学校後に子どもたちが通う、学童保育。通称、放課後クラブとも呼ばれています。イメージとしては「放課後、保護者が仕事で不在のあいだ児童を預かる場所」というイメージです。実は「学童保育」でも保育士の資格を活かして、働くことができるんです。今回は「学童保育」の仕事内容や魅力、資格に関するさまざまな情報をお伝えします。転職を考えている人、学童保育に興味がある人、ぜひチェックしてみてください。
学童保育とは?
学童保育とは、おもに日中や放課後に保護者が就労している共働き世帯、疾病・介護などにより昼間家庭での養育ができない児童を対象として、授業の修了後に適切な遊びや生活の場を与え、健全な育成を図ること
を目的としています。正式名称は『放課後児童健全育成事業』といい、おもに厚生労働省が管轄となっています。一般的には、『学童保育』または『放課後児童クラブ』とも呼ばれています。平成28年に厚生労働省が調査した『クラブ数、登録児童数および待機児童数の推移』によると、平成28年の時点でクラブ数は全国に合計23,619か所あり、平成27年より約1,000件程増えています。
たいして、全国の小学校の数は19,655校。小学校より学童の数が多く、それだけ放課後保育の需要が高まっているということがわかりますね。また、利用する児童は小学校1年生から3年生までが全体の約84%
を占めており、まだ一人でお留守番をするのが難しい低学年の子どもを預ける家庭が多い傾向にあります。学童保育で働く正規職員は全体の3割、それに対して残りの7割はアルバイト・パートの非正規職員で構成されており、非正規職員は資格の有無を問わない
といったところから学生や主婦の方に人気の仕事となっています。 学童保育の種類
学童保育には、主に3つの種類あります。
■公設公営
公設公営では、各自治体が運営・管理をしており、小学校の空き教室や児童館を利用して子どもたちを預かっています。学校との距離も近く、利用している子どもたちも同じ学校の生徒なので比較的過ごしやすい環境となっているのが特徴です。保護者からの人気も高い一方で定員に対しても厳格に定められていることから、待機児童が出やすい傾向にあります。
■公設民営
公設民営は、地域団体やNPO法人、株式会社などの民間に委託し運営しています。公設公営と同様に、児童館を利用したり学校内に設置されていることが多く、現時点でもっとも数が多い施設形態となっています。
■民設民営
おもに民間団体や個人が運営・管理をしています。民設民営の特徴は、英会話やパソコン・ダンス教室などといった教育分野でさまざまなサービスを取り入れており、一部の施設では学習塾とも併設しています。しかし、一方で敷地に制限があり、外遊びを行う際には近くの公園を利用するなど職員は都度場所の確保をしなければなりません。定員数も多く設定されている施設が多い傾向にあります。 学童保育で働くには?
では、実際に学童保育士になるにはどうしたらよいのでしょうか。
資格は必要?
「学童保育」では、資格を持たなくても働くことができます。支援員の資格を持つ人は「放課後児童支援員」、資格を持たない人は「学童保育指導員」と呼びます。もちろん、資格を活かして、働くことも可能です。学童保育で働く人が持っておいた方がいい資格は「放課後児童支援員」は、2015年より実施されている「子ども・子育て支援新制度」により、政府が新たに創設した資格のことをいいます。学童保育の需要が高まりつつある昨今、より学童保育の質の向上が求められるようになったことから各施設への配置が義務付けられるようになりました。なので、正規職員として働く場合には「放課後児童支援員」の資格取得が推奨されています。放課後児童支援員の資格を得るには、下記のいずれかに該当する必要があります。【受験資格】・保育士の資格をもっている・社会福祉士の資格をもっている・教員免許をもっている・高卒以上に相当する学歴が2年以上あり、かつ児童福祉事業での勤務経験がある方・高卒以上に相当する学歴が2年以上あり、かつ学童保育の勤務経験があり、市町村長の認可が下りている・大学(大学院)にて、社会福祉学、教育学など該当する過程を修めて卒業している・大学にて、該当する学科の単位を修得し、大学院への入学が認められているそのほかに、放課後児童支援員になるためには各都道府県にて実施される研修を受けなければなりません。カリキュラムは、6分野16科目あり講義および演習を合わせて約24時間程度、日数は4日~8日間程度となっており約2~3ヶ月かけて研修を受けます。保育士や社会福祉士などの資格をすでにお持ちの方は、それぞれ保有している資格によって研修科目の一部が免除となります。
転職に向けて事前に資格を取得するのもいいですし、まずは非常勤で働きながらコツコツ資格を取得するのもいいですね。 学童保育士(学童保育指導員)に向いている人とは?
