大人と違ってまだまだ免疫力や抵抗力が低い子どもたちは病気にかかりやすいため、保育園や幼稚園、学校といった集団生活の中であっという間に病気が流行してしまいます。
保育士さんはもちろんのこと、保護者の方もお子さんの体調不良の際に慌てず対応出来るようにしておきたいですよね。
そこで、子どもがかかりやすい病気について、流行しやすい時期・症状・原因・合併症・対処法をまとめてご紹介していきたいと思います。
お子さんの体調の変化で判断がつきにくい場合などにも、ぜひご活用ください。
風邪(上気道炎)
■症状
喉の痛み・鼻水・鼻づまり・咳・発熱・頭痛など。2~3日で症状のピークを迎え、約1週間程度続きます。■原因
80%~90%はウイルスが原因とされています。※潜伏期間は5~6日■合併症
熱性けいれん・気管支炎・肺炎・副鼻腔炎・中耳炎など。■対処法
風邪の各症状に対し、それぞれ対処療法を行うことが基本となります。
≪自宅で行う対処法≫生姜やネギなどをスープにして摂取し、体を内から温めましょう。発熱し発汗すると水分や塩分が失われるので、スポーツドリンクや経口補水液など塩分も補給できる飲み物をこまめに摂取しましょう。子どもの不調を判断するには?
基本的には自然に治るとされていますが、以下の気になる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
※咳や鼻水が1~2日程度続いているものの、発熱がなく食欲もあり、元気な様子であれば体調の変化に気を付けて注意深くみておきましょう。ただし、発熱があり食欲がない、ぐったりしているといった様子があれば、風邪の症状が深刻化している場合があるため、早めに医療機関を受診しましょう。
■登園の目安
平熱に戻り、集団生活に適応できる状態まで回復していることが登園の目安です。手足口病
■時期
5月頃からはじまり、6月~7月がピーク。■症状
口の中・手のひら・足の甲や裏に水疱性の発疹があらわれます。その後、1~3日ほど発熱することもあります。水疱はかさぶたにならずに治ることもあり、1週間ほどでなくなります。症状の出現から1~2ヶ月後に手足の爪が剥がれることがありますが、すぐに新しい爪が生えてきます。■原因
「コクサッキーウイルス」「エンテロウイルス」などが原因とされていますが、原因ウイルスが複数のため、何度もかかってしまうことがあります。5歳未満の患者が全体の約80%ですが、まれに大人も感染します。※潜伏期間は3日~6日■合併症
急性髄膜炎や急性脳炎など。■対処法
手足口病に有効なワクチンはなく、特効薬はとくにありません。のどの痛みに対して鎮痛薬などが処方されるなど、対処療法が中心となります。≪自宅で行う対処法≫のどに痛みがある場合は、刺激のある食べ物や飲み物は避けましょう。また、口内炎の痛みで食事を摂るのが辛い場合は、噛まずに飲み込める食べ物を摂取しましょう。のどに痛みがある場合にオススメの食べ物・飲み物
◯→豆腐・冷めたおじや・ゼリー・プリン・麦茶・牛乳・冷めたスープなど
✖→オレンジジュース・ヨーグルト・ヤクルト・熱いもの・冷たすぎるもの
子どもの不調を判断するには?
