熱中症とは何か、聞いたことはあってもはっきり知らない人もいるのでは無いでしょうか。
夏の平均気温が上昇し続けている近年、メディアでも日々取り上げられていますよね。
熱中症とは何か、知らないと危ない原因や症状、ならないための対策をご案内します。
1. 熱中症とは?今更聞けない基礎知識
熱中症とは「気温」「湿度」「風通しが悪い」などの環境によって身体中のバランスが崩れ、体温調節ができなくなることでさまざまな症状を引き起こす病気のことです。
熱中症は、日差しを直接受ける炎天下だけでなく空調の効かない屋内でも起こりうるものです。どうすれば予防できるのでしょうか。熱中症とは何か、まずは原因と症状について知り予防していきましょう!
2. 熱中症の原因は大きく3つ
人間は、36度から37度程度の平熱を保っています。この平熱を保つために汗をかき体温調節をしています。
熱中症はそのコントロールができなくなることで起きます。
引き起こす原因は一体何なのでしょうか。考えられる要因を知って、熱中症の予防をしていきましょう。
熱中症の原因1. 高温多湿な環境
熱中症は知っている方も多いと思いますが、まず暑いところで起きやすいです。そして湿度が高いところでも起きやすいです。
人は体温調節のために汗をかきますが、湿度が高いと汗をかきにくく、熱を体外に放出しにくくなってしまいます。
熱中症が起こりやすい注意が必要な環境や場所
「日差しが強く、暑い場所」「気温や湿度の高い場所」「エアコンのない密室空間」「風がない場所」には気をつけるようにしましょう。
熱中症は屋外で起こるイメージがありますが、エアコンをつけずに寝る深夜の屋内でも起こっています。自分のいる環境、保育の現場で起こりやすい場所はどこなのか今一度確認してみましょう。
熱中症の原因2. 汗をかき過ぎ熱中症を引き起こす行動
汗をかき過ぎ、身体から水分が減少し過ぎると、血液が体内に行き渡らなくなります。そのため筋肉の動きが悪くなったり、意識がボーっとしたりします。
汗は水分と共にミネラルも体外に放出します。塩分補給が必要なのはそのためです。
熱中症が起こりやすい注意が必要な行動
熱中症が起こりやすい注意が必要な行動「激しい運動」「暑い環境で休憩をしない」「長時間、野外や高温の場所に居る」「水分をとらない」状態にならないようにしましょう。
昔は部活動などで水を飲むなという指導がありましたが、今は休憩をとることや水分補給をすることは、教育現場でも必要な指導になっています。
熱中症の原因3. それぞれの体調や持病
不健康な生活をしていると、身体が環境の変化に追いつかずに熱中症になる場合もあります。また、熱中症になりやすい疾患もあります。
暑さに慣れていない人や、気温に合っていない衣服を身につけている人も気をつけましょう。
熱中症が起こりやすい注意が必要な人
「寝不足、体調不良の人」「偏った食生活をしている人」「肥満の人」「高齢者や乳幼児」「普段運動をしていない人」は特に注意が必要です。
普段から健康に気を使ったり、環境や行動に注意するようにしましょう。
3. 熱中症の症状をレベル別に紹介
熱中症にはさまざまな症状があり、軽度・中度・重度と3段階に分類されています。軽度だからと正しい対処を誤ると、中度や重度へと症状が悪化していく危険性もあります。特に子どもは自分で不調を訴えることが出来ずに見過ごされやすいので、細心の注意が必要です。
実際に熱中症の症状が出た場合どうすれば良いのでしょうか? 熱中症の症状が出ていたらする応急処置
まず、涼しい場所に移動し、足を心臓より高くして寝かせます。次に意識の有無を確かめます。
意識が無い場合は緊急性があるので、対処法は事前に知っておきましょう。意識が無い場合も放っておくと重症化することもあるので、早めの対処が必要です。
熱中症の疑いがあり意識がある場合
まずは声かけを行い、「陰に移動する」「楽な体勢を取らせる」「ボタンをはずし身体を冷やす」「水分を補給する」ことが必要です。胸の痛みや呼吸が苦しいと訴えている場合は、上体を起こすと呼吸が楽になります。
熱中症の疑いがあり意識がない場合
「すぐに救急車の要請をする」嘔吐の危険性があるので仰向けは避け「横向きに寝かせる」気道が狭くならないように「下あごは前に出す」後ろへ倒れないように「上側の膝を90度くらい曲げる」「両脇を曲げる」ことが必要です。
腕力に自信のない場合は周りの人の手を借りることも重要です。意識がない場合は、呼吸停止や心拍停止の可能性があるので、目を離さずに観察してください。
熱中症の予防や対処に有効な水分とナトリウムの摂取
望ましいのは、経口補水液・ポカリスエットやアクエリアスといった、水分と塩分を同時に摂取できる飲み物です。熱中症になっている時は、水分だけでなく電解質(ナトリウム)も失っており、塩分の補給も必要不可欠!
そして、自分で上手に水分を摂取することが出来ない場合は、無理に飲ませてしまうと嘔吐をしてしまったり、誤って肺に入ってしまう可能性があります。摂取が不可能な場合は、無理矢理飲ませず、すぐに医療機関を受診しましょう。
熱中症の時に有効な経口補水液とは?