学童保育士に向いている人はどんな人なのでしょう?子どもが好きな方には、とても楽しい職場と言えます。他にも、学童保育士に向いている人はこんな人です。
【向いている人】
・体力に自信のある保育士さんや男性保育士さん
・子育て中で復職を考えている保育士さん
・勉強を教えるのが得意な保育士さんや学生さん
学童保育では、子どもたちと一緒に運動や遊びなど体をつかった活動を行うことが多いため「体力に自信のある方」にオススメの仕事です。特に男性職員ですと体力もあることでスポーツや遊び方の幅も広がり、大いに活躍できるでしょう!ほかにも、子どもたちの宿題をサポートするためにある程度の「知識」が必要となってくる場合もあります。「勉強を教えるのが得意な人」にも向いている仕事だといえますよ。
学童保育士の1日の仕事
学童保育ではどういった1日を過ごすのでしょうか。学童保育士が行うおもな仕事の流れについてまとめてみました!■10:00~ 指導員出勤
職員はだいたい朝の10時から12時のあいだに出勤します。子どもたちが来所してくるまでに、ミーティングや保育カンファレンスにて今日1日のおもな流れや仕事内容について職員内で確認し合い、それが終わると施設の清掃や子どもたちが食べるおやつの準備、行事の準備や打ち合わせなどを行います。■13:30~ 子どもたちが下校、来所
昼過ぎに子どもたちが来所してくると、職員は子どもたちに『宿題』について声掛けを行います。子どもたちの勉強に関して、どこまでサポートするかは事前に保護者と確認をしておきます。各自、学習時間が終わればおやつの時間まで子どもたちは自由に過ごします。校庭で遊ぶ子もいれば、教室で読書をする子もいるので、職員は安全に配慮し見守らなければなりません。■15:00~ おやつの時間
おやつの時間は、子どもたち自らが手作りのお菓子を作ったり、行事ごとに特別なメニューを提供したりすることも。ときにはお誕生日会として職員が作ったお誕生日カードをプレゼントするとなど、さまざまなイベントを取り入れる時間にもなっています。■17:45~18:00 片付け・掃除・帰りの会・帰宅
子どもたちが帰宅する15分前には、教室の片付けや清掃を行います。帰りの会では、お便りや配布物を配ったり「今日は何が楽しかったか」「何か困ったことがあったか。それはどうしたら解決できるか」を子どもたちに質問します。自分たちで問題を解決し、指導員の思いを話す大切な時間ですね。子どもたちが帰宅したあとも、その日一日を振り返って子どもたちの様子を職員同士で共有するミーティングのほか、保護者への連絡、翌日の打ち合わせ、清掃、片付け、戸締りといった細かな仕事をこなします。 学童保育士(学童保育指導員)として働くメリットと注意点
児童を対象に、子どもたちの勉強をサポートしたり保育活動を行う学童保育の仕事。
そんな学童保育で働くことにどのようなメリットや注意点があるのでしょうか。
学童保育ならでは!そのメリットとは?