手足口病は、保育園や幼稚園といった子どもが多く集まる場所で集団感染を引き起こすことも少なくありません。毎年流行しだす頃(5~7月)に周囲で感染がみられた場合、上記の症状がみられるようであれば、手足口病の疑いがあるため、医療機関への受診が必要となります。
また、手足に発疹が見られなくとも、食べ物や飲み物を摂取する際に「痛い」と言ったり、不快感を出したりして嫌がる様子があれば、のどに発疹があらわれている場合があるので、いずれもかかりつけ医に診てもらうことをおすすめします。
※比較的症状は軽症といわれている手足口病ですが、まれに髄膜炎や脳炎といった虫垂神経系の合併症が起こる場合があります。とくに、免疫がまだついていない乳幼児の場合、発熱が2日以上続く、嘔吐を繰り返す、頭を痛がるといった症状があればすぐに医療機関を受診する必要があります。
■登園の目安
発熱・口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれ、集団生活に適応できる状態まで回復していることが登園の目安です。登園時には登園届の提出が必要となります。ヘルパンギーナ
■時期
5月頃から。6月~7月がピーク。■症状
発熱し1~3日ほど続きます。のどの強い痛み・のどの発疹や水疱があらわれます。あまりの強い痛みから水分補給も出来ず、脱水症状を起こすこともあります。■原因
「コクサッキーウイルス」「エンテロウイルス」などのウイルスが原因です。5歳以下の患者が全体の約90%で、1歳代がもっとも多いとされています。※潜伏期間は2日~4日■合併症
発熱時に熱性けいれんを伴うことがあります。■対処法
ヘルパンギーナに有効なワクチンはなく、特効薬はとくにありません。のどの痛みや発熱などに対して鎮痛薬などが処方されるなど、対処療法が中心となります。≪自宅で行う対処法≫のどに痛みがあるので、刺激のある食べ物や飲み物は避けましょう。また、口内炎の痛みで食事を摂るのが辛い場合は、噛まずに飲み込める食べ物を摂取しましょう。のどに痛みがある場合にオススメの食べ物・飲み物
◯→豆腐・冷めたおじや・ゼリー・プリン・麦茶・牛乳・冷めたスープなど
✖→オレンジジュース・ヨーグルト・ヤクルト・熱いもの・冷たすぎるもの
子どもの不調を判断するには?
手足口病と同時期に流行となるヘルパンギーナは、のどにだけ発疹ができるケースの手足口病と症状が似ており、安易に判断ができません。しかしながら、のどに強い痛みがある、痛みのために食べ物などが呑み込めない、発熱があるといった症状があれば、ヘルパンギーナの可能性があります。とくに、水分が摂れなくなっている場合、脱水症状を起こし重症化する場合もあるので、同様の症状があれば早めに医療機関を受診したほうがよいでしょう。
※初夏にピークとなるヘルパンギーナは夏風邪の一種です。ウイルスの型が複数あるため、何度もかかってしまう子どももいます。咳やくしゃみといった飛沫感染により感染を広めていくので、まずは感染時期を把握しておき、症状や対処法を念頭に入れてこまめな手洗いや消毒により感染を防ぐことが大事です。
■登園の目安
発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれ、集団生活に適応できる状態まで回復していることが登園の目安です。登園時には登園届の提出が必要となります。咽頭結膜熱(プール熱)
■時期
6月頃からはじまり、7月~8月がピーク。■症状
38℃~40℃前後の発熱が1~3日ほど続きます。発熱に加え、のどの痛み(咽頭炎)や目の充血(結膜炎)が主な症状です。嘔吐や下痢を伴うこともあり、そのほかの症状として頭痛・食欲不振・目やに・眩しく感じる、などが認められます。(類似の病気に「溶連菌感染症」があります。)■原因
「アデノウイルス3・4・7型」が原因ウイルスとなり、目の結膜、鼻・口・のどの粘膜から体内に入り感染します。飛沫感染や接触感染により広まっていきます。※潜伏期間は5~7日■合併症
発熱時に熱性けいれんを伴うことがあります。■対処法
特効薬はとくにありませんが、症状によって鎮痛薬や点眼薬などが処方されます。≪自宅で行う対処法≫のどに痛みがあるので、刺激のある食べ物や飲み物は避けましょう。また、食事を摂るのが辛い場合は、噛まずに飲み込める食べ物を摂取しましょう。のどに痛みがある場合にオススメの食べ物・飲み物
◯→豆腐・冷めたおじや・ゼリー・プリン・麦茶・牛乳・冷めたスープなど
✖→オレンジジュース・ヨーグルト・ヤクルト・熱いもの・冷たすぎるもの
そのほか、日常生活で使うタオルなどの共用は二次感染のリスクが高まるため、患者が使用するタオルは必ず分けるようにしましょう。
子どもの不調を判断するには?
