「子どもの教育に良い」「心が豊かになる」といわれる絵本の読み聞かせ。
保育園でも、1日に何冊も絵本を読み聞かせます。
しかし、実際にはどのような効果があるのか疑問を持っている人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、絵本の読み聞かせによって期待できる効果について解説します。
また、絵本を選ぶときのポイントや読み聞かせのコツも紹介しますので参考にしてください。
絵本の読み聞かせで得られる効果
まずは、絵本の読み聞かせによって期待できる効果を解説します。
物語を理解するなかで想像力が育つ
絵本には、単純な繰り返しのものから、起承転結がハッキリしたストーリー性のあるものまでさまざまな種類があります。
「もしかして次は…?」「きっと〇〇だな」と続きを考えることで、豊かな想像力が育つといえるでしょう。このような力は、日常生活においても必要不可欠です。
さまざまな単語を知り言語力が高まる
絵本を読み聞かせることで、今まで知らなかった言葉を知ることができます。
イラストが添えられているため、より言葉への理解が深まるのも絵本の大きな特徴のひとつです。
たくさんの絵本を読むことで、語彙力が高まります。
また、ストーリー性のある絵本を楽しむためには文章への理解が欠かせません。
絵本の読み聞かせは、今後の読解力の基礎となるでしょう。
夢中になっているうちに集中力が上がる
絵本に興味を持ってもらうことができれば、子どもの集中力を高められます。
はじめは短い絵本から、徐々に長い絵本を読むことで集中できる時間を伸ばしていけるといえるでしょう。
また、本や文字に対する親しみを持つ意味でも良い影響を与えます。
子どもを集中させるためには、興味をそそる絵本選びが欠かせません。
登場人物の気持ちを想像して感情が豊かになる
絵本には、メッセージ性が込められているものが多くあります。
子どもや動物が主役となっていることが多く、登場人物の気持ちを想像しやすいのも絵本の大きな特徴です。
登場人物の気持ちを想像・共感することで、感情が豊かになるといえるでしょう。
そこで感じた経験は、相手の気持ちを思いやる力につながっていきます。
子どもの好奇心を刺激できる
絵本のなかでは、子どもが体験したことのないユーモア溢れる世界が広がっています。
動物と話しをしたり、空を飛んだり…。
「自分もしてみたい」という好奇心につながり、子どもは目をキラキラさせながら物語を楽しみます。
親子のコミュニケーションで心が豊かになる
保育士はもちろん、両親からの読み聞かせはコミュニケーションとしての大切な時間です。
片手間ではなく、しっかり時間を取って読み聞かせることで多くの愛情を感じられます。
このような時間を設けることにより、情緒の安定や自己肯定感の高まりが期待できます。
読み聞かせる絵本を選ぶときのポイント
絵本の読み聞かせには、さまざまな効果が期待できます。
より効果を高めるためには、絵本選びが大切です。
そこでここからは、読み聞かせに使う絵本を選ぶときのポイントを解説します。
月齢に合わせた絵本を選ぶ
まず大切なのは、月齢に合わせた絵本を選ぶことです。
年齢が低いうちから難しい絵本を読んでしまうと「絵本の読み聞かせは退屈な時間」と感じてしまうことも。
年齢別の絵本の選び方は以下のとおりです。
0歳児:ハッキリとした絵の本
0歳児は、視覚で惹きつけるハッキリとした絵の本を選ぶことが大切です。
色鮮やかな絵に触れることで、脳に刺激を与えられます。
また、赤ちゃんは「自分で触ってみたい」「お気に入りのページを開いてみたい」と、手を伸ばすことが多いため、扱いやすいしっかりとした絵本を選ぶと良いでしょう。
1歳児:リズムの良い絵本
1歳児は、繰り返しが多い絵本が大好きです。
動物や果物など、子ども達に親しみのある内容が繰り返される絵本が良いでしょう。