経口補水液を見たこと、飲んだことはあるでしょうか。食塩とブドウ糖を水に溶かした飲み物で、脱水症状を起こした時に水分補給をすることが目的の飲料です。コンビニやドラッグストアなどでよく見かけるようになり、OS-1(オーエスワン)、アクアソリタ、アクアサポートなど、さまざまな商品名で販売されています。
経口補水液はスポーツ飲料よりも食塩が多く含まれており、常飲はNG!点滴での水分補給の代わりに用いられている物なので、熱中症予防のためにと飲まないようにしてください。
嘔吐の危険性
水分を補給する時に気をつけたいのが、嘔吐の可能性は無いかと言うこと。「吐き気がある」「意識が低下している」「意識がない」といった場合に突然嘔吐してしまうことがあります。
寝ている状態で嘔吐をすると、吐物が喉に詰まって窒息の危険性や、気道から肺に入って誤嚥性肺炎を引き起こす可能性も。 体勢を横向きに寝かせるようにしてください。
体を冷やす
応急処置で体を冷やす場合、体温を効果的に下げる必要性があります。太い血管が通っているところを冷やすようにしてください。
効果的に身体を冷やす部位とアイテム
首の両側。後ろではなく耳の下を冷やしましょう。脚の付け根、股関節の前部分も太い血管が通っているので効果的です。
保冷剤、冷却シート、凍らせたペットボトル、氷水でしぼった布、氷嚢などは、コンビニやドラッグストアなどで販売しているので緊急時にも調達することが可能です。
4. 熱中症の予防法を知ろう
気温や湿度の高い環境を避ける
熱中症の原因となる高温多湿の場所を避けましょう。外出時は帽子や日傘を使用したり、なるべく日陰を歩いたり注意しましょう。
室内でも、エアコンをつけて温度や湿度の調節をしましょう。深夜でも熱帯夜が予想される時は特に気を付けてください。
汗をかき過ぎる運動や過度な我慢は避ける
長時間外にいるような運動は避け、休憩するよう心掛けましょう。汗のこもらない涼しい服装にして、汗がこもりにくい服装にしましょう。
水分と共に塩分はこまめに摂取するといいでしょう。時間を決めて喉が渇いたと気付くより前に水分補給して予防しましょう。
体調管理をしましょう
規則正しい生活を送る、3食きちんと食べる、十分な睡眠をとり、疲れを翌日に残さないなど基礎的な行動で健康を維持しましょう。
少しの体調の変化で、大事に至ることもあります。日頃から体調に気を配りましょう。
熱中症の予防に効果的な食べ物
暑さで食欲が無く、食べやすい冷たい麺類ばかり食べていませんか?子ども達はもちろんのこと、保育士さんもしっかり食べて熱中症対策をしたいですよね!
熱中症対策に効果的な食べ物や飲み物にはどんなものがあるのでしょうか。
豚肉は疲労回復におすすめ
豚肉は、疲労を回復してくれるビタミンB1が豊富。中でも赤身の部分に多く含まれており、倦怠感や疲労回復におすすめです。
夏の時期だと、野菜と一緒に食べられる冷しゃぶもいいですね!
納豆は豊富な栄養素がある健康食
汗と一緒に失われるカリウム・マグネシウム・カルシウムが豊富で、栄養素の吸収力も抜群。お腹の調子も整えてくれるので、熱中症を予防するのにおすすめです。
枝豆はオルニチンを手軽にとれる
枝豆には、熱中症の予防に大切なオルニチンが含まれています。カルシウム・タンパク質・ビタミンB1も豊富で、何より簡単に食べられるのがいいですよね!
冷凍の枝豆もあるので、ぜひメニューに取り入れてみてください。アルコールの分解を促してくれるので、お酒を飲む時に一緒に食べるのも健康にいいですね。
梅干しは疲労回復と塩分補給できる優れもの
梅干しには、疲労回復を早めてくれるクエン酸が豊富で、なおかつ、塩分も摂取できる優れものです。酸味が食欲の増進にもつながるので、食欲のない時もおすすめ。
ただし、塩分がとても強いので1日1個にしておきましょう。
5. 熱中症は血栓の原因にも!
命をうばう夏血栓
猛暑の時期になると連日、救急搬送が後を絶ちません。熱中症が原因で、毎年たくさんの命が奪われています。その熱中症が原因にもなりうる「夏血栓」と呼ばれる症状が、夏になると多発しているのです。
夏血栓とは?熱中症とは関係ある?
汗をかいて身体から水分が減り、脱水状態になると体内の血液がドロドロになってしまいます。 その結果、血管の中に血栓と呼ばれる血の塊ができ、血管を詰まらせてしまいます。これが夏血栓です。
脳の血管を詰まらせると脳梗塞に、心臓の血管を詰まらせると心筋梗塞に、肺にまわると急性肺血栓塞栓症(きゅうせいはいけっせんそくせんしょう)になる場合があります。
どれも命を脅かす恐ろしい状態へとなってしまうのです。
夏血栓の症状
体の右半身または左半身の麻痺、しびれ
片方の眉毛や口が下がっている
ろれつが回らない
胸を押さえて苦しがっている
呼吸困難
こういった症状が出た場合は、即座に救急搬送で病院を受診しなければなりません。1分1秒をあらそう夏血栓。ぜひ、予備知識として覚えておいてくださいね。
熱中症とは何かを知って予防しよう!
熱中症は、放っておくと命を奪いかねない恐ろしい症状です。「今と昔は気候が違う」ということも念頭に、熱中症対策をしっかりと行ってください。
自分の不調を訴えられない子ども達の変化にいち早く気付き対応できるよう、正しい知識を持っておきましょう。
そして、そんな子ども達を守る保育士さんも日頃から熱中症対策をきちんと行い、みんなで対策する意識をしていけるのが理想ですね。