毎年夏の時期に流行する咽頭結膜熱(プール熱)は、その多くがプールの水を介して感染します。そのため、プールが始まった頃に目に発熱を伴い充血がみられる、のどの痛みを訴えるなどの症状があれば、咽頭結膜熱(プール熱)の疑いがあります。また、食欲がなくぐったりしている、39度を超える熱が続く、頭痛を訴えるなどの症状も咽頭結膜熱(プール熱)にかかっている場合がありますので、気になる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。
※咽頭結膜熱(プール熱)は、非常に感染力の高いウイルスによる感染症です。発熱やのどの痛みといった症状がおさまっても、目やにや便などからウイルスが排出されます。そのため、保育園では乳児のオムツの交換時にこまめに消毒する、共用タオルを使わない、プールの消毒を十分に行う、などの感染を広めないための予防が大事です。
■登園の目安
発熱、充血等の主な症状が消失した後2日経過していることが登園の目安です。登園時には登園届の提出が必要となります。伝染性膿痂疹(とびひ)
■時期
7月~8月に多い。■症状
ただれ・水ぶくれ・かゆみ・痛みなど。突然顔まわりに水疱ができ、破れると“かさぶた”になります。かゆみを伴うため、掻いてしまうことであちこちに広がっていきます。 ■原因
原因となる「A群溶連菌」「黄色ブドウ球菌」が、湿疹やあせも・虫刺され・擦り傷などから皮膚につきやすい状態になり、そこから感染して発症に至ります。鼻水が感染源になることもあります。■合併症
まれに重症化し、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(4S)を発症することもあるので注意が必要です。■対処法
症状に応じて抗生物質などの投薬や軟膏の処方・治療が行われます。鼻の入り口に原因となる細菌がいるため、鼻をいじらないようにするなど、声掛けや注意をしてみておく必要があります。子どもの不調を判断するには?
脚やおしりなどの顔から遠く元気な皮膚にも広がることから、とびひと言われている伝染性膿痂疹ですが、目や鼻のまわりに水ぶくれができていると思えば、「あっという間に全身に広がっていた」というケースも少なくありません。水膨れが化膿し、破れて皮膚がただれてしまってからでは処置が遅くなる場合もあるので、顔や体に疑わしい水ぶくれができていることを確認したら、早めに医療機関を受診しましょう。
※あせもが化膿ししこりとなった“あせものより”ができた、またケガや蚊に刺された患部が化膿し熱を持ち始めた、といった症状があれば要注意です!また、炎症が強い場合、リンパ節が腫れて発熱を引き起こす原因にもなるので、 このような場合も早めに医療機関を受診したほうがよいでしょう。
なお、皮膚のトラブルは、医療機関を受診せずに自己判断で軟膏やステロイドを使用するのは危険です。必ず小児科や皮膚科などの専門医の診察を受け、正しい治療法で治していくことが大事です。
■登園の目安
ほかの子どもにうつる可能性があるため、医療機関を受診し治療をきちんと行ったうえで、患部をガーゼや包帯で覆い、露出していなければ登園が可能です。しかし、とびひが広範囲に及んでいる場合は、ゆっくりと休ませるほうがよいでしょう。マイコプラズマ肺炎
■時期
10月~1月頃に多い。■症状
発熱・頭痛・全身倦怠感から始まり、徐々に咳が出始めどんどん強くなります。最初は乾いた「コホコホ・コンコン」といった咳ですが、湿った咳「ゴホゴホ・ゲホゲホ」といったものに変化していきます。解熱後も咳は続き、約3週間~4週間ほど長引きます。声のかすれ・のどの痛み・吐き気・胸の痛み・皮疹・耳の痛み・喘鳴などの症状が現れることもあります。多くは気管支炎などの軽症で済みますが、重症化して肺炎になることもあります。■原因
「肺炎マイコプラズマ」という細菌が原因です。飛沫感染・接触感染によって発症します。患者8割は14歳以下で、まれに大人も感染します。※潜伏期間は2~3週間と長め■合併症
肺炎・気管支喘息・発疹・中耳炎・副鼻腔炎・無菌性髄膜炎・脳炎など。まれな合併症に、心筋炎といった心臓の異常がみられることもあります。■対処法
マイコプラズマに効果がある「マクロライド系」の抗生物質をはじめ、クラリスやジスロマックなど、医師が処方した薬で投薬治療を行います。 ~咳で眠れないとき~子どもの不調を判断するには?
