保育士を目指し資格取得に向けて勉強しているみなさん、準備は順調でしょうか?保育士試験には筆記と実技があり、実技試験では【音楽表現】【造形表現】【言語表現】の3つの中から2分野を選択して受験します。その中でも、課題内容が当日発表となる造形表現は、何をどう準備すればいいのか分からず、事前の対策に悩む方が最も多い分野です。
そこで今回は、そんなお悩みにお応えすべく、造形表現の実技試験についての対策をご紹介します。
ここで造形表現の対策をばっちりマスターしましょう!
そもそも【造形表現】の実技試験って何をやるの?
造形表現の試験内容は、子どもや保育士、保育室の様子など、保育所での日常の風景を題材として、出題の内容に沿った情景を描くこと。制限時間の45分の間で、解答用紙の縦横19cmの枠内に色鉛筆を使用して絵を完成させます。50点満点で採点され、合格ラインである30点を上回ると合格となります。
採点のポイントから見る7つの攻略ポイント
そんな造形表現のテストの攻略ポイントは、以下の7つ。テストを受ける際の準備をどれだけできるか、ということが大切です。
使いやすい色鉛筆を見つける
練習用紙はコピー用紙かケント紙を使う
キャラクターを準備しておく
下書きには肌色を使う
なるべく黒色は使わず明るく着色する
45分間のなかで「時間配分」を決める
時間を計ってとにかく練習!
保育士実技試験で準備する道具の選び方
実技試験は、試験本番と同じ環境で練習することが大切。そこで、一般社団法人 全国保育士養成協議会のホームページに記載されている、当日使える道具を見てみましょう。(参考:受験申請の手引き P28②造形表現に関する技術)①鉛筆またはシャープペン(HB~2B)②色鉛筆(12~24色程度) ※1 水溶性色鉛筆の使用可能。 (水分を塗布することは不可) ※2 クレヨン・パス・マーカーペン等の 使用は不可。 ※3 色鉛筆ケース(筆箱等)を机上に 置くことは可能。 ※4 摩擦熱で消える色鉛筆は使用不可。 ※5 携帯用鉛筆削りの持ち込みは可。 使用する際は許可を得ること。 ※6 受験者の間での用具の貸し借り不可。③消しゴム④腕時計(アラーム等の音が鳴らず、計算機、電話等の機能のついていないもの。置時計不可)上記①~④において、「人物の形をしたイラスト入りのもの」は使用不可この条件を参考に道具選びや準備を進めます。それでは、練習用紙と色鉛筆の選びのコツから見ていきましょう。 練習用紙
練習用の紙には、画用紙ではなくケント紙やコピー用紙を使用すると、より本番に近い条件で練習することができます。画用紙とは描き心地や発色の具合も違うので、練習用の紙選びも大切なポイント。A4サイズの用紙に、発表されているサイズ「19cm×19cm」の枠を書き、その中に絵を描く練習をしましょう。
色鉛筆
1. 試し書きをしてから購入
絵を描くのに使う色鉛筆は、画材屋さんに行って試し描きをしてから購入するのがおすすめ。
色鉛筆なんてどれも同じでは?と思われる方もいるかもしれませんが、描いてみると違いがあるんです。そして、造形の実技試験では背景を全て塗りつぶすため、広範囲を塗りやすく、綺麗な発色の色鉛筆を選ぶことがポイント。
自分の合った色鉛筆を選ぶことで、絵の仕上がりに違いがでるのはもちろん、完成までの時間を短縮できます。色鉛筆を購入するときは、試し描きをしてから自分に合った色鉛筆を探しましょう。
2. 尖らせすぎず、丸みを帯びる
色鉛筆を使うときは、削るときに尖らせすぎないよう、気を付けましょう。尖らせすぎると芯が用紙にめり込んでしまい、色を塗ったときに塗りむらができやすくなります。
削り具合を少しだけ丸めにしておくことで、使い始めから綺麗に塗ることができます。
3. 芯折れ対策に両方削る
一番避けたいトラブルは、色鉛筆の芯が折れること。そんなトラブルを起こしても試験が受けられるよう、色鉛筆の上と下を両方削っておきましょう!ちょっぴりもったいない気もしますが、上と下の両方があれば万が一折れてしまったときも安心。鉛筆削りの持ち込みは可能となっていますが、少しでも余計な時間を省くためにはおすすめです。
保育士実技試験対策<br>【造形表現】の練習方法
