仕事が労働時間外に発生しているのであれば、支払われるべき残業代。
しかし、保育士の残業は多くの場合、園からの指示ではなく個人の判断で行われており、保育士がどれだけ残業し、どのくらいの仕事を持ち帰っているか、保育園側が把握していないケースがほとんどです。また把握していても、残業が常態化し過ぎていて運営側が見て見ぬふり…といったケースも。そのため残業代も支払われない、といった状態になっています。 保育士自体のお給料が低く、会社員の友達と比べると随分低い気がしていて「辞めようかな...」と思ってしまうことがあります。 保育士さんのお給料は「仕事量に見合わない」と言われることが多いですよね。
では、いろいろな職種の中で、保育士さんのお給料はどのような位置付けなのでしょうか。
ほかの業種と比較した資料を見てみると、保育士の給与は、全129業種のランキングの中で歯科衛生士に次ぐ給与水準となっています。
また、保育士の初任給が一般的に160,000~170,000円なのに対し、厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」では、25~29歳の給与は224,800円となっています。
昇給なしといった給与状況の厳しい園がある一方、経験を積むごとに昇給する園があることが分かります。
実は、勤務する園によっての違いは大きく、久しぶりに同期の友人に会って話を聞いたら、自分のお給料の低さにショックを受けた…という方も。
仕事の評価基準となるのはやはりお給料です。
“頑張りを認めてもらうこと”は、モチベーションを保つため、また、保育士を長く続けていくためにも重要なことです。評価に疑問を感じた場合は、現在の環境を見直してみるのも一つ方法かもしれません。 保育士辞めたいけれど辞められない…そんなときは転職も考えてみよう!
ここまで、保育士を辞めたいと思う、主な3つの理由を取り上げてみました。保育士の資格を持ちながら、実際には保育の職に就かない“潜在保育士”が64%と高い値なのも、「人間関係」「仕事量」「給与」といった理由を反映したものであると言えるでしょう。(参照:厚生労働省「保育士等に関する関係資料」)みなさんにも頷ける部分が多くあるのはないでしょうか。それぞれに今できる解決法を提案してきましたが、保育園自体の体制に問題がある場合、その解決は容易ではありません。それでも、子どもが好きでせっかく手にした保育士の仕事。厳しい環境で毎日頑張り過ぎた結果、心や体のバランスを崩し、保育士をやめることになってしまっては元も子もありません。子どもが好き、保育士を続けたいという気持ちがまだあるなら、転職を考えてみるのも一つの方法です。あなたを必要としているのは、今勤めている園だけではありません。保育士が多く求められる今の時代、あなたの“保育に向ける気持ち”を求め、評してくれる園はきっとほかにもあります。
今の環境に不満、不安があるなら、少しだけ角度を変えて新しい可能性へ意識を向けてみませんか? 保育士の仕事の探し方&コツ
職場選びで気になるのは、園の雰囲気や人間関係、残業の実態などですよね。しかし個人での転職活動の場合、こういった内容は直接聞きにくく、不安を解消することはなかなか難しいのではないでしょうか?そんなときに試してほしいのが「保育士の人材紹介サービス
」です。保育士不足が社会問題である現在、『待遇を改善してでも必要な保育士を確保したい』と考える園が増えています。そして、そうした保育園は優秀な保育士を獲得するため、予め園が欲しい人材を選出、紹介してくれる“保育専門の人材紹介サービス”を通して求人を出していることが多いのです。 人材紹介サービスを使うメリット
保育業界では、まだあまり馴染みのない人材紹介サービス。
人材紹介サービスを利用すると、担当のアドバイザーが就職のサポートを行ってくれます。
自分の希望に合った園を紹介してくれるほかに、保育の人材紹介サービスを利用することのメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?
1.職員の年齢層など、職場の雰囲気が事前にわかる
保育専門のアドバイザーが、実際に自分の目で見た園を紹介
するため、求人票の掲載情報だけでなく、園の雰囲気や職員の年齢層など、気になることを事前に知ることができます。また、面接の前に園を見学することも可能です。 2.給与や就業条件の交渉
希望の勤務時間、給与、勤務地などの条件を、アドバイザーが代わりに交渉します。直接では聞きにくい内容も、アドバイザーから代わりに園側へ聞いてもらえるのも大きなメリットです。また、保育士さんの人柄や仕事に対する姿勢など、履歴書だけでは伝わらないアピールポイント
も、アドバイザーから園に伝えてもらうことができます。 3.履歴書の書き方や面接のアドバイス・入職後のフォロー
面接日のスケジュール調整や同行、履歴書の書き方、面接時のアドバイスなどのサポートがあります。
「聞いていた雇用条件と違った!」といった万が一の場合の対応のほか、入職後の人間関係トラブルなどについてもアフターフォローしてくれます。
辞めたいと思ったら無理のない解決方法を考えよう!
毎日がとてもハードな保育士の仕事。そんな中でも、子ども達の笑顔を見たり、保育士ならではの喜びや達成感を味わうとやっぱり続けたい!と思うこともありますよね。
今はうまくいかずに辛く感じることでも、乗り越えることができれば、保育士をやっていて良かった思える瞬間がやってきます。
解決法を試しながらうまく息抜きをして、自分自身を大切に、保育士を続けていけるといいですね。