秋から冬にかけて発症するマイコプラズマ肺炎は、一見すると風邪の症状と似ているため、「ただの風邪」と見過ごされてしまうケースも少なくありません。しかし、症状が進行するにつれ、咳の様子が変わり肺炎へと重症化してしまうこともあります。咳が止まらず苦しそうにしている、解熱後も咳が治まらないといった症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
※普段から気管支が弱いという子どもの場合、肺炎へと症状が進行しやすい病気となります。保護者から気管支炎の相談や申告があった場合は、注意深く様子を見てあげることが大事です。少しでもしんどそうにしている様子があれば、無理な運動を避け、室内でおとなしく遊ばせるなど、配慮してあげましょう。
■登園の目安
発熱や激しい咳が治まっており、集団生活に適応できる状態まで回復していることが登園の目安です。登園時には登園届の提出が必要となります。RSウイルス感染症
■時期
10月~2月頃に多い。■症状
乾いた咳・鼻水・発熱など。乳児の場合、熱は38度台がほとんどで、39度以上の高熱はまれです。多くは軽症で済むため、風邪と間違えることも。■原因
「RSウイルス」による急性呼吸器感染症で、飛沫感染・接触感染によって発症します。生後1歳までに半数以上、2歳までにはほぼ全員が感染するといわれています。まれに大人でも感染することがあります。生後5ヶ月ぐらいまでに初めて感染した場合、症状が重くなりやすい傾向にあります。※潜伏期間は2~8日、典型的には4~6日■合併症
乳児がRSウイルスに初感染すると、呼吸が浅くなります。呼吸数が増える(1分間に60回)・痰が詰まるといった症状があらわれ、肺炎・細気管支炎を引き起こし重篤化することがあります。そうなると、無呼吸発作にもつながり、突然死のリスクが上がるので要注意です。■対処法
特効薬および有効なワクチンはなく、対処療法が基本となります。≪自宅で行う対処法≫乾燥していると咳を誘発してしまうため、お部屋の湿度管理に気をつけ、こまめな水分補給をしっかりと行いましょう。~咳で眠れないとき~子どもの不調を判断するには?
RSウイルス感染症の多くは軽症で済むといわれており、また風邪のような症状であることから、早期にRSウイルス感染症と判断がしにくい疾患です。しかしながら、発熱や鼻水などの症状とともに激しい咳をしている、また「ヒューヒュー」といった呼吸音など喘息を伴う症状があれば、気管支炎や肺炎へと重症化しやすい状態となるため、速やかに医療機関を受診しなければなりません。発熱に加えて咳の悪化がみられる、呼吸が苦しそうな様子がある、など日に日に症状が悪化していくようであれば、かかりつけ医に診てもらいましょう。
※RSウイルス感染症は、咳やくしゃみといった飛沫感染によりうつるといわれています。そのため、保育園ではこまめな手洗いやうがい、消毒を徹底し、感染拡大を防ぐ取り組みが必要となります。また、保育者がRSウイルス感染症の疑いがある場合は、速やかに乳幼児との関わりを避けるといった初期行動も大切です。
■登園の目安
呼吸器状態が消失し、全身の状態が良いこと。集団生活に適応できる状態まで回復していることが登園の目安です。登園時には登園届の提出が必要となります。ノロウイルス(感染性胃腸炎)
■時期
年間を通して。12~2月頃がピーク。■症状
吐き気・嘔吐・腹痛・下痢・全身倦怠感・発熱・悪寒など。下痢は軟便や水様便が頻繁となり、血便が排出されることもあります。嘔吐や下痢により水分が排出され、脱水症状を引き起こすことも。■原因
ノロウイルスが原因ウイルスで、汚染された水・食品および患者との接触により感染します。ウイルスの付着した手を介したり、便や吐物が乾燥して空中に浮遊したウイルスを吸い込んだりしてしまうことが感染の主な原因といわれています。※潜伏期間は24~48時間■合併症
嘔吐・下痢による脱水症状など。まれに中枢神経症状(髄膜炎など)の報告があります。■対処法
現在、ノロウイルスに対する抗ウイルス薬は無く、対症療法が中心となります。乳幼児や高齢者は体力の消耗と脱水症状に、特に気をつけなければなりません。≪自宅で行う対処法≫水分・栄養をしっかり摂り、安静にします。食事は油分の多いものを避け、消化の良いものを与えましょう。子どもの不調を判断するには?