造形の1番の試験対策は、練習を重ねて絵を描くことに慣れること。地道で気が遠くなりますが、上達する1番の近道です。できるだけ本番に近い条件下で、”毎日2枚”など自分で目標設定を決めて練習をします。練習問題は、全国保育士養成協議会のホームページで公開されている過去の問題や、インターネットで「保育士試験 造形 練習問題」と検索して使いましょう。そして、具体的な造形表現の練習方法についてレクチャーします!ぜひ参考にしてみてくださいね。 1. 登場人物を設定し、作成する
出題に対して毎回人物を一から想像して描くのは大変です。そのため、絵を描く際に登場させるオリジナルの「登場キャラクター」を準備
しておけば、試験中に焦る原因を1つなくすことができます。そして、名前や性格や髪型、服のデザイン
も決めておきます。普段から同じキャラクターを使って練習すると、表情やポーズが決めやすく、ストーリー性を持った構図を作りやすくなります。保育士2名、子ども3名ほどのキャラクターを用意しておくといいでしょう。例えば●Aちゃん…しっかり者の女の子、髪はふたつくくり、ピンクのTシャツ●Bくん…元気で活発な男の子、短髪、水色のTシャツ●Cくん…おとなしめな男の子、サラサラの髪、緑と白のボーダーTシャツといった感じです。キャラクターの設定がうまく思いつかないときは、子どもが登場するアニメを思い浮かべてみてください。例えばちびまる子ちゃんやドラえもんなどの登場人物を元にして、自分が描きやすい子どものキャラクターを作ってみましょう! 2. 子どもの表情を描き分ける
キャラクターを描く際、子どもと大人を描き分けるためには、体形の特徴を捉えて表現する必要があります。体のパーツのバランスは、大人は5頭身、子どもは2~3頭身を目安として描きましょう。設定された子どもの年齢が1~2歳と小さい場合は2頭身に、5歳など大きめなら3頭身に近づけて描くといいですね。また、身体を描く際、手足の関節が反対に曲がることのないように注意
してくださいね。 表情のレパートリーも練習して増やそう!
次に、キャラクターが決まったら、それぞれの表情を描き分ける練習をします。実際に保育園で遊ぶ子どもたちを想像して、表情のバリエーションを決めていきましょう!
例えば、子どもたちが保育室でおりがみを折っているとします。
そのときの子どもたちはどんな表情をしているでしょうか…?
単純に笑顔を思い浮かべがちですが、少し想像を広げてみると、一生懸命折っている子、驚いた表情をしている子など、様々な子どもの様子をイメージすることができますよね。
このように、思い浮かんだ表情を自分が決めたキャラクターにあてはめて表現する練習をしましょう。表情のレパートリーを増やして、たくさんの子どもを描くことで保育の現場での自然な雰囲気を表現することができます。
3. 構図を決め、下書きをする
実際に絵を描き始める前に、まずは全体の構図を決めます。基本的には、初めに人物を配置してから背景を考えます。テーマの風景を思い浮かべながら、自分の持ちキャラクターを登場させて構図や配色を決めましょう。そして、テーマに沿って何度か練習すると、自分が描きやすい構図が分かってきます。描きやすい構図を自分のパターンとしていくつかストックしておくと、出されたテーマにその中から当てはめて絵を描くことができます。新しい構図を最初から考えるのではなく、「中央に2人、奥に1人」などパターン化して、描きなれた構図を利用することで、大幅な時間短縮
につながります。また、構図を下書きする際には肌色の色鉛筆がおすすめです。ほかの色で色づけしていくうちに目立たなくなり、のちに消しゴムで消す手間が省けます。そして、人物の次に描き込んでいく背景ですが、そのボリューム感も重要なポイント。背景に描くものが少ないと寂しい印象になってしまいます。限られた時間の中ですが、簡単に描けるものに絞ったり、大きさを工夫して課題となった場所の雰囲気や情景が伝わるように心がけましょう。 4. 色付けをする
構図が決まったらいよいよ色付けです。多くの色を使い、絵の全体をカラフルに仕上げることを意識しましょう。どうしても黒でないとならない部分以外は、黒を使用しないほうがよいです。黒を多用すると、どうしても全体的に暗い印象の絵になってしまいます。