■子育て世帯でも働きやすい勤務体制
学童保育は正規職員、非正規職員、パート…様々な雇用形態の方が多いので、自分で雇用形態を選択できるのもうれしいポイント。保育園では、保護者のお迎えがあるまで預かりますし、そのあとにもイベントの準備や製作物など残された業務をこなさなければなりません。学童保育では閉所時間がきちんと守られている施設が多く、サービス残業や持ち帰り仕事は少ない傾向にあります。また非正規職員の場合、昼から出勤の短時間勤務としてシフトを組める場合もあるため、子育て世帯でも働きやすい環境だといえます。
■子どもたちの成長を間近で感じられる
高学年のお兄さんお姉さんが低学年の子どもたちに勉強や遊びを教えたり、けがをした子を介抱してあげたり…日々、子どもたちの成長する姿を間近で感じることができます。また、年齢に合わせた話題や接し方を学べるよいきっかけになります。学童保育士の求人を探すには?
『公立学童保育』『民間学童保育』とさまざまな形態の学童保育があるなかで、自分に合った理想の職場を探すのはとても時間がかかります。また、クラブの雰囲気や職員の様子など、応募する前になるべく情報は把握しておきたいですよね。そんなときは、人材紹介会社を利用してアドバイザーに相談してみてはいかがでしょうか。『保育士ワーカー』では、近隣の学童保育の求人を探すことはもちろん、好条件で応募が殺到してしまうのを防ぐためにあえて公開していない求人
もご紹介できます。施設の設備や子どもたちの様子、人間関係についても直接施設を訪問しているアドバイザーが専属となり、さまざまな情報をお届けします。ほかにも、実際に転職活動を行う際にはアドバイザーが見学や面談の日程調整、入職時期の相談、入職後のフォローまで丁寧にサポートします。▶︎学童保育士の求人を探してみる▶︎学童保育士の求人を紹介してもらう 学童保育に転職する時の要チェックポイント
■やっぱり気になる!学童保育士の平均給与
転職を考えた時、やっぱり一番気になるのは「学童保育士の給料がいくらぐらいなのか」というところではないでしょうか。運営元や地域によって異なりますが、正規職員の月収は約15万円~20万円前後となっています。非常勤の場合ですと、時給970円前後が平均となり、なかには時給1,000円を超える施設もあります。(※保育士ワーカー調べ)保育士の平均月収は23万円程度なので若干低く感じてしまいますが、その分仕事量の差を考慮すると適した金額だといえるでしょう。
■体力は必要不可欠
保育園と違って、学童保育は小学生が対象です。遊びの範囲も、サッカーやキャッチボールなどのスポーツから鬼ごっこ、かくれんぼなど、幼児の頃に比べて行動範囲が広くなっています。特に、この年齢の男の子は体力があり余っている年頃で、一緒になって遊ぶにはそれなりの体力が必要。体を動かすのが好きな方やスポーツ経験がある方のほか、体力があるという意味では男性職員も活躍できる職場といえるでしょう。
■ 子ども同時のトラブルに注意!
この年齢の子どもたちは思春期や反抗期など何かと多感な時期でもあります。小学校で起きたいじめが学童保育にまで持ち込まれるケースも少なくありません。職員は子どもたちの言動に注意し、事態が悪化してしまわないよう配慮する必要があります。また、なかには職員に対しても悪口や暴言を吐いてくる子どももいます。そんなときは「なぜ暴言を吐くのか、自分が言われたらどう感じるか」といったように根気強く毅然とした態度で向き合いましょう。『保育士』の資格を活かせる学童保育で働こう!
学童保育は専門の資格が無くても学童保育指導員(非正規職員)として勤務することができるため、自身のライフスタイルに合わせてシフトを組むことができるため「子育て中の方」や「復職を考えている保育士さん」が働きやすい環境なのはとても魅力的。保育園には保育園のよさがあるように、学童保育では学童保育でしか得られない素敵な出会いややりがいがあります。保育士資格をお持ちの方にとっても、学童保育という場所は子供たちとの接し方や指導方法などの知識や経験を活かせる”絶好のチャンス”です。子どもたちの勉強をサポートしたり、限られた時間で家庭と両立して働きたいとお考えの保育士さんは、ぜひ学童保育の仕事を目指してみてはいかがですか?