冬季に流行となるノロウイルス(感染性胃腸炎)は、下痢や嘔吐を繰り返すという症状がほとんどです。そのため、腹痛を伴う下痢や嘔吐が続く、発熱がみられるといった症状があれば速やかに医療機関を受診しましょう。
また、全身倦怠感が強い場合やグッタリとしている場合は、脱水症状の疑いがあるため、早急な対処が必要となります。
※集団感染しやすいノロウイルス(感染性胃腸炎)は、保育園などでしばしば感染がみられます。そのため、ノロウイルスの疑いがある場合は、二次感染のリスクを減らすために汚物(嘔吐物や排泄物)の処理を適切に行う必要があります。保育園が定める汚物処理のマニュアルに沿い、『すばやく・的確』に対処しましょう。
■登園の目安
下痢・嘔吐などの症状が治まり、普段の食事が摂れることが登園の目安です。登園時には登園届の提出が必要となります。ノロウイルスは、症状が無くなってからも約1週間は便にウイルスを放出し続けるとされており、周りへの感染について注意が必要となります。ロタウイルス(感染性胃腸炎)
■時期
3~5月にかけて多い。■症状
激しい嘔吐や水様性の下痢が2~8日ほど続きます。そのほかの症状として、吐き気・腹痛・軟便・発熱・咳など。便の色が白いことも特徴として挙げられます。(必ず白くなるとは限りません)39度以上の発熱がみられることもあります。■原因
「ロタウイルス」によって引き起こされる胃腸炎で、感染者の汚物(排泄物など)を介して感染します。※潜伏期間は2~4日■合併症
けいれん、肝機能異常、急性腎不全、脳症、心筋炎などを引き起こし、死に至ることもあります。グッタリして意識の低下がみられる場合、また手足が冷たい場合はすぐに医療機関を受診する必要があります。■対処法
現在、ロタウイルスに対する抗ウイルス薬は無く、対症療法が中心となります。≪自宅で行う対処法≫嘔吐の症状が強い時期は短期間とされ、この時期は食欲もありません。水分摂取は、白湯やイオン飲料などを小さいスプーンに1杯程度を3分間隔ぐらいで与えて様子をみてください。(牛乳や乳酸飲料は下痢を促進してしまう恐れがあるのでNG)嘔吐がなければ徐々に量や回数を増やしていってもかまいません。下痢のみの症状であれば、薄味のうどん、おかゆ、野菜スープなど、消化の良いものを与えましょう。下痢により水分や電解質も失われていますので、水分補給はこまめに行いましょう。子どもの不調を判断するには?