例えば、砂場も黒やグレーではなく、クリーム色などにするとグッと明るい雰囲気に仕上げることができます。色鉛筆は24色まで持ち込むことが可能なので、できるだけ多くの色を使って明るい印象の絵になるように仕上げましょう。
保育士実技試験対策【造形表現】テストの時間配分
初めのうちは時間を気にせず、自分がイメージした絵を仕上げる練習をしましょう。そして、描きなれてきたら実際に時間に合わせて造形表現の練習をします。造形表現の実技試験は、制限時間45分です。当日発表された課題をその場で仕上げるためには、時間配分が合否の要
になります。普段の練習から時間配分を設定し、時間内に仕上げることに慣れましょう。こちらは、45分間の時間配分の一例。5分 構図を決める10分 下絵を描く20分 色塗り10分 条件を満たしているかの見直しと仕上げ短い時間ではありますが、このように時間を区切ることで実技試験を乗り越えられます。45分間で絵を完成させる練習をするようにしましょう! 保育士実技の2018年度後期試験から考える試験対策
問題:【事例】を読み、次の4つの条件をすべて満たして、解答用紙の枠内にその情景を描きなさい。
【事例】
H保育所の5歳児クラスの子どもたちが、ホールで折り紙ひこうきを作っています。保育士に教えてもらいながら、みんなで思い思いの紙ひこうきを作って飛ばし、楽しく遊んでいます。
条件
1.紙ひこうきを折っているところと飛ばしているところがわかるように描くこと。
2.保育所のホールの様子がわかるように描くこと。
3.子ども3名以上、保育士1名以上を描くこと。
4.枠内全体を色鉛筆で着彩すること。
問題を読み解くポイントは3つ
課題に沿った絵を描くためには、「メインの題材」「場所」「人物」という3つのポイントが必須。この3点をしっかりと意識して構図を決めると、課題からぶれることなく絵を完成できます。
試験当日は緊張もあり、普段は普通に読める簡単な文章でも、内容が頭に入ってこない…!なんていうことも。そんなときでも慌てないように、問題を読み、求められることを考えられることに慣れておきましょう。
ポイントは上に記述した通り、「メインの題材」「場所」「人物」の3つ。では3つのポイントを意識して、もう一度例題を確認してみましょう。
【事例】
H保育所の5歳児クラスの子どもたちが、ホールで折り紙ひこうきを作っています。保育士に教えてもらいながら、みんなで思い思いの紙ひこうきを作って飛ばし、楽しく遊んでいます。
条件
1.紙ひこうきを折っているところと飛ばしているところがわかるように描くこと。
2.保育所のホールの様子がわかるように描くこと。
3.子ども3名以上、保育士1名以上を描くこと。
4.枠内全体を色鉛筆で着彩すること。
【絵を描くために必要なポイント】
●メインの題材…紙ひこうきを折っているところと飛ばしているところ
●場所…保育所のホール
●人物…子ども5歳児3名以上、保育士1名以上
色付けした部分が絵の構図を決めるために必要な3つのポイントです。
このように、問題を読んだらまずこの3つのポイントを書き出し、絵の題材を整理するようにします。
そして3つのポイントがわかったところで「伝えるべき雰囲気」を確認します。
この問題の場合は「保育士に教わりながら紙ひこうきを折ったり、飛ばしている楽しそうな雰囲気」です。造形表現の試験で求められるのは「保育の状況をイメージした造形表現(情景・人物の描写や色使いなど)ができること」なので、問題から伝えるべき雰囲気を読み取り、イメージを持って描くことが必要となります。
自分の持ちキャラクターを活かして、人物の表情や動きを豊かに表現するようにしましょう!
練習をすれば30点以上も目指せる!試験直前までがんばろう
実技試験の造形表現は、事前に練習して準備することができます。地道ではありますが、毎日練習を重ねていくことが合格への1番の近道。
試験当日に出題された問題を見てすぐに構図をイメージできるよう、練習を重ねて自分のストックえお貯めておきましょう。
絵が上手な人のように描けなくても、課題の条件さえ満たしていれば合格する可能性は大いにあります。
合格ライン30点を目指してがんばりましょう!