また、「コロコロ」「どんどん」など、擬音語・擬態語が盛り込まれている、リズムの良い絵本を選ぶことで興味関心を惹きつけられます。
2歳児:生活習慣にまつわる絵本
2歳児は、生活に関連する絵本がおすすめです。
挨拶やトイレ、歯磨き、お風呂など、絵本から学べるようなものを選ぶと良いでしょう。
登場人物が褒められている姿を見ることで「真似してみたい」「自分にもできる」という気持ちを刺激できます。
幼児期:豊かなストーリー性の絵本
幼児期の読み聞かせは、豊かなストーリー性を意識しましょう。
大人から見ると「どういう意味?」と感じるような内容でも、子どもはしっかり自分のなかで想像力を働かせます。
また、年長児は続きを翌日に持ち越すなど、長いストーリーを読むことで記憶力を刺激できます。
季節に合わせた絵本を選ぶ
年齢のほか、季節に合わせた絵本を選ぶことも大切です。
四季の移り変わりは、言葉では伝えきれません。
絵本であれば、鮮やかな色彩やストーリーで春夏秋冬それぞれの雰囲気を感じ取れます。
また、季節の行事への導入にもおすすめです。
子ども自身に選んでもらう
ときには、子ども自身が選んだ絵本を読み聞かせても良いでしょう。
子どもがどんな絵本に興味を持っているか知れるだけでなく、自分で選んだものを読んでもらえることにより自己肯定感が高まります。
選んだ絵本に対して「まだ難しいよ」「こっちの方が良いよ」と意見することは控えましょう。
絵本を読み聞かせるときのポイント
次は、絵本を読み聞かせるときのポイントを解説します。
読み聞かせる絵本は事前に内容を確認する
読み聞かせる絵本は、必ず事前に内容を確認しましょう。
表紙やタイトルだけで選ぶと、思っていた内容と異なることも。
内容を知らないままだと、探るように読んだり、言い間違えたりする可能性があるため注意が必要です。
子どもの見えやすい位置や角度で読む
大勢の子どもの前で読むときは、見えやすい位置を意識しましょう。
光が反射して見えにくいこともあるため、角度も大切です。
また、子ども達の表情が見える位置に座り、どのような反応をしているか確認したいですね。
適度な抑揚をつけて聞きやすい声を意識する
読み聞かせる際、抑揚をつけすぎると子どもの想像力を妨げるという意見もあります。
しかし、感情のない読み聞かせは心に響きません。
適度な抑揚で聞きやすい声を意識しましょう。
ゆっくり読みすぎると集中力が切れてしまうためテンポも大切にしたいですね。
質問への対応や内容の解説で読み聞かせを中断しない
絵本を読んでいると子どもから「読んだことある!」「〇〇ってなに~?」などの声が飛び交います。
読み聞かせを中断して対応すると、真剣に聞いている子どもの集中力を妨げる可能性があります。
目を合わせて頷くなど、気持ちを受け止めるだけに留めましょう。
効果なし?同じ絵本を何度も読みたがる理由
語彙力や集中力を高めるため、たくさんの絵本を読み聞かせたいと思うのが大人心。
しかし、なかには同じ絵本を何度も読みたがる子どもも少なくありません。
低年齢であれば、同じページばかりを求めることも多く「読み聞かせ本来の効果が期待できないのでは?」と、心配になりますよね。
しかし、同じ絵本やページを繰り返すことで満足感が得られます。
好きな絵本、楽しい気持ちになる絵本を何度も読んでもらい、お決まりの展開を見守る。
繰り返しにより、子どもはお気に入りの絵本の世界を存分に楽しみます。
満足すれば、いずれ違う絵本に興味がうつると考えられます。
大人からすると退屈に感じてしまいますが、繰り返したい気持ちを大切にしてあげたいですね。
まとめ
絵本の読み聞かせには、さまざまな効果が期待できます。
より子ども達に楽しんでもらうため、絵本は年齢・季節に合わせて選ぶことが大切です。
絵本の読み聞かせに年齢制限はありません。
自分で読めるようになっても、読み聞かせの時間を大切にしたいですね。