ロタウイルス(感染性胃腸炎)は、2~4日の潜伏期間の後、激しい下痢や嘔吐を繰り返す症状が大きな特徴となります。また、腹部の不快感や強い腹痛、発熱などが伴うことも多いとされています。そのため、水のような下痢が続く、嘔吐を繰り返すといった症状があれば、速やかに医療機関を受診しましょう。
※就学前の子どもの半数が、ロタウイルス(感染性胃腸炎)にかかるとされています。一度感染をしても再び感染することがありますが、二度目以降の感染では重症にはならないといわれています。乳幼児は症状がひどくなりやすい傾向にあり、脱水症状がひどくなると点滴処置や入院が必要となることもあります。
なお、ロタウイルスは症状が無くなってからも約1週間は便にウイルスを放出し続けるとされています。そのため、症状が落ち着いていても、周りへの感染には注意が必要です。
■登園の目安
下痢・嘔吐などの症状が治まり、普段の食事が摂れるなど、集団生活に適応できる状態まで回復していることが登園の目安です。登園時には登園届の提出が必要となります。インフルエンザ
■時期
12月頃からはじまり、4月~5月に減少していく。■症状
寒気・高熱・全身倦怠感・関節痛・咳・痰・くしゃみ・のどの痛み・頭痛・食欲の低下・吐き気・下痢など。インフルエンザウイルスには複数の型があり、毎年、主に流行するのがA型とB型です。38度以上の高熱が出やすく、一度下がってもまた上がりやすいのが特徴とされています。■原因
「インフルエンザウイルス」がのどや鼻などの粘膜に感染して発症します。※潜伏期間は1~5日■合併症
中耳炎・肺炎・脳症・脳炎など。免疫機能が成熟していない乳幼児および、体力の低下している高齢者は、合併症を起こすことがあるので注意が必要です。■対処法
抗インフルエンザウイルス薬を投与し、治療を行います。インフルエンザに使用される薬は、タミフル・リレンザ・イナビルなど。≪自宅で行う対処法≫発熱による発汗や嘔吐・下痢の症状がある場合は、脱水症状に注意し、経口補水液などのイオン飲料水をこまめに与えましょう。無理に熱を下げようとするとウイルスが体内に長くとどまる可能性があるため、できるだけ安静にし、熱が下がるまでは十分な休養をとることが大事です。子どもの不調を判断するには?
インフルエンザの流行時期に38度以上の高熱が続く場合は、感染の可能性があるため早めに医療機関を受診しましょう。ただし、発熱から12時間~24時間はインフルエンザの判定が出にくいため、意識がハッキリしているのであれば、半日から1日程度は自宅で様子をみてもよいかもしれません。
インフルエンザは風邪と間違えやすいうえに、熱の出ない場合や37度程度でもインフルエンザに感染している場合があるので、注意が必要です。
診断後も嘔吐が続くなど、グッタリと弱っているといった異変がある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
※抗インフルエンザウイルス薬の投薬の有無にかかわらず、インフルエンザを発症した子どものなかには、「走りまわる」「窓から飛び降りようとする」などの異常行動が報告されています。インフルエンザと診断されたら、発症から数日間は保護者などが付き添い、異常行動の現れがないかどうかを見守る必要があります。
以下の症状がある場合は、救急搬送も視野に入れすぐに病院へ!
上記症状がある場合、インフルエンザで最も重い合併症であるインフルエンザ脳症の疑いがあります。救急搬送も視野に入れ、医師の指示のもと適切な治療を行いましょう。インフルエンザ脳症の死亡率は約30%といわれ、後遺症が残る子どもも少なくない重篤な疾患とされています。■登園の目安
発症した日を含めて5日間経過、解熱後3日間経過するまでは出席停止となります。登園時には登園届の提出が必要となります。※熱が下がるとほとんどの子どもは元気になりますが、体内にはまだウイルスが残っているため、感染を拡大させないためにも外出は控えるようにしましょう。 溶連菌感染症
■時期
冬に流行しやすい。 ■症状
高熱(38~39度)・のどの痛み・手足の発疹・イチゴ舌・頭痛・リンパの腫れなど。溶連菌感染症の代表的な症状は発熱とのどの痛みですが、3歳未満の子どもは熱があまり上がらない場合もあります。イチゴ舌といって、赤いツブツブとした発疹が舌にできます。風邪と違い、咳や鼻水などの症状はみられません。■原因
「溶結性連鎖球菌」といわれる細菌への感染が原因とされています。「溶結性連鎖球菌」には、A群・B群・C群・G群などがあり、A群患者がほとんどといわれています。のどにこれらの細菌が感染し、“扁桃炎”や“咽頭炎”、“猩紅熱”(赤い発疹)を引き起こします。※潜伏期間は2~5日■合併症
決められた期間にきちんと処方された抗菌薬を飲まないと、以下の合併症を引き起こすことがあります。■対処法
溶連菌感染症には、ペニシリン系などの抗菌薬を服用し治していきます。きちんと継続して薬を服用することで、病気の再発を防ぎ、2~3日程度で症状は軽くなっていきます。(※溶連菌感染症に有効だとされる抗菌薬を服用すれば、2~3日ほどで熱が下がり、のどの痛みも徐々に治まってきますが、細菌を確実に消失させて重大な合併症を引き起こさないためにも、処方された抗菌薬は最後までしっかりと飲む必要があります。)≪自宅で行う対処法≫のどに痛みがある場合は、刺激のある食べ物や飲み物は避け、また口内炎の痛みで食事を摂るのが辛い場合は、噛まずに飲み込める食べ物を摂取しましょう。のどに痛みがある場合にオススメの食べ物・飲み物
◯→豆腐・冷めたおじや・ゼリー・プリン・麦茶・牛乳・冷めたスープなど
✖→オレンジジュース・ヨーグルト・ヤクルト・熱いもの・冷たすぎるもの
子どもの不調を判断するには?
発熱やのどの痛みといった症状が特徴となる溶連菌感染症は風邪の症状と似ていることもあり、軽症の場合判断がつきにくいこともあります。しかし、油断をするとはじめは軽症でも徐々に重症化し合併症を引き起こすケースもあるため、溶連菌感染症が流行しやすい冬~春にかけて上記症状があれば早めに医療機関を受診したほうがよいでしょう。
医療機関では溶連菌感染症の検査を簡単に行うことができるため、「ただの風邪だろう」と決めつけず、専門医による診断を受けることが大事です。
※溶連菌感染症の検査は、綿棒でのどの奥から検査材料をぬぐい取るだけという至って簡単な検査です。5~10分もあれば検査結果がすぐに分かるため、少しでも症状に不安があれば検査を受けましょう。
■登園の目安
抗生物質治療開始後24時間を経て全身状態がよければ登園が可能です。長くても初診日と翌日を出席停止にすればよいとされています。登園時には登園届の提出が必要となります。水ぼうそう
■時期
12月~7月頃。■症状
小さな水ぶくれの水疱が身体に広がる(発疹)・発疹のかゆみ・発熱・倦怠感・食欲不振など。発疹が頭から背中にかけて、胸やお腹から手足の順に広がり、数日かけて身体の色々な部位にあらわれます。最大4mm程度の赤い盛り上がった発疹が出現し、2~3日かけて水ぶくれの発疹に変化し、水疱となります。水疱はその後かさぶたへと変化し、1週間後には全てかさぶたになります。■原因
水痘・帯状疱疹ウイルスの感染が原因です。罹患のピークは1歳~2歳で、経過は良好なことがほとんどです。一度かかると免疫がつくため、基本的には2度はかからないとされていますが、1回目が軽症の場合などは免疫がつかないこともあり、2度目の罹患の可能性もあります。※潜伏期間は10~21日と長め■合併症
水疱を掻きむしることで発疹に細菌が付着し、二次感染を起こすことがあります。二次感染した部分が化膿し、その細菌が全身へまわり敗血症を起こすことも。まれに、ウイルスによる脳炎・小脳炎を引き起こす場合もあります。■対処法
抗ウイルス薬を投与することで、症状の軽減を行います。また、二次感染やかゆみを抑えるために軟膏を使用することが最も一般的とされています。≪自宅で行う対処法≫発疹はかゆみを伴うため、爪を短くする・手袋を装着するなど、掻かないように気をつけましょう。また、二次感染を防ぐためにも、患者が使用するタオルは必ず分けるようにしましょう。子どもの不調を判断するには?
水ぼうそうにまだかかったことがない状態で身体に発疹が現れ、かゆみを伴うような症状があれば、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染している疑いがあります。放っておくと発疹が次々と身体に広がっていき、完治するのにも時間を要するため、早めに医療機関を受診するようにしましょう。また、その他の症状として、発熱や倦怠感、食欲不振なども水ぼうそうの症状例となります。気になる症状があれば、かかりつけ医に相談しましょう。
水ぼうそうに一度かかったことがある子どもの場合でも、前回の症状が軽症であれば二度かかっていることもありえるため、安易に自己判断をせずに専門医に診てもらうことが大事です。
※発疹が現れる1~2日前から約1週間はウイルスが放出されるため、二次感染のリスクが高まります。まだ水ぼうそうの予防接種していない乳児などが近くにいれば、できるだけ患者との接触を控えるようにしましょう。
また、水疱に含まれる液体には、感染力の強いウイルスが大量に存在しているため、軟膏などを塗る際は直接手で触れないようにし、綿棒などを使って塗布するようにしましょう。
■登園の目安
全ての発疹がかさぶた化するまでは出席停止になります。これは、かさぶた化していない水疱がウイルスを含んでいるためです。登園時には登園届の提出が必要となります。流行性耳下腺炎(おたふく風邪)
■時期
初冬~春にかけて多い。■症状
耳下腺と呼ばれる耳の下の部分が腫れ、発熱します。そのほかの症状として、全身倦怠感・頭痛・食欲不振などの症状があります。発熱は3日ほど続き、発症から2~3日で腫れがピークに達します。耳下腺の腫れは片方だけ、または両方と人によってさまざまで、まれに顎下腺や舌下腺の腫れが見られ、耳下腺は腫れない場合もあります。熱が出ない・腫れが少ない・症状が出ない「不顕性感染」とよばれるケースも。■原因
「ムンプスウイルス」が飛沫・接触感染によって感染することが原因です。 主に4歳~6歳ぐらいの幼児の患者が多いとされています。一度かかると免疫がつくため、2度はかかりません。※潜伏期間は12~25日と長め■合併症
難聴・髄膜炎・膵炎 など。難聴・・・ムンプス難聴ともいわれ片側に症状が出ることが多いですが、まれに両側に症状が出る場合もあります。難聴が重症化した場合、失聴(聴力を失うこと)すると回復が難しいといわれています。
髄膜炎・・・高熱・頭痛・吐き気を引き起こします。おたふく風邪の合併症で最も多いのが髄膜炎といわれており、重症化すると入院することもあります。
膵炎・・・吐き気・嘔吐・下痢・お腹の上部分の痛みなどが症状として挙げられます。
■対処法
「ムンプスウイルス」に対する薬がないため、自宅で安静することが治療法です。発熱している場合は、脱水症状にも気を付け、水分と栄養の補給をしましょう。子どもの不調を判断するには?
耳下腺や顎下腺といった耳の下が腫れて痛みを伴う症状があり、一度も流行性耳下腺炎(おたふく風邪)にかかったことがなければ、ウイルス感染の疑いがあるため早めに医療機関を受診しましょう。
また、鼻水や咳が出ている、発熱などといった症状も、流行性耳下腺炎の症状として挙げられるため、耳下腺などの腫れがなくともかかりつけ医に診てもらうことをおすすめします。
※子どものうちに発症することが大半となる流行性耳下腺炎は、保育園や幼稚園、また小学校など集団で子どもが集まる場所で流行しやすい傾向があります。感染経路は、飛沫感染と接触感染が主で、感染者の中には症状が全くでないという子どももいるため、感染者の全体数を把握することは困難といわれています。そのため、二次感染を防ぐためには手洗い・うがいの徹底を意識づけることが大事です。
また、小さな子どもの場合、症状をうまく伝えらない子や自覚症状のない子もいるので、「熱はないけど耳周辺をよく触っている」といった様子があれば、注意深く見ておく必要があります。
■登園の目安
耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫れが発現後、5日経過するまで、かつ全身状態が良好になるまでは出席停止となります。登園時には登園届の提出が必要となります。さいごに
子どもにかかりやすい病気について、それぞれの症状や流行時期、対処法などを詳しくご紹介しましたが、みなさんはどれくらい子どもの病気のことを把握していましたか?小さな子どもと接する職場では、流行性のものから子ども特有の病気まで、さまざまな病気と出会うことでしょう。特に冬季など乾燥しやすい季節は、感染症や伝染病といった病気がたびたび流行しやすくなります。その中で、いかに適切な対応をするかで子どもの予後も変わってきます。少しでも病気に対する対処法や注意点を知っておくことで冷静に判断・処置もできますので、ぜひこのコラムも参考にしていただければ幸いです♪(※参照:保育所における感染症対策ガイドライン - 厚生労働省)